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男女決勝・3決:女子は延長の末筑波大、男子は45年ぶりの慶應大 2004.12.5
12月5日、代々木第2体育館で男子第56回女子第51回全日本学生バスケットボール選手権大会(インカレ)の最終日が行なわれ、男女決勝と3位決定戦が行われた。

女子は筑波大が立ち上がりの劣勢をはねかえして優勝、大人科大が準優勝となった。男子も慶應大が前半の12点差を逆転して関東リーグに続く優勝を決めた。専修大は準優勝ながら会場を沸かせた。3位には女子は鹿屋体育大、男子は日大が入った。

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写真:優勝を決めて監督と抱き合う筑波大メンバー


<男子第56回女子第51回全日本学生バスケットボール選手権大会 決勝>
12月5日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
72
25
1st
15
77
専修大
19
2nd
17
慶應大

17

3rd
24
11
4th
21

スターティングメンバー
専修大:#5中川直、#6中川和、#9長澤、#10波多野、#12伊藤
慶應大:#4志村、#5石田、#9辻内、#12酒井、#13竹内

 通路・補助席にまで観客があふれ超満員となった代々木第2体育館での男子決勝は、この大会をしめくくるにふさわしいゲームとなった。

 第1クォーター、専修大は慶應大#9辻内の3ポイントシュートをブロック、#5石田の1on1からのパスをカットとウイング2人の動きを封じる。そこから#6中川和の1on1、3ポイントシュートにつなげ9-2と先行する。だが慶應大も#13竹内のリバウンドからのセカンドチャンスを生かし、フリースローで9-8と追い上げる。残り5分、専修大は#10波多野が2ファールで交代に追い込まれるが、怪我の#13大宮にかわってスタートとなった#12伊藤がパスカットから、また#5中川直が的確なパスから速攻を連発しわずか1分間で15-8と突き放す。さらに#5中川直が3ポイントシュートを2本決めるなど慶應大を圧倒し、25-15とする。

  第2クォーターも専修大が#9長澤のインサイドの1on1などで加点する一方慶應大はイージーなパスミスなどが出てリズムをつかめず、残り6分55秒タイムアウトとなる。その後も専修大#7井上のミドルシュート、慶應大#13竹内のリバウンドシュートなどで一進一退の展開で、残り1分50秒40-30と点差が
慶應大#13竹内のインサイドでの
強さがものをいった
変わらないまま慶應大はタイムアウトを取る。その直後に専修大#9長澤から3つ目のファールを奪うが慶應大#4志村も3ファール目を取られ、流れに乗れない。専修大#5中川直から#6中川和へのバックドアでディフェンスを切り裂かれ、慶應大#9辻内がレイアップを落とすと残り5秒からのエンドスローで専修大#6中川和に決められ、44-32と差が開いて折り返しとなる。

 だが第3クォーター、慶應大#15竹内がファーストシュートを決めると立て続けにインサイドで得点、さらに専修大#10波多野から3つ目のファールを奪い、シュートブロックもという活躍で猛追する。そして慶應大#12酒井のフリーの3ポイントシュートで51-47とするが、その直後に専修大#6中川和のカットインに合わせた#5中川直に返される。レフェリーの笛が聞こえないほどの歓声の中、専修大は残り5分#9長澤を戻してインサイドを固める。そして再び#6中川和のドリブルに#12伊藤が合わせて3ポイントシュートを決め57-49とリードを戻す。

だが慶應大#13竹内・#9辻内に決められ57-53となった残り2分10秒、#10波多野がオフェンスリバウンドからのドリブルでチャージングを取られて4ファールとなりタイムアウトに追い込まれる。ローズボールでファールがかさんでいた専修大はフリースローで残り1分59-56まで詰められるが、交代したばかりの#15小淵がピック&ロールからのロングシュートを決め何とか61-56とする。

