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インカレ6日目 準決勝(1)法政大−東海大 バスケ


東海大#33西村を笑顔でねぎらう小林キャプテン。
しかし、ロッカールームに戻ってからは涙したという。
 12月1日、東京の代々木第2体育館にて男子第59回全日本学生バスケットボール選手権大会(通称インカレ)6日目が行われた。
 準決勝は、法政大がトリプルオーバータイムの末に東海大を下し、30年ぶりの2位以上を決めた。もう1試合は第1シードの青学大が大東大を退け、リーグとの2冠に王手を掛けた。
 7位決定戦の組み合わせは筑波大−明治大、5位決定戦の組み合わせは早稲田大−日本大となった。

1日のその他の結果
準決勝 大東大 86-97 青学大 レポートは こちら
5-8位決定戦 明治大 70-78 早稲田大
5-8位決定戦 筑波大 66-79 日本大

準々決勝(3)青学大−早稲田大は こちら
準々決勝(2)法政大−日本大は こちら
準々決勝(1)大東大−明治大は こちら
2回戦(11/29)慶應大−日本大、明治大−専修大は こちら
2回戦(11/29)大東大−日体大、法政大−関西学院大、近畿大−筑波大は こちら
2回戦(11/28)早稲田大−白鴎大、青学大−中央大は こちら
1回戦(11/28)筑波大−天理大、近畿大−岩手大は こちら
1・2回戦(11/27)新工短大−関西学院大、中部学院大−慶應大、日本大−学泉大は こちら
1回戦(11/26)早稲田大−九州東海大、白鴎大−東北学院大、明治大−大院大は こちら

インカレ 公式サイト
昨年のインカレレポートは こちら

準決勝第1試合
東海大 99(23-17 11-17 24-17 14-21 9-9 9-9 9-17)107 法政大

前代未聞のトリプルオーバータイム
楽しんだ法政大が波をつかんで勝利!


38点をたたき出した法政大#5神津
ぺロッと舌を出す自然体がよかった
 「“うわぁ、負けるーーー!”と思ったら“…おお〜”という感じで、ベンチはこうでしたね」と手で上下する波を作ってみせた法政大#23信平。3度の延長の間のチームの雰囲気を聞かれてこの答えだ。両チーム通じて唯一55分フル出場した#13深尾も言う。
 「あきらめなかったのは当然なんですが、その時間その時間をうちの方が楽しんでバスケしていた。それに尽きます。楽しんで、あとうちの方が層が厚かったのが勝因です」
 トリプルオーバータイムだからといって仰々しくならない。“楽しく!”という法政大の真骨頂を見せてもらった。


 先行したのは東海大で、法政大はいつものスロースタート。だが、東海大のセンター#29嶋田・#35中濱がファールトラブルで下がる間にリバウンドで優位に立ち、速い展開に持ち込む。準々決勝・日本大戦ではバスケットカウントで流れに乗ったが、この日も2Q7分に#7山田が3Pシュートのバスカンを決め、4点プレイで23-25と一気に逆転した。

さらに#92福田大がペイントエリアで連続得点をあげ、6点までリードを広げる。だが、東海大は#33西村が残り4分半に2Q初得点となる3Pを返し、ついていく。法政大がこの後「打てず入らずだった」こともあり、#35中濱を戻すとリバウンドも互角となり再逆転。法政大がディフェンスを頑張って何とか34-34と同点で折り返すも、3Qに再び盛り返す。#24古川のスイッチが入り、連続シュートで41-34。#1石谷も続いて2人で加点、残り3分53-40まで点差を開いた。


東海大#24古川の連続シュートに小林の口は「すげぇ」と動いた
 「やっぱり東海は基本ができているチームなので、大崩れというのがない。でも“1本ずつ”という指示もありましたし、焦らずディフェンスで頑張ろうと思いました」(#91落合)という法政大は、#5神津がバスカンを得ると、1スローのリバウンドを#23信平がとって得点につなげ、1桁差とする。信平はさらに東海大#24古川の3Pも返し、残り30秒にはスティールからレイアップを決めて58-51と4Qにつないだ。

 4Qはそのまま“信平タイム”となった。東海大がフリースローを2投落とすと、#24古川がリバウンドをつかみそうなところに飛んできてボールをスナップ。東海大の得点を62で止める間に2本目の3Pを決め、4点差に詰め寄った。
 
