男子決勝:アイシン4連覇 2005.1.10 特集ページはこちら
1月10日、代々木第2体育館で男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会(オールジャパン)が行なわれ、男子決勝が行なわれた。

 2年連続となったトヨタ自動車-アイシンの決勝は、アイシンが第3クォーターに攻撃力のあるトヨタをわずか4点に抑えるなど鉄壁のディフェンスで終始リードし全員出場で4年連続4回目の優勝を決めた。

【ベスト5】
佐古賢一(アイシン#2) 2年連続7回目
後藤正規(アイシン#6) 5年連続5回目
マッカーサーエリック(アイシン#55) 2年ぶり3回目
網野友雄(トヨタ自動車#22)
古田悟(三菱電機#45) 2年ぶり4回目


<平成16年度男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会 男子決勝>
1月10日(月) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
66
18
1st
9
51
 
アイシン
17
2nd
20
トヨタ自動車

17

3rd
4
14
4th
18

スターティングメンバー
アイシン:#0小宮、#2佐古、#6後藤、#7外山、#55マッカーサー
トヨタ自動車:#1棟方、#8山田、#9折茂、#22網野、#34高橋

 第1クォーター、アイシンは#55マッカーサーのリバウンドシュートで始まったのに対し、トヨタ自動車は24秒オーバーと対照的な入りとなる。アイシンは#0小宮がスピードに乗ってゴールに向かい、#55マッカーサーもバスケットカウントを決めて残り6分45秒10-2とリードする。トヨタ自動車はガードを#5上山に代えるも攻めあぐんでシュートが落ち、残り5分に#12渡邉を入れるが速攻のチャンスを生かせない。残り2分にはインサイドを#7加藤に代えるがアイシン#55マッカーサーの強さは変わらず、残り22秒アイシン#7外山が24秒クロックぎりぎりで3ポイントシュートを決めて18-9とリードする。

  第2クォーターはアイシンが主力を休ませる間にトヨタが追い上げる展開となる。まずトヨタ#34高橋がゴール下を決め、さらに#5上山が3ポイントシュートを決めて開始1分で20-14とする。アイシン#55マッカーサーにバスケットカウントを許すも#12渡邉が返す。残り7分には2ファールとなった#9折茂がベンチに下がるが、#7加藤がアイシン#55マッカーサーからオフェンスファールをもらい、さらに#34高橋がマッチアップがアイシン#43高辻になったのを見てインサイドを決め、25-21まで詰める。アイシンはここで#2佐古を戻す。すると
アイシン#55マッカーサーはチーム
半分の30得点・23リバウンドの活躍
アイシン#5佐藤がトヨタ#8山田へのハイポストへのパスを読んで入った瞬間に寄ってカットしそのまま速攻につなげる。さらにアイシン#43高辻が1on1を決め29-21とすると5分を残してトヨタのタイムアウトとなる。この後24秒ぎりぎりまで攻めあぐむが#8山田がつなぎ、アイシン#55マッカーサーにインサイドで返されるも残り23秒で交代した#

トヨタ#12渡邉は積極的に攻めるも
状況を打開できず
12渡邉がブザービーターを決めて35-29で折り返す。

  第3クォーター、ジャンプボールからアイシン#6後藤が1on1を決めたのに対しトヨタはターンオーバーと前半と同じ入りになる。さらに相手のミスを見逃さず、1on1も確実に決めて残り6分30秒41-29とする。トヨタは#22網野がやっと1on1を決め10点差に戻すが、アイシンはセットオフェンスで落ち着いて組み立てていく。そして残り5分30秒、スクリーンを使ってフリーになった#2佐古が3ポイントシュートを決め44-31とする。さらにトヨタ#9折茂・#12渡邉をブロックするなどディフェンスでも集中し、#55マッカーサーの連続得点で残り3分30秒46-31としたところでトヨタはたまらずタイムアウトを取る。だが残り30秒に#9折茂のアシストから#8山田がゴール下を決めるので精一杯で、52-33と大きく離される。