 第4クォーター、慶應大は#13竹内が専修大#9長澤の1on1をブロック、それを#5石田の速攻につなげる。専修大は#7井上がピック&ロールからのシュートを落としてしまい得点できない。さらに専修大#6中川和のドリブルがチャージングとなると慶應大はその攻撃で専修大#9長澤の4つ目のファールとフリースローを得て、それを#5石田がきっちり2投決めて残り7分55秒61-60と肉薄する。そして#13竹内の1on1で専修大#9長澤はファールができず、きれいに抜けてフリーのゴール下で61-62とついに逆転する。さらに専修大のパス・ドリブルをカットして得点させず、残り5分25秒にはピック&ロールのパスをカットした慶應大#4志村が専修大#6中川和から4つ目のファールを奪うバスケットカウントでの速攻レイアップを決め、61-66として専修大のタイムアウトとなる。


慶應大#4志村のパスカット
からのバスカンが流れを変えた
  だがそのフリースローが落ちると専修大は#6中川和がドリブルワークで慶應大#9辻内から3つ目のファールを奪い、そのスローインで#6中川和からのアシストで#5中川直が3ポイントシュートを決め意地を見せる。 さらに同じ形で慶應大#9辻内に代わった#6関からもファールを奪い、#5中川直がロングシュートを打つが今度は外れる。慶應大#13竹内がそのリバウンドをつかむと、慶應大#12酒井が千金の3ポイントシュートを決める。その後専修大#10波多野、慶應大#13竹内が決め66-73と6点差で残り2分を切る。専修大は#10波多野がフリースローをもらい、68-73として残り54.9秒でタイムアウトを取る。残り17.1秒で#9長澤がゴール下をねじこみ、70-73として残り16秒でファールゲームに持ち込む。#6中川和が5ファールアウトし、慶應大#9辻内がそのフリースローを1投決める。その後#5中川直は3ポイントシュートを狙うが打てず、#9長澤へパスする。#10波多野の「行け」との声とともにまず2点を返す。残り3.6秒で「ファールしろ!」と#5中川直が叫び、4ファールの#10波多野が慶應大#12酒井を抱えるようにファールするが、これがアンスポーツマンライクファールとなる。そのためフリースローが2投決まった後の残り2.4秒でのスローインも慶應ボールとなるが、4ファールの#9長澤がなおもファールに行く。慶應大#13竹内はフリースローの2投目を落とすが、残り1.5秒ではどうすることもできず、77-72で慶應大がリーグに続き45年ぶりの優勝を飾った。
(北村美夏)

慶應大・佐々木三男コーチ
「今回学生たちには「勝ちにいこう!」と話してましたが、優勝は正直「こんなに良いことがあって良いのか」との思いです。リーグ戦が終了してからインカレに向けて、さらなるディフェンスの強化と、全員でリバウンド獲得のためのボックスアウトの徹底と、セットオフェンスの精度アップを目標に練習計画を立てましたが、(竹内)公輔が直前の2週間全日本の活動に出ることになり、満足な強化は出来ませんでした。しかし(竹内)公輔の抜けた後を4年生石塚 が2週間頑張り通した事は、チームの一体感を強め、トランジットゲームの強化になったと思います。リーグ優勝したことによるインカレ優勝への“期待”と“プレッシャー”は、私自身は感じませんでしたし、学生も同じだと思っています。

宙を舞う慶應大・佐々木コーチ
ただリーグ戦の優勝が決定した試合後のミーティングで「インカレを狙っていたのに、リーグ戦優勝で(インカレは)追われる身になった。しかし君たちは、今まで自らを成長させながら戦ってきた。リーグ戦の優勝でインカレを勝ち取る価値がさらに増した。自分たちで勝ち取って高めた価値観に、挑戦者としての新たな気持ちで臨んで欲しい」と話しました。単に“インカレ制覇”ということにに留まらず、“さらなる挑戦”と言う付加価値をつけた事が、インカレに向けての練習のモチベーション維持に大きく影響したと思っています。
この大会を通してスタート・バックアップの面々共に大きな成長をしました。特に、2年生の酒井・竹内の活躍は優勝の原動力であったと思います。酒井のスペーシングと身体を使ったディフェンスはチームの安定性に大きく貢献し、竹内のリング下の攻守は、逆転劇の起爆剤になったと思います。チーム全体としては、チームディフェンスからのルーズボールの獲得に集中できた事が評価できます。
いつも大会後学生全員に、個人的に果たすべき役割分担を記載したものを渡しそれぞれに理解させ、常に練習で実行する努力を要求しています。なのでインカレ前の学生とのコミュニケーションは、特別に多くの声かけはしませんでした。それは、毎日練習に立会い、見守っていた事で達成できたと考えています。特にリーグ戦終了後からの練習では大きな不安・不満を感じる事が少なくなり、学生各自の高い意識を感じました。ただ試合に出れない4年生とは、インカレ直前に食事を共にし、頑張ってくれた事に感謝の気持ちを伝えました。
(来年度以降)志村・石田・辻内が抜けた後をどのように埋めるかが大きな課題ですが、個性はそのまま真似る事は不可能です。従って今いる選手たちが、それぞれの個性を発揮すること、またその個性が十分発揮できるような環境を作ることが必要だと思っています。」

