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男子日本代表新ヘッドコーチ発表会見 バスケ

 9月13日、日本バスケットボール協会は、日本代表ヘッドコーチに鈴木貴美一氏(アイシンHコーチ)が就任すると発表した。同時に11月に行われるアジア大会の選手・合宿スケジュールも発表された。

 選手リスト・スケジュールは こちら

 日本バスケットボール協会

 まず石川武・日本バスケットボール協会強化担当常務理事、杉浦良昭・日本バスケットボール協会男子強化部長が登壇、挨拶を述べた後、新ヘッドコーチが発表された。

【石川武・常務理事挨拶】
 世界選手権は多くのメディアの方に取材頂き、本当に成功裏に終わりましたことをこの席を借りて御礼申し上げます。予選ラウンド4会場では約10万人、決勝ラウンドでは12万を超える方々に世界のトップレベルの試合をご覧頂きました。本当にファンの方々には満足頂けたと思っております。試合を観ながら日本の行くべき姿も想像しなければなりませんし、今後とも精進をして、いまだ程遠い所にありますがどうしたらその世界のレベルになれるのか真剣に模索しながら、我々も頑張っていきたいと思います。

【杉浦良昭・強化部長挨拶】
 世界選手権では決勝ラウンドに進めず、皆さんのご期待に結果的には沿うこと
ができませんでした。そういった悔しさなどを踏まえ、新たなヘッドコーチを迎えることによって、アジア大会・北京五輪予選で何とか皆さん方のご期待、またファン・関係者の総意を達成したいと思っております。

 本日は日本代表チームの新たな船出ということで、あらゆる角度から状況を分析し、協会の強化委員会メンバーをはじめ多くの関係者に意見を頂きました。新たな人材を日本代表のヘッドコーチに起用し、アジア大会・北京五輪予選に向けて強化していきたいと考えております。新ヘッドコーチはオールジャパン4連覇、JBLスーパーリーグ2連覇と国内のトップリーグで6度チームを日本一に導きました。また毎年欧米で1ヶ月以上最新のコーチング論を学んでいます。今回、ヘッドコーチとしての責務は北京五輪出場です。この大きな使命を担うわけですが、必ずや我々の期待、またファンの多くの夢を実現するものと信じています。

 日本代表ヘッドコーチは、現在JBLスーパーリーグ・アイシンシーホースの指揮をとっています鈴木貴美一ヘッドコーチです。


 ここで鈴木貴美一・新ヘッドコーチが登壇、決意表明に続き、アジア大会のメンバーが発表された。選手12人については鈴木ヘッドコーチが1人1人選考理由を付けて名前を読み上げた。

【鈴木貴美一・新ヘッドコーチ挨拶/決意表明】
 アイシンの鈴木です。今回の日本代表Hコーチ就任依頼にまずは責任の重さを感じるとともに、身の引き締まる思いでいっぱいです。世界選手権が日本で開催されましたが、それ自体が我々バスケットに携わっている人間として非常に勉強になりましたし、選手・関係者ともいい経験になりました。現在、日本は身体が小さいということがあり、世界の中でも非常に厳しい状況です。バスケットをやりたいという若い世代がたくさんいるので、その灯火が消えないために、艱難辛苦あると思いますが全力で日本代表の仕事を最後まで、アジア大会優勝目指して頑張りたいと思います。国内の大会で戦うようなわけにはいきませんし、今アジアは帰化選手が増えており、アジアの中でも非常に厳しい状況です。僕が現役のときは大体常に3位に入っているような状況でしたが、運動能力のある選手が増えてきて、ただ一生懸命やればいいという状況ではないので、スカウティング等して、またバスケットに灯がつくように頑張りたいと思います。
 

