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日立&ルネサス高崎女子ソフトボール部投手・上野由岐子さん

 S−moveインタビュー、第2回は日立&ルネサス高崎女子ソフトボール部・上野由岐子投手です。
 上野さんは日本代表のエースとしてアテネオリンピックの銅メダル獲得に貢献しました。昨年は16勝3敗・防御率0・40、奪三振186の新記録を達成、日本リーグのMVPを獲得しました。国際試合ではアテネオリンピック金メダルのアメリカを2試合完封。所属チームの宇津木麗華監督は「上野がいる限り、どんな大会でも常に優勝が狙える」と語り、日本代表の井川英福監督は「上野は立派、昨年は更に成長した」と言います。大活躍の裏側と今年の抱負をお聞きしました。
(インタビュー・構成:櫻井直人、写真:武山智史)





―ピッチングで気をつけていることはどういうことですか。
 気持ちの面で中途半端なボールは投げないということです。「ライズにしようかな、ドロップにしようかな」と迷って、「乾(日立&ルネサス高崎でバッテリーを組む捕手)がライズのサインだからライズにしようか」と思って投げると打たれます。去年の後半戦からは「このボールを投げたら絶対討ち取れる」という自信を持って投げられるようになりました。
―乾さんの存在は大きいですか。
 はい。一昨年までは乾が自信を持てずにサインを出すと、私も「それでいいのかな?」と迷って、お互いもたれ合っていました。去年は、私が「今は、そのボールじゃなくて、このボールだ」と思ったらその意思を伝え、逆に乾の方でも、「私はこのボールです」とはっきりとサインを出すようになりました。乾も自信を持ってリードしてくれました。



グラブの裏には「乾と一緒」という『以心伝心』の文字がある

―サインのやりとりでお互いの意思が伝わるということですか。
 2年も3年もバッテリーを組んでいると、今日はテンポがよいなとか、迷っているなとか、サインの出し方で相手のことがわかります。去年の後半戦は乾が引っ張ってくれたので、自信を持って投げることができました。
―アテネ当時はストレートの速さが117キロ(野球換算約164キロ)と言われていましたが、昨年のジャパンカップでは121キロ(野球換算約171キロ)と紹介されていました。
 ジャパンカップのときに119キロ(野球換算約167キロ)は何度か出たと聞いているので、自分では一応119キロくらいにしておこうかなと(笑)。自分ではそんなに球が速くなったという実感はありません。
―奪三振に対するこだわりはありますか。
 奪三振数へのこだわりはありません。ランナーをサードにおいて、ここは絶対三振を取るしかないという場面でしっかり三振を取る。三振が欲しい時に取れるようにはなりたいです。



―去年アメリカで指導を受けたと聞きました。
 7月のUSワールドカップの前に監督(宇津木麗華監督)と二人でアメリカに行って、1週間くらい向こうの女性コーチから1対1で技術指導を受けました。技術的には「上達があるかな、どうかな」というくらいですが、ソフトボールに取り組む意識が変わりました。アメリカの指導者やピッチャーと話して「自分はまだまだなんだ、もっとやらなきゃ、アメリカに勝てない」と思って、急にソフトボールに対する情熱がまた燃え上がりました。
―技術面ではどんなことを教わりましたか。
 球種ではシュート、向こうで言う「スクリュー」を新しく教わりました。持ち球全部のピッチングフォームもチェックしてもらいました。骨格とか筋力が違うのが理由だと思うのですが、指導されるフォームが日本と全然違います。日本の指導のよさもあるので、向こうで教わった通りにするのではなく参考にする程度です。今までの投げ方にアメリカで教わった部分をアレンジしようと考えています。今、新しい上野流のフォームを作っている段階です。



―アメリカやオーストラリアは、アテネオリンピックのときと変わっていましたか。
 アメリカもオーストラリアも多少メンバーが入れ替わっていました。アメリカは、エースのリサ・フェルナンデス、4番のブストスというオリンピックの中心選手が抜けていました。でもそれとは別に、自分のアメリカに対する見方が変わりました。今まではアメリカ・イコール強いという先入観があって、「どうやって勝とうか、どうやったら0に抑えられるのだろう」ということばかり考えていました。アメリカに行って、アメリカの色々な面を知ることができて、余裕をもってアメリカを見ることができるようになりました。アメリカ、オーストラリアのナショナルチームのレベルが下がったとか上がったという問題ではなく、自分が変わったのだと強く感じました。
―今年の抱負、目標を国内、代表に分けて教えて下さい。
 国内では、「負けない」ということです。リーグは全勝、全日本総合、国体も予選からすべて勝つ。一人では出来ませんが、先頭に立ってやっていく。1年目、2年目の若い選手にも常勝のイメージを植え付けたいです。
 代表では、北京の世界選手権で2位以上になって北京オリンピックの切符を取ることです。その上で、まだまだ私は中堅の位置ですけれど、今までベテランの方が日本代表として築いてきたいい面を崩さないで、うまく下の子たちに伝えていけたらと思っています。

上野 由岐子(うえの ゆきこ)
1982年(昭和57年)7月22日、福岡県福岡市生まれ。173センチ、71キロ、右投げ右打ち。
柏原中学校3年で全国制覇。九州女子高校3年で国体優勝し、01年日立&ルネサス高崎に入社、同年日本リーグの新人王。04年アテネオリンピックで銅メダルを獲得。世界最速のストレートと多彩な変化球を合わせ持つ日本のエース。08年の北京オリンピックでの活躍が期待される。





2006年03月07日
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