<JBLルーキーインタビュー>
〈11〉『笑顔を蒔く人』
朝山 正悟(あさやま しょうご)/日立

192cm88kg/SF
神奈川県出身 世田谷学園高-早稲田大

ファールを取られても狙ったシュートが外れてもうつむいたりしない。
表情豊かに声を出して次のプレーに気持ちを切り替える。
スプリングキャンプではどんなに厳しいメニューの時も
常に朝山の周りには笑い声があふれていた。
「子供の時と変わったところ?なんてあるの?
自分ではないと思ってますよ。」
少年の心を持ち続ける朝山の姿は人の心をひきつけてやまない。

全然違う空気だって苦しむより楽しまないともったいない
「充実感のある毎日でしたよ。全員が選ばれた選手ですしプロ意識を持って毎日やれている充実感と、これからもそういう中で毎日やっていけるという期待が持てて、すごく楽しくここまで来られました。JBLの壁ではないけれど高校から大学に上がるのとは全然違う空気というかそういうものはもちろん感じていますが、苦しいとかはないですね。苦しみを感じるよりも、せっかく1番上のリーグでやれているのに何でも楽しくやっていないとバスケット自体が好きだから逆にもったいないと思いますよ。そうして楽しくやっていく中で自分らしさが出せればいいなと。
なじむのははやかったか?もう速攻です。あっという間(笑)。自分はすぐ話す方だし全く問題なく溶け込めました」

当たりの上手さ、意識の違いのあるJBL

「学生とは全然違いますね。高校から大学に上がった時も当たりの強さというかそういうのが違うと思ったけれど、それより全然です。当たりの強さとかじゃなくてそれより当たりの上手さみたいな。ただ強い、パワーがあるではなく、その中に1つ1つバスケットを知っている動き、うまさを1番感じました。高さの方は当たり前というか初めからわかっていたんです。こうしてカテゴリが上がっていけば身長もあがっていくのは当然だし外国人選手もいるし。だから高さよりもそういう技術的、肉体的、それからメンタル的…とも言うのかな、うまさを感じました。
それに皆常に高い状態を保っています。学生は人それぞれ、全員がバスケットでやっていくという気持ちでやっているチームっていうのはありません。でも上は第1にバスケットだけを考えてやっているという意識の違いがありますね。
実は自分も大学2年生までは全然考えていなかったですよ。でも2年の入替戦で負けたのがきっかけになって。バスケットでこんなに自分が熱くなるんだ、自分にはこんなに左右されるものがあるんだと思って、ずっと続けていきたい、将来はバスケットでと思ったんです。それまでは決められた時間の練習だけだったのですが、それじゃだめだなと思って始まる前や終わった後に色々とやるようになって、今に至ります」

基本は点を取ること、でもそれだけでは生きていけない
「戦術的な面ではもうコーチとガードを信頼しています。倉石コーチのバスケットの知識・情熱のすごさは尊敬していますよ。学生の時もボランティアみたいな感じでやってくれていたし、バスケットの考えには納得しますね。コート上でも学生の時は菅原とか下級生がPGだったこともあって多少は気を使っていたけれど、今はゲームの流れなど気にしていなくてやりやすい。そういう環境を作ってもらっています。
基本は点を取ることを求められていると思っています。でもそれだけでは生きていけないしチームでも勝ち残れない。それはスプリングキャンプでも実感しました。ディフェンスとかもしっかりやって、あと走ることもやらないとですね。それから元気さや明るさを出してそういう面でも必要とされるところを出せればいいかなと思います。自分の出せるところまでやっていくことをもちろん考えて半年間トレーニングをしてきましたが、それで1メートルとかすぐ飛べるような体になるわけではありません。その中で自分の出来ることを100%出していければと思います。持っているものを全部出したいですね。点を取る仕事なら外国人選手とか他にもいっぱいいるし、求められている事が1つなら誰だっていいってことになるじゃないですか。」

思わぬファールトラブルも妥協はしたくない
「ディフェンスはファールが…。学生は当たり合ってという感じだけれど、JBLではかわしてファールをもらうという感じで基準にまだ慣れていません。JBLの方が甘とい?というくらい自分では当たっていないつもりなのに吹かれてしまう。試合を重ねていく度にわかるかなと思いますが、学生の時は1試合通して2つ以上する時はほとんどなかったのに今4つとかなんで少し考えなきゃなと。確かに日立はディフェンスからというチームだし新人だからじゃないけどガツガツやっていますが、さすがに多過ぎかなと。 このままだとプレータイムがもともと多くない中でアピールの時間がなくなってしまうので。でも、プレッシャーを与える面である程度の当たりは必要だと思うんですよね。やめたら向こう(相手チーム

こぼれ話・子供時代
「元気!1人で家にいるなんてまずなくて、虫を取ったりスポーツをしたりとにかく遊んでいました。結構シキっていましたね。次あれやろうぜとかここ行こうぜとか。あと小さい時から色々なものを見るのが好きで、それも今視野を広く持ちたいなと思うのにつながっていますね」
)への怖さをなくしてしまう、プレッシャーを与えられない。チームの良さもなくなってしまうと思うんです。
逆にできていることは…そんなにないかな。ただシュートを打つこととか普通のプレーができないとは感じたことはないです。何でもできると言ったらできるし、できないと言ったらできないし、難しいですね。全くシュート打てないわけでもないし、ディフェンスも全く通用しないわけではないし。」

バスケットの魅力を色々な人に伝えることができたらすごく幸せ
「チームの目標はもちろんプレーオフに行くことですが、その中で常に優勝を目指しています。つまり最低でもプレイオフ。そこまでって思ったら何にもならないので。始まったばかりだしね。個人では、それプラス数字とかタイトルとかそういうのはないのですが、何かしらのところでチームに貢献できて、役割、例えばシュートとか元気を与えるとかで何かしらでチームに必要とされて貢献できて1勝1勝につながっていく事が目標です。シーズントータルで何かと言うよりは毎試合毎試合勝つ事が、そして1つの勝ちに自分がどれだけ絡んでやっていけるかが1年を通しての目標ですね。
そしてバスケットをする上での目標は、1番はバスケットを楽しむことです。楽しめなかったらどんな環境でもやらないと思う。とにかく楽しむことと、それから今こういう日本でトップのリーグでやれるなんて楽しいっていうのを周りにわかってもらえれば。自分のプレーやプレー以外のところを通じて、バスケットは楽しいんだなおもしろいものなんだなというように思ってもらいたいです。自分は出ていなくてもチームの雰囲気とかでね。そうしてバスケットの魅力みたいなものを色々な人に伝えることができたら自分はすごく幸せなんじゃないかなと思います。それができるようこれから頑張らないと。どんな時でも常に心のどこかにそれを置いて続けていきたいです。」

(2004年11月10日インタビュー)

<取材・文 北村美夏>

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