慶應大・#4志村選手
(優勝して)よかったです。(リーグからインカレまでは)リーグ優勝がプレッシャーになることはなかったです。それよりはこれまでインカレで負け続けていたので、「絶対インカレで結果を残さないと!」っていう事の方が強かったですね。今まで土台にあった部分をもう1つレベルアップしていこうって感じで、特別なことはなく今まで通りディフェンスの練習や走ることをやりました。この大会は自分の調子が悪かったので、苦しい展開になってしまうことが多かったです。いいところでシュートを落としたりして、本当に迷惑かけたと思ってます。でも何と言っても公ちゃん(#13竹内)があれだけインサイドで頑張ってくれたのですから負けられませんよ。自分的にはあいつがMVPです。(スタンコビッチカップで)最初聞いたときは苦しい日程だと思いましたが、本当にあいつの強さが際立ちました。さらに大事なところで(#12酒井)泰治も決めてくれたし、4年生が昨日の試合でボロボロだったので、「最後くらいがんばろうよ」って言ってたのに、今日もやっぱりダメでしたね。またおんぶに抱っこをしてしまいました。自分たちは最後の集中力とかディフェンスとかそういうところでしか勝てないと思ってます。だからシュートの調子で左右されないです。シュートをこれだけ落としても、ターンオーバーをたくさんしても勝つっていうのは、オフェンスの調子が悪くてもディフェンスを頑張ってやっていって勝つというこのインカレでつけた力ですね。今日は試合序盤で離されましたが、それは自分たちの力を出し切っての結果ではなかったし、どちらかというとこちらのミスでっていうところが大きかったので、それほど不安はなかったです。でも10点差になったときはちょっときついかなと思ったのですが、相手のファールが込んでいたのでこれは大丈夫だと思いました。絶対(流れは)変わってくると思っていたし、相手のファールが込んでいたので、(竹内)公輔のところで攻められるって思っていました。ファールについては佐々木先生が「ファールは4回まで使える。自分が意図していないファールはするな。」ってよく言われています。うちはスタートみんな40分出る気でいますから、前半は抑え目にして…みたいな感じでコントロールしてますね。この大会の自分の体調は最悪でした。12月2日に熱出して、昨日足を怪我して、今日は注射打ってプレーしました。佐々木先生は本当に熱心な先生で、(優勝は)あの人のおかげだと本当に思いますね。練習が長いとかって文句言ったりもしてますが(笑)。自分はキャプテンとして佐々木先生としっかり話していって、みんなに先生のされてることが伝わるように、またみんなの状態が先生に伝わるようにしていました。それが浸透できた結果だと思います。慶應に入ったときは何からやったらいいかわからない状態でしたが、本当にバスケットが好きな奴らが集まってくれていたのでここまで頑張って来れました。大学バスケは自分との戦いです。AJではスーパーリーグのチームに勝ちたいですね。」