 「マッチアップの古川にはついていくのが精一杯で、シュートをいいところで決められた。でもこっちもやってやるぞって気持ちになりました。3Pは1本目が入って、2本目も入ったら“きたんじゃないか?!”って思いました」(信平)

 ここまで持ち直したのは、法政大#64佐々木の存在が大きい。3Qは2番ポジションを何度か交代していたが、佐々木のコントロール力が効いた。前の試合は6分しか出ていないが、判断力はさすがのものを持っていた。

 「東海が前からあたってくるのに対して2番ポジションが運んであげる、となっていたのですが、なかなか安定しなかったので、“佐々木を出してくれ”って頼んだんです。もともと2ガードでやりたくて、ちょうど相手も2ガードできていたので、それが大きかったですね」(#13深尾)


新人戦といい土壇場での
決定力がある東海大#29嶋田
 佐々木の加入でアウトサイド陣にほんの少しずつ余裕が出ると、ディフェンスでも集中力が増し、堅守で東海大のインサイドに仕事をさせない。#24古川、#33西村のジャンプシュートも楽には打たせず、落ちる。その間に#91落合のシュートでついに62-62とすると、東海大を24秒オーバーに追い込む。そして#23信平が2本の3Pを決め、残り3分62-68と一気に抜き去った。

 しかし、東海大も意地がある。#29嶋田をコートに戻すと、嶋田→#33西村→#24古川と鮮やかなパスワークを見せ68-70と迫る。さらに今大会急成長の#35中濱がブロックショット&リバウンドシュートを決めて残り1分半70-70と振り出しに戻した。

 「僕はどちらかというと1on1で点を取る方じゃない。それもあって今までは“こうすればいい”というのがなくて、自分のやるべきことがあやふやだったんです。でもコーチに『リバウンドを取れば2点のチャンスにつながる。だからそれは同じ2点分の活躍だよ』と言われて、肩の荷が下りたというか、落ち着いたんです。昨日くらいからリバウンドに集中していい感じできていました」(中濱)


 だが、法政大は「インサイドの1on1はうちの方が強い」(#13深尾)と、タイムアウトあけに#91落合→#5神津のハイロープレイを選択、成功してリードする。東海大は決めきれないが、残り40秒での法政大のオフェンスは

「3Pは“きた!”と思ったんですけど、最後は
外して皆を疲れさせてしまった」(法政大#23信平)
審判が一瞬迷った末にチャージングのコール。これを#24古川が持ち込むも、シュートは決め切れない。しかし#29嶋田が押し込んで残り20秒同点に。法政大は当たっていた#23信平の3Pにかけるが、これは落ちる。両チームの選手がベンチに戻り、延長戦突入―と思われたが、残り1秒で東海大のタイムアウトということになり、サイドスローインでリスタート。東海大にとってはわずかながらも勝ち越す望みがあったが、なんとこのスローインを法政大#23信平がスティール。「スティールはポジションを考えたり相手の目を見て狙っています。まぁ最後は勘なんですけど…」。その勢いでゴールに向かって放たれたボールはあわやという軌道を描いたが、リングの付け根に当たって大きく跳ねた。72-72、改めて今大会初の延長戦に突入した。


東海大、2度のアドバンテージを生かせず

いつもはポーカーフェイスの東海大#33西村も、
3Pを決めて小林キャプテンに飛びついた
 延長でまず主導権を握ったのは東海大だ。最初の得点こそ法政大#13深尾がドライブで東海大#33西村の4つ目となるファールを奪い、フリースローで先行するが、東海大は#24古川がジャンプシュートを決める。さらに次のオフェンスは#32安部がじっくり時間を使って#33西村の3Pにつなげ、残り2分半79-73と大きな6点差をつけた。 

 法政大は#13深尾がさすがに足に来ており、ゴール下を決められないが、#91落合が気迫でリバウンドをもぎ取ると、#23信平の3Pにつなげる。さらにここで東海大を24秒オーバーに追い込む堅守を見せる。すると#5神津が裏パスを受けてゴール下でフリーになり、思わず飛んでしまった#35中濱から4つ目のファールを奪うバスカンを決め、残り1分振り出しに戻した。