【アジア大会男子代表チームメンバー発表】
 
鈴木ヘッドコーチ:以下の12名の選手をアジア大会に向けて選考しました。選考の基本的な基準は、まず国内リーグで活躍していること。その中で海外で通用する選手−メンタル、技術含めを選びました。この選手達は今、国内のトップリーグの各チームの主力として活躍しています。この他に北選手(卓也・東芝)、古田選手(悟・トヨタ自動車)、節政選手(貴弘・東芝)というベテランもいますが、代表チームは連戦が多くベテラン勢だけでは戦えません。そういった年齢的なことも含め、若手・中堅の選手も混ぜたこのメンバーで結果を出したいと思いました。この選考が、結果的に“私のミスだったな”ということもあるかもしれませんが、“あの時こうすれば”というようなことは言い訳になってしまうので、とにかくこの選手で戦わせてほしいという気持ちです。

マッカーサーエリック 「38歳ですが、現状日本はインサイドが非常に弱く、アジアにはアメリカ育ちの帰化選手がたくさんいるので、それに対抗するリバウンドで、長時間は無理だが頑張ってもらいたいと選考しました。最初は無理かなと思いましたが、“コーチがやるならやるよ”と言ってくれました」
佐古賢一 「36歳、実績は申し分ありませんし、何より私のやりたいバスケットを把握しています。彼も長い時間は無理かもしれませんが、ポイントガードはコート上で周りの選手に影響を与える存在なので、もう少し頑張ってもらいたいと選びました」
折茂武彦 「日本には彼のようなスコアリングシューターが非常に少ないんです。スポットで、例えば速攻でアウトナンバーでシュートを打つ選手は多いのですが、スクリーンを利用したりファールをもらったり裏をついたりして、ディフェンスがタイトについている状態でもシュートを決めるのは、現在のスーパーリーグの中で彼が1番です。トレーニングの結果を聞いてもまだまだスタミナは持つようですし、スコアリングシューターというポジションでどうしても必要だと思いました」
大野篤史 「大きな選手(197cm)のわりに器用でパスセンスもあります。自分でシュートチャンスを作ることはまだできませんが、スポットでのシュートはほとんど入ります。ミスをするといいオフェンスを展開できないので、器用な選手が必要です。世界選手権のメンバーには入っていませんでしたが、サイズがあって器用な選手ということで選びました」
渡邉拓馬 「折茂くんに続く、まだ27歳と若手のスコアリングシューターです。スクリーンを使いながらクレバーにプレーができる選手だと私は思っています」
青野文彦 「世界選手権ではサイズがあるにも関わらずメンバーに入っていなくて、非常に残念だなと思っていました。やはり彼の高さは日本になく、どうしてもそれが必要なのでどれぐらいできるかなということで選考しました」
伊藤俊亮 「スーパーリーグで見てもセンターとしてあまり器用な選手ではありませんが、ディフェンスやリバウンド、スクリーナーという部分で非常にフィジカルに頑張る選手です。やはりそういう選手もチームの中にいないと、練習・ファールトラブルが起きたときに困るので、インサイドのフィジカルな選手として選考しました」
網野友雄 「まだ荒削りですが、練習に取り組む態度、フィジカル、スピード、運動能力もある。これからまだまだ伸びる選手だと思っているので選びました」
柏木真介 「日本のガードの中で1番ディフェンス面でフィジカル−強い身体と精神力、スタミナもあります。パスも結構うまいです。こういう選手がガード陣のバックアップに絶対に必要になってくるし、佐古選手同様私といる時間が非常に長い。全く同じバスケットをやるわけではありませんが、やりたいバスケットを熟知してもらうためにもメンバーに入れました」
桜井良太 「194cmあり、全日本で鍛えられて、ディフェンスがよくポイントガードにもつけます。そしてやはりドライブがいい。運動能力があるし、パスになるとまた別問題ですが、ボールハンドリングが非常に良い。ボール運びも器用にこなす選手です。ロールプレイヤーとして世界選手権チームでも結果を出していますので、色々なポジションで活躍してもらいたいという意味で選びました」
竹内公輔 「1番若く、まだ未熟な部分はあるかもしれませんが、将来日本のナショナルチームを背負って立つめったにない逸材なので、大会を通じながら育っていってほしい。高さもあり、リバウンドなどを忠実にやる選手。非常にミスが少なくて戦力としても計算できる選手だと思っています」
竹内譲次 「同じように身長も高く若いですし、やはり日本を背負って立つ逸材だと思うので、引き続き今回のナショナルチームを頑張ってもらいます」
 