慶應大・#5石田選手

「最高にうれしいです。リーグ戦と違ってインカレは一発勝負で1回負けたら終わりなので、そういう意味ですごい緊張感とかありました。厳しい展開の試合が3試合続いたのですが、その中で慶應らしい試合ができたと思います。(プレータイムも長く、連戦が続きましたが)練習でよく走らされて、鍛えられているから大丈夫です。今日の前半相手にリードされたのは、自分たちのシュートが落ちていただけでそれほどリズムは悪くありませんでしたし、相手のファールも込んでいたので、とにかく我慢してやりました。いつも40分間通して頑張らないとと思ってますので、ファールはしなようにしています。今日は第2クォーターにもっと頑張れていればもっと早く追いつけたように思いますね。(第4クォーターにもう少しの所でなかなか追いつけませんでしたが)自分がどんどんやろうという気持ちはありますが、今日は相手のセンターがファールが込んでいて(#13竹内)公輔が気持ちよくプレーができていたので、ボールを中に入れることを考えてプレーしました。勝利の瞬間は感動でした。半泣きでした…泣いたかもしれない…はい、泣きました(笑)。AJは初めてなので、どういった展開になるかわからないのですが、とにかく慶應らしいプレーができればと思います。学生チャンピオンとして学生バスケがもっと盛り上がるようにできればいいですね。慶應で4年間バスケットをしてきて本当によかったです。1・2年の頃は今の状況は想像できませんでしたね。あの頃はバスケをだたがむしゃらにしているだけでした。でもいろいろな人に教えてもらって、いい仲間とも会えて、後輩にも恵まれて、自分がどんどん成長できたと思います。今日の結果は素直に喜んで、これからはまた新たに自分の弱いところを修正していきたいです。」

慶應大・#9辻内選手
「みんなのおかげで優勝させてもらえて、本当に感無量です。今日の試合序盤相手にリードを許したのは、自分個人としてはすごく緊張してしまってシュートのリズムが掴めなくなってしまいました。それがチームに浸透してしまってちょっと悪い雰囲気になって、“ダメな慶應”が出てきてしまいました。先行されたことには焦りはなかったのですが、悪いムードになってしまっていたことがすこく気になって、うちの“ディフェンスから走る”パターンに戻せれば絶対大丈夫だって思ってやりました。(第4クォーターの追い上げの時どちらもシュートが入らない時間帯がありましたが)もうシュートが入らないのはどうしようもないので、相手にも得点されなければ点差は変わらないですから、とにかくディフェンスを頑張って我慢していつかチャンスがくるのを待つって感じでしたね。我慢してリバウンドをとって、そこから走って…というパターンにできればいけるって思っていましたから。気がつくと追いついて、追い越してました。AJは初めてです。どうなるか全然想像つかないですね。社会人のチームと試合ができるので、とても楽しみです。」

慶應大・#12酒井選手
(今日の試合でもオイシイところでシュートを決めてましたが)そういうプレーが多いんですよね(笑)。今日は専修大の#7に結構やられてしまったので、それがよくなかったです。でも後半チームが流れをつかんでそれを土台に乗り遅れることなくやれたのでよかったです。試合終盤続けてファールをしてしまいましたが、それまで1回もしてなかったので「まあいいかな」と思っていたのですが、続けてやってしまって「このままではまずい」って思いました。でも前半ファールなしでやれたのででよかったです。チーム全体でも#4志村さんがちょっと前半ファールが込みましたがその後ファールなしでやってくれたし、他の人は大丈夫でしたからよかったですね。(プレータイムが長くて、連戦でしたが)それはきついですが、「気持ちを持ってプレーしよう」と練習の時からずっと言ってきていたので、そういった面できついとは思わなかったです。自分はあまり表に出ないプレーでディフェンスとか合わせのプレーとかが多いのですが、それがチームに貢献できてよかったです。(日本一になれたことは)そのチームにいられたこと、そしてその中でプレーさせてもらえたことがすごく自分の中でうれしいです。」

慶應大・#15竹内選手
「優勝したのにこんなに(個人賞を)もらっていいのかなって思います。今日は前半はシュートが入らなかっただけなので、後半すっと我慢してついていって、最後逆転できてよかったです。(専修大#9)長澤さんは非常にパワーがあって守り辛かったです。自分が気をつけたことはファールをしないということと、リバウンドは取らせないということです。(追い上げながらもなかなか追いつけなかった時は)ちょっとは焦りましたが、流れはうちの方にあったので大丈夫だって思っていました。体調はやはり(スタンコビッチカップで台湾から)帰ってきたばかりであまりよくはなかったです。その割にはしっかりできたのでよかったと思います。これから1週間オフがあるので、AJのことはそれから考えます。」