 東海大は#24古川がジャンプシュートを決めて勝ち越すが、法政大も#5神津がバランスを崩しながらもフィニッシュを決め、残り28秒81-81と譲らない。「せっかく僕に回してくれたので、とりあえず攻めて点取らなきゃって。ミスして終わったら謝れないと思いました」(神津)。東海大はタイムアウトを取って#33西村に託すが、ドリブルを足に当てるミス。東海大にとってはチャンスを生かしきれず再延長となった。

 再延長でも東海大がチャンスを引き寄せる。#32安部の3Pで始まると法政大はシュートが落ち、リバウンドに奮闘していた#91落合が相次いで3、4つ目のファールを取られ、ベンチに下がらざるを得なくなる。代わった#92福田大の1on1も東海大#35中濱がブロック、ルーズボールでチームファールフリースローを得て残り3分88-81と大きなアドバンテージを得た。


再延長で決めきれず頭を抱える東海大#35中濱。だが
十分活躍しており、このシュートまで決めろというのは酷
 法政大は#64佐々木が3Pシュートを決めて4点差とするが、残り1分を切っても点差はそのまま。東海大としては今度こそ決めたかったが、ここで#32安部がドライブでボールを失い、法政大は#92福田がリバウンドを押し込み2点差に迫る。さらに残り30秒、#33西村のドリブルからのパスに合わせがおらず、ボールは法政大のゴールの方へ飛んでいく。これに反応したのは#92福田大。レイアップをきっちり決め、残り7秒90-90と同点に持ち込んだ。東海大はここでも#33西村の1on1に掛けるが、ブロックをよけたレイアップはこぼれる。だが#35中濱が逆サイドのゴール下で待っており、リバウンドタップを押し込むかと思われたが、決めきれずブザー。東海大はまたもアドバンテージを生かせなかった。

 「1回目で決めるつもりでだめで、2回目も決めるつもりで、だめで。そこがやっぱりやっている選手たちは精神的疲労につながったのかなと思います。6点、7点リードしたけれど失敗して。それが相手に勢いを与えてしまったかな」(東海大#34小林)


延長で次々にシュートを決め、
スタンドを指差す法政大#92福田大
 一方、法政大のベンチではものすごい指示が出ていた。というか、指示は“なし”だった。

 「指示はもうここまできたらしないって今井コーチがおっしゃったんです。なになにで攻めろとかは全然なくて、好きなようにやれ、楽しめって。それで僕達も楽しもうとなりました。実際、延長、延長って重なっていくうちにどんどん皆楽しくなってきちゃって(笑)。僕も4つファールをしてしまってベンチにさがったときは、“これで負けたら絶対悔いが残る。皆さんどうかお願いします”って感じだったんですが、いつの間にか皆と楽しんで応援していました。うちはそういうのを気楽に思えたのが、勝利につながったのかなと思います」(#91落合)

 ゲームメイクを任された法政大#13深尾は言う。
 「完全に任せてくれたのはいいのですが、2回とも6、7点とかなりのビハインドまでいって最悪でした。ただ、ここで攻めようと絞ったところで取れたので、自分の考えが合っていてよかったなと思います」

東海大は最後までDFに行くも及ばず


 その“攻めどころ”はもちろんインサイド。再々延長の開始20秒、#92福田のゴール下に東海大のガード・#33西村が5ファールとなってコートから去ると、拮抗していた力関係は一気に法政大に傾いた。94-94から#92福田が連続得点、守っては東海大を中に入らせずリバウンドもがっちり確保。残り1分、#5神津がレイアップを決めて94-101とすると、勝負あった。

 「今日はでっかすぎる波はこなかったんですけど、最後はうちの波が上になったときに終われた。結果それだけじゃないかなと思います」(法政大#13深尾)


非常事態にも「いつも通り」だった法政大
東海大は最後に力尽きる


どちらもギリギリの状態でプレー
 55分という未知の世界に、両チームの選手ともかなり疲れていた。法政大なら#13深尾、東海大なら#24古川・#33西村といったいつもは決めるメンバーもシュートを決めきれない。深尾は「もう足ではつけず、西村には7割くらい抜かれていて、とりあえず上だけ合わそうと思っていた」という。

