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関東大学選手権 ピックアップレポート バスケ

関東学院大
白鴎大 80 ( 17-15 18-20 21-20 24-22 ) 77 関東学院大

「学生は受けてたってはいけない」
 試合後、関東学院大の日馬監督は言った。日馬監督は大会前から初戦となるこの試合を一番警戒していた。
「白鴎戦がこわいんですよ。相手は1試合やってて、うちは初戦。こういう時にぽろっと負けてしまうことがある。昨年の青山学院大のように」
 昨年自分たちが逆の立場で青山学院大を撃破し、最終的には3位に入った。

 大会の2週間前、チームの中心選手であるPG#45尾崎(3年)が体調を崩し1週間近く練習ができなかった。
「彼を中心にチームを作ってきてますから、いないとかなり厳しいです」
 尾崎を欠いたまま戦った練習試合では、#1パプがタイムアウトで声を荒げて指示を出している場面も見られた。
「パプにボールが入った時、もっと動いた方がいいのでは」
 練習試合の対戦相手だった実業団の選手からもそんなアドバイスがあった。
「パプにボールが入った時、他の選手がどう動いていいのか分からなくて止まってしまうんです。昨年はそこで(坂口)貫(現・新生紙パルプ商事)が上手く合わせていたんですけどね。今年はそういう選手がいない」

 #1パプにボールが入ってからの展開のリズムの悪さを白鴎大のディフェンスがついた。
「うちにとって一番警戒していたのがパプのところから展開されることです。だからパプへのダブルチームは基本的に早く入るようにしました。パプはボールを持ってから動かないで周りを見るんです。だからそこで待ってないで早めにダブルチームに入ると展開ができなくなる。それが上手くいきました」(白鴎大・齋藤監督)

 大会前の1週間近く練習ができなかった#45尾崎はこの試合の序盤でも不運に見舞われた。
「バッシュが壊れちゃいました。そろそろやばいなあとは思っていたんですが。それもあって途中ベンチに下がっていましたが、信頼してるので特に心配はしてなかったです。ちょっと練習に出れない時があってみんなには迷惑をかけたのですが、チームの状態は少しずつよくなっていたのでそれほど心配はしてませんでした。結局こんな結果になっちゃいましたが…。スタートメンバーは先輩たちが抜けて、新しく2人入ったわけですが、それでいい面もあったし、悪い面もありました。今日はその悪い面がでたかなと」

「頑張ったんですけどね、本当に…まあ次ですね。リーグ戦は頑張ります」


順天堂大
準々決勝 青山学院大 110 ( 24-19 28-9 32-23 26-28 ) 79 順天堂大
5−8位決定戦 順天堂大 89 ( 16-23 22-14 18-17 33-22 ) 76 明治大
5−6位決定戦 東海大 99 ( 24-20 24-14 26-26 25-21 ) 81 順天堂大

『一生懸命やるから楽しい』#4綿貫(4年、チームキャプテン)
「これまでこういう大舞台での経験ができなかったので、そういう意味で本当に大きな3試合だったと思います」

 敗れたとはいえ1部の東海大に対し善戦を見せた最終戦後、#4綿貫の表情は明るかった。
 1年次から主力としてコートに立っていたが、
「練習、一生懸命みんなが取り組んでいるので、言いたいことはみんなで言い合ってやってます。うちは個人の能力もそんなに高くないですから、チームでまとまってやらないと勝てないとみんなわかっています」
 今年のリーグ戦は久しぶりの2部での戦いとなるが、チームの目指すものは高い。
「今回の大会で1部相手でもがんばればなんとかやっていけると気づくことができました。2部にも強いチームがたくさんありますから、これからリーグ戦までの練習でがんばってもっと力をつけていかないといけないです。練習もいろいろ考えて、特にディフェンスの部分はもっと強化したいですね」
 ここぞという時にドライブやアウトサイドシュートで点を取ってくれる頼れるキャプテン。4年生になって、キャプテンになって、変わったところはあったのだろうか。
「自分は気持ちを表に出しすぎるという面があります。キャプテンになることでそれが周りに悪い影響を与えることがあるので、そういうところは気をつけるようにしています。今年はインサイドにも新人が入ってくれて厚みが増したので、外からのシュートも打てるようになり、プレーの幅も広がりました。みんなで一生懸命やってるから楽しいです」


慶應義塾大
準々決勝 慶應義塾大 76 ( 19-18 20-22 8-14 29-17 ) 71 東海大
準決勝 法政大 94 ( 30-17 18-20 27-25 19-18 ) 80 慶應義塾大
3−4位決定戦 慶應義塾大 96 ( 24-15 26-13 24-18 22-24 ) 70 筑波大

『4番の重み』#4鈴木(4年、チームキャプテン)
「本当にうれしかったですよ。ちょっと泣きました」
 28年ぶりのベスト4入りが決まった瞬間、慶應義塾大#4鈴木は両手を大きく突き上げ、そしてこみ上げてくるものを抑えるようにその両手で一瞬顔を覆った。