専修大・中原監督
「最後の勝負所でインサイドを立て続けにやられて相手のリズムになってしまいました。競るのは目には見えていて、どちらかが勝負所で抜け出すかという所がありましたが、こちらがファールトラブルになってしまって。
(それに加えて怪我もありました)抜けているのが大宮だったので、交代のローテーションから考えると大きかったです。でも井上、五十嵐がよくつないでくれました。井上は4年生の意地を見せてくれましたね。
(良かったところは)大胆に行けたところですね。細かくじゃなく、ミスを怖がらずにいけたところはうちらしかったと思います。
(準優勝と言う結果は)ベンチに入れなった4年生が2人いるんですよ。七戸と国安、彼らのためにも何とかいい結果で終わらせてあげたかったのですが、自分の経験不足もありました。選手には顔を上げろ、胸を張ろうと言いました。いい加減なことはやってない、全力でやった結果だからと。
実力なんでしょう。怪我とかもひっくるめてチャンピオンになるわけですから。
(この1年は)僕はすごく毎日が楽しかったですね。毎日チームの皆とバスケットができて。結果的には最後こういう形になったけれど、下の子が意識してやってくれれば4年生がやってきたことが残ると思います。」

専修大・#4佐々木選手
(この試合は)結果は、僕らが今までやってきたことを誰1人として手を抜かず、精一杯出し尽くした結果がこれだから悔しくないです。悔いはあるけど…ないです。
(怪我などもありましたね)負けたチームは何を言っても負けます。それでも勝てる、それも強さのうちです。向こうだって控えの層が厚いわけではないけれど万全の体調でこの大会をやりきる強さがありました。1枚うわてでしたね。でも、1年を通して皆頑張ってやってこらてたと思います。やっぱりそんなに甘くないですね。何て言うか難しいです、勝つことというのは。
(この1年は)3冠を目標にやってきて、春は優勝できました。チーム的には3冠してやるって気持ちを1年ずっと欠けることなく持ち続けられて、いい雰囲気で練習できたと思うけれど、リーグ・インカレの結果を出せなくて少し残念です。チャレンジャーという気を持つのが難しかったですね。専修が上にいて下から挑むというのを周りが作っていました。前夜祭でもほとんどのところが“専修とやりたい”と言ったみたいだし、僕らは思っていないけれどやっぱり狙われている感じで、うちとやる時はみんな目の色が違くて調子も良くて、その中で勝つのは難しかったですね。
(キャプテンとして)声を出すことしかできなかったけれど、皆が僕をキャプテンと認めてくれて、言うことについてきてくれたのでやりやすかったし、このチームでやれて良かったなと思います。」

専修大・#5中川直選手(写真)
(この試合は)今日はシュートも入って良かったですね。一番いい舞台であんなプレーができて良かったです。(チームとしては)負けたからダメですね。でも皆一生懸命頑張っていて…あ、ダメって言ったらいけないですね(笑)。ディフェンスとか頑張ったし、井上(聡・#7)は4年間頑張っていてこんなに長く試合に出たのは初めてなのにいいプレーをしたし。ベストを尽くした結果ですね。
(大会を通しては)初戦だけはふわっと入ってしまいましたが、そこからはチームで戦っている意識が強かったです。ディフェンスから頑張ってうちらしいバスケットができたし、観客も見ていて1番楽しかったのはうちだと思います。そういうカラーを出せましたね。
(この1年間は)足にできものができてしまったりしてずっとコンディションが整わなくて練習を続けてできませんでした。それでなかなか使ってもらうことができなくて、自分は長く出ることでリズムをつかむタイプなのでいいところを出せずに自分を見失う時もありました。でもこうして最後に中原さんが信じて使ってくれて、それに応えられたと思うし魅せることもできました。
やっぱり1年というより4年間この(インカレの)ためにやっているようなものなので、その試合で勝ちたかったけれど…お客さんは楽しんだと思います。勝ち負けは別として。
最後にこのメンバーでできて良かったですね。去年はスタンドにいたので。
(今後は)これからバスケットのモチベーションをどうやって維持していくかですね。こんな舞台を見てしまったし。でも大学4年間バスケットばっかりやっているわけではないし他のことをやっている方が長い。だから人間的にも成長できたと思います。bjリーグも気になるけれど仕事があるので。まぁまた何か楽しいこと見つけますよ。」