【質疑応答】
・決定までの経緯について
−外国人コーチも選択肢にあったか
杉浦強化部長:特に日本人だから、外国人だからという意識は当初からありませんでした。強いニッポンを作るためにはどうしたらいいかを多くの方々とご相談した結果と思っています。海外のヘッドコーチについても様々な方からアドバイスを受けましたし、国内からも自薦他薦含めいろいろなアドバイスを頂きました。結果として、私が単独で好き嫌いで決めたわけでなく、日本協会の中の歴史ある強化委員会で話し合って、9月2日に決めました。海外の指導者、鈴木以外の日本の指導者も3人ほどリストに上がっていましたが、委員会のメンバーは鈴木を押し、満場一致で拍手を持って提案されたものを認めました。

・ガードポジションの選手選考について
−世界選手権メンバーの五十嵐圭選手(日立)の落選について
鈴木ヘッドコーチ:五十嵐選手は1番悩みました。いいものを持っており、世界選手権でもある部分は通用していたこれからの選手です。でも、今回残念なことに結果が出ませんでした。ナショナルチームはやはり結果が求められます。だからガードに関しては自分のそば(アイシン)にいる選手をどうしても採用したかったのです。当然、アジア大会が終わって、ガード陣がもう少し必要だとなれば当然選ばれる選手だと思っていますし、彼を否定するのではなく、自分と常に一緒にいてコミュニケーションし、バスケットの考え方を教えているガードにしたかったという気持ちが強いです。その理由で佐古と柏木くんを選び、渡邉・桜井くんも短い時間ならポイントガードができるので、五十嵐くんは選考しませんでした。

−田臥選手について
杉浦強化部長:ずっと彼と連絡を取ってきましたが、結論から言うと今回はNBAに挑戦している彼のスケジュール上、調整が難しいので辞退したい、という返事が来ております。来年については、北京五輪予選ということでもし候補に選ばれるならその時に考えたいと言っており、つまり出場したいということですが、時が変われば状況も変わります。よって来年の候補を決める際には打診しつつ、関係者と候補に入れる入れないかということも含めて検討していきたいと思います。
鈴木ヘッドコーチ:彼の良さはやはりミスが少なくてパスがうまいところですが、他の日本の選手も皆それぞれ違う部分でいいものを持っていると思います。以前、日本代表の合宿に参加した田臥くんは見たことがありますが、彼も非常に成長していると聞きますし、今の時点ではいい・悪い等は全く言えません。今はこの(アジア大会の)メンバーのことだけを考えている状況です。

前チームからのシフトについて
−パブリセビッチ前Hコーチは専任だったが、鈴木ヘッドコーチはアイシンとの兼任。メリット、デメリットは
鈴木ヘッドコーチ:国内外含め、兼任で結果を出しているコーチもいるし、専任で結果を出さないコーチもいます。バスケットの場合、母体チームの試合があるとき(シーズン中)に国際ゲームがないので、兼任でも可能だと思います。さらに、兼任コーチは常にリーグで選手達をゲームで見て、長所や短所、どこで生きるかなどを見ています。学生の時からプレーを見ているのは選手を起用する上ですごくやりやすくなります。専念できる分常識的に考えれば専任コーチの方がいいかもしれませんが、専任はある程度の期間がないと選手達の特性を把握しきれないという面もあります。
選手が全くいない状態でも素晴らしいコーチが来たら勝てるか、といったらそんな簡単なものではありません。いかに選手達のモチベーションを上げて戦う集団にするか。自分達の役割を徹底させるか、そういうことがコーチングであって、戦術・技術的なことを教えるのはティーチングなんです。だからバスケットのスタイルを教える以前に選手の心、ハートをつかまないとコーチングはできない。そう考えると、国内トップリーグの中で実際に性格的な特性などをシーズンを通して見ているというメリットが僕にとっては1番有利なことかなと思います。