  第4クォータートヨタは#9折茂のフリースローから始まるが、決めては決め返されて詰められず残り5分50秒60-38でタイムアウトを取る。アイシンはリードを保ちながら少しずつベンチメンバーをコートに立たせ、残り1分40秒64-47で再びトヨタのタイムアウトとなる。この後#3半田のフリースロー、#9折茂の3ポイントシュートで意地を見せるが点差は大きく、66-51でアイシンが4連覇を飾った。
(北村美夏)

トヨタ自動車・小野ヘッドコーチ(写真)
(今日の試合を振り返って)うちの意図する流れのバスケットができなかったと思います。やはり1番の要因はリバウンドのところですね。覚悟はしていて“自分が取れなくても取らせるな”とうちのセンター達にも話していたのですが、押し込まれていいポジションを取られたり自分が取りに行って高さで負けたりするなどその部分を徹底できず、走ってうちのテンポにすることができず重い展開になってしまいました。

(ディフェンスについては)アイシン#55マッカーサー以外に2桁得点のプレイヤーはいなかったし、66失点は良かったです。だたミスショットさせた後のリバウンドが徹底できませんでしたが、ディフェンス自体は良く頑張っていたと思います。

(#34高橋については)ちょっと今日は疲れもあり膝の調子が良くなかったのでプレー1つ1つのキレ、シャープさがなかったですね。アイシンのディフェンスの読みがすごかったし、彼も自分以外のところでリバウンドを取られてしまい持ち味の走り出しができなかったですね。
(リーグに向けて)もう今週の土曜には再開とフィジカル的に厳しいですが、今回リーグ6位出場ということで学生2チームと東芝という組み合わせで、東芝戦はヤマだと思っていたので1点差ですが勝てて良かったです。ですが2年続けてファイナルで敗れてしまい、1戦1戦よくなってきてはいるけれど本当の意味で力を付けられていなかったのでそこを修正していきたいです。良かった所としてはディフェンスですね。東芝戦、三菱戦と頑張り続ける事ができた、これは収穫だと思います。」

トヨタ自動車・#9折茂武彦選手
(今日の試合を振り返って)特にないです。まぁアイシンのディフェンスが良かった、ただそれだけです。後はリバウンドを取られたことで点差がついてしまったと思います。」

トヨタ自動車・#34高橋マイケル選手
(今日の試合を振り返って)アイシンは前回同様チャンピオンらしく戦力がととのっていました。特に#55マッカーサーには去年同様リバウンドとインサイドでポイントを取られ、アイシンのゲームプラン通りに試合が進んでしまったのが残念です。」
アイシン・鈴木ヘッドコーチ(写真)
(今日の試合を振り返って)40分通してうちのディフェンスがしっかりできて、得点能力のあるトヨタを51点に抑えられたのが最大のポイントです。オフェンスは66点しか取れませんでしたが、ディフェンスが頑張った分良かったかなと思います。
トヨタはそれぞれ個性のある選手なので“誰を抑える”ということではなく、ここは取られてはいけないとか相手の動きに対しての約束ごとが、完璧ではないけれど80%くらいできて、うちの作戦がうまく行ってくれました。

(終始リードしていたが)こういう(先行する)展開は楽ですね。冷静な判断がコーチも選手もできるので。始める前は、相手は#34高橋が入ったしチャレンジャーという気持ちで来るのに対しうちは4連覇・優勝と言われ選手はいつになく緊張していましたが、出だしから飛ばしていけたので良かったと思います。
うちは年齢のいった選手が多いのでビハインドになると戻すのが大変なんです。なのでそういう意味でも1Q、3Qの入りは非常に良かったと思います。