専修大・#13大宮選手
(この試合は)結果的には残念です。でもこのメンバーで楽しめて、一緒にやれてよかったです。
(敗因は)審判のことは言ってもしょうがない。決定力不足なところがありました。外で見ていて思ったのは、慶應には個人技では負けていないけれどチーム力では勝てなかったなと。それが最後に足りなかったのかなと思います。
(自身の怪我は)足首の脱臼です。昨日飛んだ瞬間外れていたんですよ。出られなくてはがゆかったけれど、でも皆頑張ってくれて嬉しいです。
(来年に向けて)信頼できる4年生が全員抜けてしまう分、先にも言ったチーム力の不足を補いたいです。カラーを変えるわけではないけれど、派手さは忘れずに、チームでやっていきたいと思います。」

『ラストダンス』専修大
 残り16秒で#6中川和が、続いて#10波多野・#9長澤が5ファールでコートを去っていった。史上まれに見る“魅せる”というタレントが揃ったチームの壮絶な最後だった。
 年明けにオールジャパンが残っているが、どの大学も1・2回戦でJBLスーパーリーグのチームと当たる。学生が目指す対象となる大会ではない。
 そして準優勝となった決勝の翌6日、#6中川和は一足早く夢に向けて旅立った。
 決勝戦、歓声が上がったプレーがある。第2クォーター終了間際、#5中川直から#6中川和への鮮やかなバックドアプレー。「僕はパスとか結構好きなんですよ。ノールックとかもやれる。でもこれからはそれを取ってくれる人がいない」(中川直)。小学校3年生から13年間同じチームでやってきた2人のコンビプレーもしばらく見られない。
 最も観客を魅了し、そして勝敗が決する前から王者と決め付けられるプレッシャーと戦い続けたチームを引っ張ってきた4年生は、これでばらばらになる。でも彼らが奏で出したプレーは、記憶には残る。そしてそれを間近で見ていた下級生達が、また新しいドリームチームを見せてくれるだろう。  
(北村美夏)


<男子第56回女子第51回全日本学生バスケットボール選手権大会 女子決勝>
12月5日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
69
9
1st
21
65
 
22
2nd
6
筑波大
14
3rd
20
大阪人間科学大
 
14
4th
12
 
 
10
OT
6

スターティングメンバー
筑波大:#4田渕、#8近藤、#11加藤、#14櫻田、#17鈴木
大阪人間科学大:#4石川、#5田代、#6稲本、#7中谷、#8平江
(渡辺美香)
PICTURE
COMING SOON

