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どんな日本代表が見たいですか? バスケ

 9月13日、男子日本代表の新ヘッドコーチにアイシンの鈴木貴美一ヘッドコーチが就任し会見が行われたが、この時点では鈴木ヘッドコーチによると「いつまでということはまだ聞いていない」ということだった。

 この“期間”について、石川武・常務理事は、
「私と杉浦強化部長では話を進めています。五輪周期(=4年)というのが我々の基本です。しかし、今回はある意味ではシーズン半ばというか過渡期の状況で、アジア大会・五輪予選を含めバスケット界の正念場に突入しているというのが我々の認識です。その中では4年周期というような状況ではなく、1戦1戦がもう勝負である、悪く言えば待っている時間などないという意気込みを伝えてあります。それで、鈴木くんがそういう発言(今は12月のアジア大会のことだけ考える)をしたと思います。我々としても、鈴木くんも若いですし、ここで失敗したからどうだということではなく、失敗できないんだという意気込みを伝えるためにそのようなこと(期間)は伝えておりません」
 と説明した。

 ではヘッドコーチ交代もありうるのか、明確な評価基準は設けてあるのかという質問が出ると、
「先ほど言った中にその提示が含まれています。パブリセビッチについては4年間の周期の中で、その時々でこういう状況を作ってほしい、最終年度は世界選手権でこれだけの結果を出してほしいという条件をきちっと出していました。それをクリアするしないという前提の中で今回の交代はあったと私は感じています。ですので鈴木くんについては1戦1戦が勝負だよという次元の中で頑張ってほしいと思っています。
アジア大会まで期間は短いですが、このメンバーを見れば当然優勝を目指しているのがわかると思います。まして2007年の北京五輪予選は、日本に誘致したという段階で我々の決意は決まっております。その前提で、どうやったらバックアップできるかということも含め鈴木くんというヘッドコーチを迎えました。だから余程のことない限りアジア大会で負けたから更迭するという考えは毛頭ございません。もしそういうことがあるとすれば選んだ私が悪い、私と杉浦くんが悪い、選手強化が悪いということになります」
 と補足した。


 このやりとりをはじめ、今回の会見ではとにかく12月のアジア大会で勝つこと、そして北京五輪の出場権を得ることが強調された。上でも石川常務理事は「1戦1戦が勝負」と述べている。

 また、杉浦強化部長も「アジア大会・北京五輪予選でファン・関係者の総意を達成したい」「今回、ヘッドコーチの責務は北京五輪出場。必ずや我々の期待、またファンの多くの夢を実現すると信じている」と同様の姿勢だ。


 しかし、だ。例えば、もしこの直近の2大会で結果を残さなかったらその後の大会に全く参加できない、などということなら後のことは考えずこの大会に100%集中しなければならない。だが現実ではその後も大会はずっと続いていく。それは日本代表の挑戦はずっと続いていくということだ。

 よって、長期的な育成計画もあるのかどうか、杉浦強化部長に尋ねてみた。

「もちろん動いています。今作っている案をこれから具体的に年内までにまとめて、来年度の理事会に提案していきたい。強化委員会の総意として、これから高校・大学に出すなど進めていくつもりです。スプリングキャンプも周囲の賛同がないといけないし、海外との交流をどうするか、どうしたら若手をその場にうまく引き上げられるか、これはエンデバーと関係があるのでそれとうまく相談しながらですが、そういうものも含めてこれからですね」


 では、その検討していかなければならない要素の1つ1つが収斂するところはどんなものなのだろう。

「やはり目指すといったら、ものすごく抽象的になるけれどきっと“強いニッポン”でしょう。常にオリンピックを狙える、世界選手権も出場したいというのがターゲット。大きな大会はそれしかないので。それがファンを育てるし選手も育てるでしょうから、我々としては当然目標にしてやろうとしています」


 先に石川常務理事が言った“今が正念場、待っている時間などない”というのは、バスケットに関わる人は皆同じ気持ちだろう。だが、“このメンバーを見れば当然優勝を目指しているのがわかる”という点については、つい先の世界選手権で中国やレバノンの戦いぶりを目の当たりにしたうえで、国内リーグで活躍する選手を集めればすぐにアジアで優勝できるのだろうかという意見もある、とここに記しておきたい。同様に、北京五輪予選も開催国になりさえすれば(もちろん誘致成功は素晴らしく、多大な努力もあっただろうが)切符が手の届く所に近付くのだろうか。

 もちろん、バスケットに関わる者の1人として、“強いニッポン”を望んでいる。だが優勝できなかったとき、出場権を得られなかったときに知りたいのは“○○が悪い”ということではなく、どんな姿を目指してきたか、どのくらいそれに近付けて、何が足りなかったのかということだ。

 それがわからなければ、次につながらない。

 はじめは“強いニッポン”でもいい。今やアメリカ代表を凌駕するようになったヨーロッパの国々も最初に出たのは“アメリカに勝つ”だったかもしれない。だが現状から考えて、常に五輪・世界選手権に出るようになるまでには多くのステップが要る。いつまでにどんな段階に達するべきか、例えばこれまでの日本なら2006年世界選手権、中国なら2008年北京五輪というような明確な目安がなくなった今、そのプロセスが重要なはずだが、まだ見えてこない。


 ”待っている時間がない”というのは育つのを、という意味ではないはずだ。育て始めるのをという意味であってほしい。“1戦1戦が勝負”ならなおさら、長期・継続的な育成を望む。というか絶対に必要だ。それも具体的で、逆算して計画が立てられるようなものだ。

 もちろん、もう様々なことが始まっているのを知らないだけかもしれない。だがとにかく、“ファンの総意を達成”しようとしてくれているのは確かなので、ファンの方々は次の問い掛けに対する答えをすぐに思い描き、言葉で言えるようにしておいてほしい。


 “どんな日本代表が見たいですか?” 


取材・文 北村美夏 2006年09月13日
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