「チームの柱は(#12小林)大祐と(#7)岩下、そしてバックアップに(#19酒井)侑祐。しかしその3枚が今は不安定なんです。(#13)田上と鈴木が落ち着いているからなんとか形になっている。田上と鈴木が支えています」
 準々決勝の日体大戦後、慶應義塾大の佐々木ヘッドコーチは今のチーム状況についてそう語った。

「最初シーズンが始まった頃は力ある下級生の中で自分がどうやっていけばいいのか立場がはっきりしないところがあって、それはちょっと考えたりもしました。しかし試合を経験する中で少しずつ自分の役割みたいなものもはっきりしてきたところはあります」
 昨年から主力としてプレーする3年生や2年生の中でキャプテンの鈴木は4年生としてコートに立つ。
「やはり4年生がコートに立つことが重要なことだと感じています」
 ベスト4入りのかかる大事な試合。出だしはチーム全体的に動きが硬かった。その中で鈴木は積極的にドライブを仕掛け、東海大のディフェンスを崩し、チャンスを呼び込んだ。
「僕に対するチェックって言うのは他の選手よりもちょっと甘いところもあると思うので、逆に僕が積極的にいくことで東海大のディフェンスを崩していけるかなと思って、前半は積極的に攻めるようにしました」
 キャプテンとしてコートに立つことで、少しずつ意識が変わってきている。
「キャプテンを任されてからはちょっと考え方も変わりました。キャプテンとしてあまりガミガミいうつもりはないのですが、僕がしっかりと慶應のバスケットを理解して伝えていくことが大切だと思ってやっています」

「それはやはり4年生がしっかりやらないと」
 最終日に応援に来ていたOBの酒井(現・日立サンロッカーズ)がかみ締めるようにつぶやいた。酒井自身2年前“KEIO 4”をつけて1年間を戦った。
「鈴木は傍から見たら分からないかもしれないけど、チームの中ではとても大切な部分を担っているんですよ」

 最終日は3位決定戦。準々決勝からわずかに2日間、わずかに2試合。しかし、その2試合を戦い終えた鈴木の中に、新たな思いも膨らんでいた。
「チームの苦しいところで声をかけて、それでよくなったというのもありましたから。でもこれまでは自分のできることはリバウンドとかディフェンスといったことだと思っていたのですが、もっとオフェンスでもやれることはあると思えるようになりました。この大会でこうして最後まで試合が出来たことは本当に大きいです」
 次に目指すのは1部復帰をかけてのリーグ戦。
「確かに1部の経験の部分では他のチームよりはあるとは思いますが、2部のチームにも強いチームはたくさんありますから簡単にはいかないと思います。しかし昨年厳しいリーグ戦を経験をしているメンバーも多いので、そういう意味でもがんばらないといけないと思っています」


法政大
5月29日(木)ベスト8決定戦
法政大 81 ( 17-26 19-13 31-22 14-9 ) 70 駒澤大
「今日は完全によくなかったですね」
 格下とも言える駒澤大に接戦を強いられた試合後、法政大#5神津の口は少し重かった。
「今日は浮いた感じで試合に入ってしまいました。点差を付け始めても“こんなものか”みたいになって気持ちがゆるんで。やはり今日は気持ちの面でよくなかったですね。勝てたからよかったけど、途中で負けるんじゃないかと思いましたよ」

 楽しむことが大前提の法政バスケ。しかしそれも自分たちのバスケットができてこそ。昨年までは試合中にも笑顔が多く見られていた神津も今日は終始厳しい表情だった。
「言われないとできないっていうか・・・なんなんでしょうね」
 小さく首を傾げながら言葉を続けた。
「僕が言うんじゃ・・・やはり4年生が言わないとダメだと思うんです。試合中はいいんです、プレー中は。でも練習はやはり4年生が引っ張っていってくれないと。昨年は本当に4年生がすごく引っ張ってくれて、ミスをしても4年生が何とかしてくれるみたいな感じがあったし、練習中ちょっとふざけてたらすぐに厳しく言ってくれたりして。今年の4年生にはまだそういう感じがないんですよね。今のままじゃあ優勝なんてないし、下手をすれば2部に落ちる可能性もあると思ってます」

 次は京王電鉄杯で快勝した専修大。気持ちの緩みが怖い。
「みんなもわかってはいると思います。でももしも京王杯の時のあのイメージがちょっとでも出たらわからないですね。それでも勝つしかないですけど」

5月30日(金)準々決勝
法政大 95 ( 25-23 23-13 21-19 26-17 ) 72 専修大
 前日の駒澤大との接戦の経験は法政大の本来の力を引き出すきっかけとなった。準々決勝の専修大戦では時々プレーの合わない雑さも見られることはあったが集中を欠くことなく試合を進めることができた。