−パブリセビッチ前Hコーチからチームを受けるにあたり、どんなチームにしていきたいか
鈴木ヘッドコーチ:まず、前ヘッドコーチのことは一切言うつもりはありません。言葉のニュアンスで否定的に受け取られてしまったら大変なことになるからです。
僕自身のコンセプトは、日本はアジアの中でも体格的に負けている中で、いかに確率のいいシュートを打つかです。ポイントはシュートセレクション。今年の春、勉強がてらスペインリーグを観に行きましたが、無理なシュートをしないんです。そこが1番日本と違う所かなと思います。しなくなれば日本が勝てるということではありませんが、やはり日本はハンディがある分無理なシュートは禁物です。中には雑なチームもありましたが、ベスト4に入るようなチームは大きい選手も選びぬかれており、ガード並のパス能力があってオープンの選手に必ずパスしていました。これは練習する中で常に見習わなければいけないと思います。幸い、フィジカルやジャンプ力などの面では欧米の方がはるかに強いですが、日本人はあらゆる点で綿密に対応できる特性を持っています。また、ディフェンスやリバウンド・ルーズボールはメンタルが非常に影響してくるものですが、オフェンスはある程度考えてやらないと、一生懸命やるあまり無理なことをやってしまう可能性が出てきます。逆に、訓練されていなくても、考えて、少し練習して息を合わせればできるという部分もあります。だから、この選ばれた選手達に、一番最高の状態のパフォーマンスをさせることが僕のコーチングの仕事だと思っています。戦術の1つであるメンバーチェンジも含め緻密に考えて、ただ一生懸命頑張るのではなく、それは当たり前として、考えながら1番確率のいいディフェンス・オフェンスをやりたいと思っています。

−パブリセビッチ前Hコーチは体力的に厳しい練習を行ったが、新チームの方針は
石川常務理事:確かにパブリセビッチの指導にベテランがついていけなかったのは事実だと、本人はどう言っているかわかりませんが、私が客観的に見て思います。パブリセビッチも自分の指導についてこられない者を選ぶわけにはいかないという哲学があったと思います。しかし、彼でなければできなかった指導は私はきちっと認めています。おそらく、鈴木くんにはできなかった指導を、彼はやってくれました。そういう下地の中で世界選手権に向けて戦った時に、今1つ物足りない部分が私にはありました。その部分を今鈴木くんに託し、ベテランも加えています。本当はパブリセビッチの下で、このベテランの皆が歯を食いしばって“壊れても俺は頑張るぞ”というモチベーションがほしかったですが、残念ながらそれには到達しませんでした。今回は、ベテランも本当に日の丸の下で、鈴木くんの下で、全力を尽くしたいというものを私は感じ取っております。鈴木くんがこれからパブリセビッチがヨーロッパでやった練習をどう取り上げるかは別にして、それは前提として1番大事なことだと私は思っています。
鈴木ヘッドコーチ:僕の考えていることを述べさせて頂きたいと思いますが、若い選手でやれれば1番いいと思います。アイシンが年齢の高いメンバーで優勝を重ねたので、ベテランが好きというイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはなく、若くても才能のある選手には魅力を感じますし、メンバーに合った効率のいい練習をしなければいけないと思います。過去に大学のコーチをしていた時は、根性論ではないですが練習を長くやって鍛えて…とやりましたが、このメンバーにはベテランもいます。だからちょっと若い選手を鍛えたいな、という時には、別メニューでやるつもりです。どうしても若い選手というのはまだ経験がないから鍛えなければなりません。色々ミックスして、1番いい方法を取りたいと思っています。


取材・文 北村美夏 2006年09月13日
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