 中でも法政大#5神津は疲れのあまり東海大#33西村のファールアウトも「全然知らなくて、なんで出てこないのかな?と思った。それで掲示板をぱっと見てあ、退場だと気付きました」
 そんな状態だったが、笑顔は絶えなかった。「すごい苦しかったは苦しかったんですけど…、苦しい顔をしてやっていたらつまらないし、笑顔で楽しくやるのが法政なんで。コールもそれにイライラしてもしょうがないし、自分のプレーだけをやりました。負けるとは思わなかったですね。いつもの法政という感じだったので、点差をつけられても負けないだろうなーって思っていました」

 “いつも通り”。これが法政大のキーとなった。いつも通りというのは、ずばり“楽しく”ということだ。リーグ終盤から、練習ではずっと選手同士コミュニケーションを取ったりしながら楽しくできていたという。誰が何と言おうと、ゲームは選手達のもの。楽しくやり通す権利があった。

 「ホント、準決勝で再々延長までできることをなんか楽しめたんですよね。確かにすごく疲れていましたが、純粋に楽しめたので集中もしていたと思います。まぁディフェンスは楽しくないですけど(笑)、変にカッコつけることなくいつも通りの楽しさがさらにこの環境で倍増したって感じです。うちの連中はもう練習の感じでしかできないので」(深尾)

 それが東海大の選手には「最後こっちはばててしまった。でも向こうは省エネでやっているのか?案外疲れていそうで動けていた」(古川)という印象につながったのだろう。



シュートの行方を見守る#24古川
30得点も「もう1本」と悔やんだ
 対する東海大は、コンディション不足が響いた。
 「西村にしても怪我で練習時間は短かったし、古川にしてもそうですし、どうしてもそのポロではないですがしっかり準備できなかったところが最後に出ちゃったかなと自分は思います」(東海大#34小林)

 西村は、前日の準々決勝の後「万全でない状態でカバーしながらやっている」と言っていた。古川も、「チームとしては怪我人が今まで多く、そういう意味で調整が難しかったのかな。それを言い訳にはしたくないですが」と振り返った。西村がギリギリの状態となると、古川のシュートが生命線だったが、「シュートタッチは大会前からよくはなかった。そういう意味では今大会はあまり調子がよくない」という状況だった。

 「でも僕はシュートしかないし、それが仕事なので、最後は何も考えずに打つしかありませんでした。途中入ったので今日は!と思ったのですが最後また入らなくて…もうちょっと入ってくれればなぁと。あとは文男さん(#33西村)が抜けたのはだいぶ大きかったし、うちがあまりうまいこと機能していなかったです」

 それも結局は、コンディション不足によりほんの少し練習を詰め切れなかったことからきているのだろう。この日はベンチから「古川!」という声が何度も飛んでいたが、「全然聞こえていなかったですね。僕はもうシュートを打つしかなかった。スクリーンをもらってずれができていたら中へ行けるのですが―そういう練習をしていたので―、完璧ではなかったのでかみ合わない部分がありました」


 敗戦を告げるブザーがなると、選手達は下を向いてしまった。「リーグでは6連敗したけれど、練習試合でも少しずつよくなっている。青学に借りがあるので決勝で勝って借りを返したい」(中濱)「リーグで負けたところに勝ちたい」(西村)と、何より「慎太郎さん(#34小林)のために勝ちたい」とやってきたが、かなわなくなってしまったからだ。
 
 だが、会場からの万雷の拍手と、小林の涙という大きなものも得た。

 「皆、最初に言うのは“慎太郎さんのために勝ちたい”。自分もそういう声を聞くとやっぱり、勝たせてあげたかったですどうしても。練習のときからもう、自分はプレーはしていないんですが、試合に出ている西村や古川とかとあーだこーだ色々な話をしていて。そういう思いもあって、ホントに掛ける言葉がなかったです。言葉に詰まってみんなの前で泣いてしまいました。あれだけ頑張ってくれて、負けて。ありがとうというのと、自分の責任を感じました」(小林)

 一緒に泣ける仲間がいても、勝てるとは限らない。だが勝っても、そういう仲間がいるとも限らない。仲間と勝つことは、新チームに残された宿題だ。


「先輩達を優勝させてあげたい」―落合の“予言”は現実になるか

勝った瞬間キャプ、副キャプは肩を組んで喜んだ
 一方、法政大も“4年生のために”という気持ちでは負けていない。2年生の#91落合は新人戦のとき、「全体チームにも絡んでいって先輩達を優勝させてあげたい」と言っていたが、あと1勝でこの言葉が現実になるところまで来た。

