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〈8〉『難しいけど楽しい』

山田　大治(やまだだいじ)／トヨタ自動車

200㎝105kg／CF
大阪府出身　大阪高-日本大

「もういっぱいいっぱいですよ、ほんっとに」。
日大でもスプリングキャンプでも、状況に応じて幅広いプレーを
こなしていた姿からは意外な言葉が何度も出てきた。
なのに、なぜそんなに楽しそうに笑っているのか。
トヨタというバスケットのおもしろさ、トヨタというチームのおもしろさ。
そして自身の少しずつ、でも確実な成長。
難しいけど楽しい。難しいから楽しい。

新人は1人やしかわいがってもらっています
「引退後に参加したスプリングキャンプでは、ジェリコHCの要求のレベルがすごく高かったですね。やっぱりレベルの高いところでやってきた人だから。それに近づけるようにやっていました。でもそうして思いっきりやっているなかで膝を痛めてしまったんです。
焦りはありましたね。今も完全に治ってはいないのですが、夏過ぎくらいからようやく普通にできるようになりました。それまでは本当に『どうしよう、どうしよう…』という感じで。ずっと別メニューで、横ではチームの皆がどんどん進んでいって。しかも1年目やのにって。
でもその分、チームの皆の性格がわかって溶け込めたのでそれはよしとします。新人は1人やしかわいがってもらっているんですよ。はじめはやっぱり気まずかったですけどね(笑)。みんな有名どころやし年も離れている大先輩で。こんな所でできるのかなーって気後れがありました。自分の何がよくてこのチームに入れたのかってくらいでしたね。でも本当にみんないい人なのがわかって。折茂(武彦・＃9)さんにも最初『こわい？』と聞かれて『そんなことないっす！』としか言えませんでしたが(笑)、話してみたら本当におもしろくていい人なんですよ。」

外国人選手には気を抜くとすぐにやられる
「4・5番(インサイド)をやっているのですが難しいですね。ずっと外国人選手についていて体力がすぐになくなってしまいます。能力が高くて体つきもいいし、何より器用やね、大きいのに。学生の頃はごまかすこともできたけれど、ちょっと気を抜くとすぐやられてしまいます。小野ＨＣからは『抑えなきゃあかんよ～』と言われいるのですが、やっぱりそう簡単にはいかないですね。無理やり行ったらファールになるし1人じゃ守れん！…なんて言っていたらダメなんですけどね。
ポジションはどうなんやろうね？たぶんこのままいくと思います。インサイドはこれまでやってきているのでやりやすいと言ったらやりやすいのですが、しんどいと言ったらしんどい。でも3番に上がったら動きがまた違ってくるし難しいですよね。それにポジションで言えば4・5番にはオバノン・マーシュの2人にマイケルさんもといっぱいいるし皆できるから、どこをやっていいのかという感じですなんですよ、本当に。」

なんでこんなうまくいかんのやろ…でも最初よりは慣れてきた
「トヨタは先輩がいるし、小野ヘッドコーチのバスケットをやってみたいなというのがありました。日大は選手に任されている感じでそうしていたのですが、ここではコーチが練習でも1回1回止めるし細かいところまで教えてくれるので、うまくなっていけるかな、と。
日大では自由にやっていたのだけれど、今はまだちょっと遠慮しているところがありますね。それに大学の時は自分“から”、つまり自分が起点になってやっていたけれどここでは点を取れる、起点になれる人がたくさんいてまだちょっと慣れないです。合わせをこれまでほとんどやっていなかったから難しいんですよ。
本当にいっぱいいっぱいですね。学生の時とは全部かわりますよ。何がどう違うのかと言われたらわからないのですが、全部かわる。

こぼれ話1・スプリングキャンプ
「みんなはジェリコHCの怖さを知らんわけですよ。だから最初は『あぁ、そんなことしたらダメや、ほら怒った』って1人びくびくでした(笑)」
こぼれ話2・なじんだきっかけ
「(加藤)吉宗さんという2つ上の大学からの先輩がいるのですが、もうほとんど敬語も使わないで話していて。自分達はそれが普通だったのですが周りの人はそれがおもしろかったみたいで、そこから少しずつなじんでいきましたね」

練習はやっぱりへこみますよ。なんでこんなうまくいかんのやろ、なんでやろって。そこまでわかっていない段階なんですね、まだ。少しずつアドバイスをもらいながらやっています。最初に比べたら、うん、いっぱいいっぱい度は下がっていますよ。気持ち的に楽に、慣れてきていますね。」

少しずつ信頼される選手になりたい
「持ち味は…なんかなー。まだそんなに出せていないと思いますね。でも少しずつ、外国人選手の後にすぐ出られる、次の役割を果たせるような選手になりたいですね。やっぱり少しの時間しか出られないと思うんですよ。その中でどれだけできるか。厳しいですね、本当に。
もう今週開幕なんですよね。全然はやいですよ…『マジかよ！ヤバイよ！』という感じです(笑)。それに初めてだから相手の特徴などもわからない。でもチームも『優勝、優勝』と言っているし優勝したいですね。去年の6位っていうのはやっぱり相当不本意らしくて。プレッシャーはあります。主力が揃っているから勝てるって言われたりして…。チームワークは自分は去年いなかったのでわかりませんが、小野HCは『だいぶまとまってきた』って言っていますね。
優勝するために必要なのはコンディショニングかな。移動も学生と違って遠くまで行くし、そこをきっちりとやらないといけないですね。バスケットでお金をもらっていてプロのようなものなので、自分でやらないとという意識の持ち方が必要です。1人1人がしっかりやっていると思いますし、その点での環境はとても良いです。
将来は、コーチに言われたこと、要求されたことをしっかりできるようにしたいです。まずそこからですね。今はまだ1年目だけれど、少しずつ要求に応えて、結果も出していって、信頼される選手になりたいです。
これに代表活動もあると思ったら…という感じですが、ゆくゆくは両立していきたいです。代表は、高校・中学の時から入りたかった夢であり憧れです。実際入ってみるとやっぱり厳しいところ。誰もが入れる場所ではないですしね。
今はまずは優勝したいです。トヨタに入ったからこそ。トヨタでずっと勝ち続けていきたいですね」

（2004年10月27日インタビュー）