「今日はよかったですね。(#23)信平も今日は素直にやってくれてましたし」
 試合後、#64佐々木(4年)は安堵の表情を見せてそう言った。
「昨年の4年生が卒業して、昨年も出ていたメンバーに自分ともう一人4年生の梅津が入った形になりました。代わったのが2人だけですから結果が悪ければ代わって入った自分たちが悪いって批判も出るでしょうし、それはやはりプレッシャーを感じてはいます。昨年は4年生がすごく引っ張ってくれていましたが、たしかに新チームになってこれまで4年生が引っ張ってこれたという感じは全然ないです。リーグ戦に向けては4年生がしっかり話し合って、昨年の4年生に追いつけ追い越せって感じでやっていかないと、最後にインカレで良い結果は残せないので、そこは頑張っていかないといけないと思います」
“4年生が頑張るチームは強い”どのチームの指導者からもこの言葉が聞かれる。
「本当にそうなんですよね。うちは個性が強いって言うのが特徴でもありますから、それを4年生が上手くまとめていかないといけないと思います」

「リーグに向けてという意味でもここで結果を残しておくことは大切だと思うので頑張りたいです」


5月31日(土)準決勝
法政大 94 ( 30-17 18-20 27-25 19-18 ) 80 慶應義塾大
「特別変わったことはないですよ。ないですね」
 なあっと前に座っている#3鈴木の頭を小突く。「そうですね」と鈴木が答えた。

 終始集中が大きく途切れることはなかった。それでも粘り強い慶應義塾大に4点差まで詰められる場面もあった。しかしやはり集中は途切れることなく、気持ちのこもったプレーは試合を決める#64佐々木の3ポイントシュートにつながった。
「点差がついても、もっともっと差をつけようという気持ちでやってましたから、気持ちは切れなかったですね。駒澤との試合がいい経験になった部分はあります」

 眼下で行われているもう一つの準決勝は後半に入って青山学院大が筑波大を大きくリードしていた。
「青山学院大には昨年は1度も勝ててないですね。確かに勝ちたいですが…うーん、嫌ですね、やるのは」
 最後に明るく「まあ、がんばりますよ」と言うと再びコートに目をやった。

6月1日(日)決勝
青山学院大 82 ( 20-12 17-16 19-12 26-20 ) 60 法政大
「今の状況ならば準優勝で満足しなきゃいけない結果だと自分自身も思ったし、監督も言ってました。こういう結果もどこかで予想していたところはありますね」

 大会2試合目の駒澤大戦の時のことを思えば、見違えるようなチームになったのは間違いない。しかし、彼らの本来の力を出し切ることなく決勝戦は終わった。
「あれはしょうがない。予想通りです」
 試合後のインタビューで入り方の悪さを聞かれ、そう答えた神津。「昨年のインカレでは20点差だったから、今回は10点差くらいで…」と試合前に選手たちの中で話していたという。

 試合開始からコートにはどこか重たい空気があった。スピードが売りの青山学院大もなかなか速い展開ができず得点が伸びない。そして法政大は少しずつリズムがずれているのか、いつもなら決まるシュートを落としたり、パスミスからのターンオーバーなどでゲームのペースがつかめない。
「今日はいつもの空気じゃなかったです。なんか重いって言うか…。勝ちは求めているんですけど、そういう雰囲気になって・・・自分たちにもわからないです」

 試合終了から時間が空いたインタビューでは終始「仕方がない」「しょうがない」と言っていた神津。しかし、試合終了のブザーの直後、彼はコート中央に集まることなく1人まっすぐにベンチに戻っていた。
「最初自分がイージーなシュートを落としてしまったことからチームのリズムを崩してしまったかなというのがあったので。いつもなら入るシュートが全然入らなくて、本当に何やってんだろうって。試合に負けた悔しさよりもそういう自分が情けなくて…。本当に情けない姿を見せてしまったって…そういう思いが試合が終わった時にこみ上げてきました」

 力の出し切れなかった試合ではあったが、最後までパスを出し合い、リバウンドやルーズボールに飛び込み、懸命にディフェンスを続けた。
「みんな負けたくはないと思っていますから。あきらめなかったのは去年からの良い部分が引き継がれたんだと思います。それにこの試合だけじゃなくこれからのことも考えてがんばれたところもあるのかなと」

 次はここ数年結果の出せていないリーグ戦。ある意味法政大の真価が問われるだろう。
「リーグ戦は本当になんでかなと思うくらい悪くて…勝てる試合も簡単に落としてしまうし。去年もなかなか勝てなくて、チームの雰囲気も悪くなったりしました。今年は気持ちの面でも全部変えて臨みたいです」

楽しいだけでは楽しめないこと、楽しむためには楽しめるだけの力が必要だということを改めて感じさせた。
本当に彼らが楽しめるバスケットをする試合を、決勝のような最高の舞台で見ることができたら・・・。それは法政大ファンのみでなくバスケットファンならば誰もが思うことだろう。
「変わりたいって言うか、変えるしかないと思います」



取材・文 渡辺美香 2008年08月05日
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