 躍進の理由は何と言っても、4年生と下級生の相乗効果だ。
 この試合の後、2年生スタートトリオは言っていた。「4年生が引っ張ってくれて、皆で勝てました。もちろん疲れていますが、決勝の舞台でやれるなら最後力尽きるまで4年生のためにやりたい」(#23信平)
 「延長はかなり疲れていましたが、大佑さん(#92福田)が決めてくれると思いました」(#5神津)
 「4ファールでベンチに下がったときは、“これで負けたら絶対悔いが残る”と思いましたが、大佑さんがやってくれた。やっぱり4年生の力はすごいです。感動しました」(#91落合)

 トリプルオーバータイムでも東海大を2桁得点に抑えたように、ディフェンスがリーグからぐっと良くなっているのも特筆すべきだが、それもやはり4年生の力が大きいという。
 「皆いつもと気合が全然違う。それは4年生の影響があると思います。“優勝したい”って気持ちがばしばし伝わってくるんです。それが浸透してチーム一丸になっている。今は、昨日の日大戦をきっかけに乗りに乗ってます!」(落合)



リバウンドに飛び込む#91落合。
彼の成長抜きに躍進は語れない
 また、今やインサイドで欠かせない落合の急成長にも4年生の支えがあった。
 「この大会の入りは硬かったんです。でもゲームの中で深尾さんがすごく僕に声を掛けてくれて。もちろん深尾さんだけじゃなくて、優さん(#9高橋)も大佑さんも健太さん(#7山田)も“自信持ってやれ。今までやってきたこと出すだけなんだから、いつも通りやればいいんだ”って言ってくれたんです。それで昨日の日大戦でだいぶふっきれて、最初からどんどんやれた。それで今日につながりました」

 この準決勝では、4Q58-62というプレッシャーのかかる場面でフリースロー2本、そしてローポストでの1on1を決めてみせたのが大きかった。守ってもサイズに勝る東海大に全く引けを取らずにリバウンドをもぎ取った。

 「東海は控えの選手も皆うちより大きいので、リバウンドだけは取らせたらだめと言われていました。取れたかは微妙なところですが、スクリーンアウトは徹底しました。新人戦の時にも言いましたが、僕は泥臭いプレーヤーに徹しようと。華やかなプレーは、深尾さんとか神津とか華やかな方たち(笑)がいるので任せて、僕はリバウンドとか声出すとか。地味なところでコツコツ積み上げて信頼を得たいと思っています」

 その声掛けは、地味なようでチームメートの力になる。この試合でも放った3Pシュートのうち4Qのラストショットだけ外してしまった#23信平にすかさず声を掛けていた。

 「外したからどうこう気にするなって感じで。どんどん打て、俺がリバウンドとるからって言いました。神津にもどんどん攻めていい、俺がリバウンドに絡むからって言ったんです。…そのときは強気になっちゃって、今思うとあの東海のインサイド陣を前に何を言っているんだろうって思いますけど(笑)」

 落合は昨シーズンの自分を「ただアップしてるだけの人だった」と振り返る。「絶対に試合に出ない人。でも、今年になって出る機会が増えて、こんな決勝まで来ちゃって信じられないです。リーグの終盤くらいからスタメンで出してもらうようになって、今までみたいな控えの気持ちじゃ全然だめだって思いました。結果が全てなので、使ってくれるからには結果を残さないといけない。そのときも深尾さんが“どんどんやってけ”って言ってくれたので、それで気持ちが楽になって、どんどんやっていくうちに自信もつきました」

 この恩を必ず返す。落合が4年生から“優勝したい”という気持ちをばしばし感じるなら、下級生からは先述のような思いがびりびり伝わってくる。決勝に向けて、落合は「ブレイクでの速い攻めと、あと今年の法政はディフェンスから頑張るって気持ちが入っているので、1つ1つのプレーを皆さんに見てもらいたい」という。今のチームに自信があるからこそ言える言葉だ。優勝すれば30年ぶり2回目の快挙だが、#13深尾は言う。

 「らしいですね。でもあまり過去は関係ない。今のほうがすごいぞって思っています」

 その中にも、法政らしさは忘れず。「自分たち4年は学生としては最後なので、いつもの感じで楽しくできたらと思います」。やっている側が楽しいバスケこそ観ていて1番楽しいもの。明日の決勝も楽しみになってきた。


取材・文 北村美夏 2007年12月01日
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