(選手の体力について)確かにうちの選手達は4年前に比べ体力は落ちています。
スタミナ的にはアスリートとしての峠を越していますね。ただバスケットは40分ですし、その40分を控え選手と力を合わせて持ち味を出せればいい。そのためには無駄な動きをしないようにして、40分トータルで相手に勝つ作戦を立てています。以前は40分出ていた選手が今は30分、そして来年はもっと減るかもしれませんが、それはコーチが微調整すればいいですし、スタミナが落ちるということはバスケットにとっては重要ではないと自分は思います。

(リーグに向けて)オールジャパンではこうして優勝できましたが、リーグはそんなに甘くないと思うのでチームに戻ってコンディションをととのえて、与えられているチャンスを生かせるようまた頑張りたいと思います。」

アイシン・#6後藤選手
(今日の1番良かった点は)ディフェンスの一言につきますね。ご覧になっていてわかったと思いますが、4Q途中まで30点台に相手を抑える事ができたのが勝因の1つです。あとは自分達の仕事を個々が責任を持ってコートの中で表現できた事が勝ちにつながったと思います。

(試合の入りは)今日に限ったことではありませんが、毎試合心掛けているのは試合の出だしです。自分達のペースがつかめなかったとしても相手のペースにさせない。また、前半ついていけば、勝負は3・4Qだということをメンバーが熟知しているので、その勝負所で力を出せるように声を掛け合っています。

(ベテランの強みは)まず1つ言えるのは、若い選手に比べてたくさん失敗しています。皆バックグラウンドは違いますが、同じ失敗を繰り返さないように学習しているので年を取っても成長していると感じられます。
また、僕“達 ”は今自分にできることを精一杯やることに集中しています。先のことを考えると不安などが出てくるのでしょう。」

アイシン・#0小宮選手

(今日の1番良かった点は)試合前、キャプテンの“いつも通りやろう”という言葉で始まったのでいつも通りにディフェンスと走るだけだと思ってやりました。チームのみんなも同じ気持ちでできたのが良かったと思います。

(トヨタ#34高橋とのマッチアップは)コーチからつくよう言われていました。“やられてもいいから”と言い方をしてくれたので気楽にやれました。それで5ファールアウトしても同じポジションの#8山崎がいますから。#6後藤さんには迷惑をかけてしまいますが…。自分の役割をやるだけだったので、去年のオールジャパンよりディフェンスは良かったと思います。良くなったのはやっぱりこのチームにいるからだと思いますよ。いつも教えられてばかりです。」

アイシン・#7外山選手
(今日の1番良かった点は)僕もいつも通りにいいディフェンスができたのが1番と思います。

(ベテランの強みは)若い時は運動能力で考えずにできることもありますが、今はその運動能力がない中でどうやって勝つか考えているのがいい結果につながっているのではと思います。」

アイシン・#2佐古選手
(今日の1番良かった点は)今日はやっぱりディフェンスがすごく良かったと思います。皆気持ちが1つでディフェンスから入れ、すごく我慢できたのが勝因と思います。

(田臥のNBA進出などでバスケットにともった灯を消さないためにはどうしたらいいと思うか)自分は、バスケットは子供達が夢を終える場所であってほしいと常に思っている人間です。だからバスケット界は田臥選手に便乗するのではなく、選手ともっと話をしたりしてはと思います。自分達プレーヤーはプレーするしか手段がないので。」

アイシン・#55マッカーサー選手
(今日の1番良かった点は)基本的にみんなと一緒で、今日はディフェンスが良かった。自分はリバウンドを取ったけれど、みんなで点を取っていいディフェンスができたのが良かったと思います。

(リバウンドを取るコツは) I love rebound!(笑) 4年前にアイシンに来た時、コーチに言われたのはリバウンドを取ることとディフェンスをすることでした。なので今日は自分の力を試せるいいチャンスでした。うちは優秀なシューターが多くいますが、もし外れても自分がゴール下にいれば50%は取れると思ってやっています。」

<取材・文 北村美夏、渡辺美香>

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