筑波大・内山治樹監督
「よく頑張りました。“劇的な”とはこのことですね。専修戦でも2回オーバータイムをやっているのでそういう意味では不安はなかったのですが…、今回は途中ちょっとやばいかなとも思いました(笑)。最後の(向こうの)ファールがついたのが大きかったですね。延長に入ってからは向こうが2人ファールアウトしていることもあって、「とにかく行け!」っていう感じでした。今日の試合が競ったのはうちがガチガチだったからです。あがってるからシュートが入らないし、シュートセレクションも悪くなってリバウンドも取れないし。経験の差もあるでしょうね。でも最後追いついてくれてよかったです。みんなよく頑張りました。ようやく“古豪復活!”です。」
筑波大・#4田渕選手(最優秀選手賞・MIP賞)
「やりました。本当にうれしいです。今日のゲームの入りはみんなガチガチに緊張していて…しょうがないって言えばしょうがないですね。インカレの決勝ということと、今日の観客の多さにみんないつものようにはいかなかったです。第1クォーター相手に行かれてしまいましたが、全然焦ることはなかったです。第4クォーター再逆転され離されかけた時は「耐えるしかない!」って思いました。第4クォーター終盤3点差のフリースローの時、#8近藤には「気にすることないから、楽に打って」って言いました。次の1点差でのフリースローの時はもう彼女に任せるしかないので一言「アズ」って名前を呼びかけただけでした。延長に入っても向こうはゾーンディフェンスでやってきてて、マンツーマンで強くやってくることがなかったので、なかなか攻めのリズムができませんでした。(日本一の実感は)あまりないですね。(目標としていた日本一になって)次はもうAJしかないので、そこで後輩たちに何かを残せるようにしたいです。プレッシャーはないです。挑戦するだけです!」
筑波大・#5徳丸選手
昨年まではスタートのセンターだったが、今年はじめから体調面のこともあり、ベンチで過ごすことがほとんどとなった。しかし、そのベンチで誰よりも声を出し、コートに立つ選手たちとともに戦い続けていた。
「自分は(日本一は)初めてなので、ここにいられてうれしかったし、本当にこのチームで4年間やってこれてよかったです。リーグ戦ではやはりチーム(の中)で戦いたいという気持ちはありましたが、自分は試合に出られないということでもどかしい気持ちはありました。でも優勝に近づいていくにつれてそういうのがなくなって、「このチームが優勝できればそれでいい」と思えるようになりました。たとえ試合には出られなくても、チームの力になることだったら自分のできる限りのことがしたかったので、ベンチでも一生懸命声を出しました。筑波で4年間バスケットをしてきて、本当によかったです。」
筑波大・#8近藤選手
「(第4クォーター)最後のフリースローは緊張しました。2本とも決めていれば勝てていたのですが、1本決めたところでほっとしたというか…「とりあえず1本決めれば」というのがあったので。(決勝となったかもしれないフリースローを)はずして本当に申し訳なかったのですが、向こうはファールがかさんでいたので延長になれば絶対勝てるって思っていました。(同点となるフリースローが決められたのは)「普通にやれば入るよ」ってみんなが声をかけてくれて、本当にみんなのおかげです。第1クォーターで結構(点差を)開けられたって言うのはやはり動揺はあったのですが、第2クォーターでこちらのリズムが戻ってきてどんどん追い上げていけて、(前半終了時の)あの点差なら全然問題ないって思えたので、焦りはなくなりました。今日は予想していたより緊張してないって思ったのですが、実際始まってみると思っていたより緊張してましたね。人科大も結構当ってきたので、それに押されるようになってしまったという部分があって、前半は自分的にはよくなかったです。延長に入ったら向こうは#6と#8がファールアウトしていたし、ディフェンスからしっかりやっていくうちのスタイルでやれば負けることはないって言う気持ちがありました。(日本一の実感は)全然ないです。とにかく1つ1つのゲームをチームが1つになって戦えたって言うことが大きかったです。AJでもここまできたら1つでもたくさん勝っていって少しでも上に上がっていきたいと思います。筑波のバスケットをして頑張りたいです。」

筑波大・#9宇佐美選手
「今日もいいところでシュートが決まって、またまた美味しいところをもらいました(笑)。今日は相手のディフェンスが下がり気味だったので、ちょっと「ここで打っていいのかな?」っていうのがあったのですが、“打った者勝ち”みたいな感じで打っちゃいました。ゲームの始まりは自分はベンチで見てたのですが(コート上の)みんながすごく固くて、「自分がちゃんとしなくては」と思ってのですが、入ったら自分も固くて、本当にゴール下とかポロポロと落として申し訳なかったです。でも、そういうことがあったかあらこそ逆に“向かっていこう!”という気持ちが強く出て、いい方に働いたと思います。日本一の実感は…あります!日本一です、自分たちは!(笑)インカレは短期間でしたが、どんどんチームとしての力も伸びてきましたから、まだまだ可能性がいっぱいあるチームだなっていうことを思いました。AJはチャレンジャーとして頑張りたいです!」

筑波大・#11加藤選手
「まだあまり実感がわかないですが、うれしいです。今日は最初に向こうのペースで始まって、すごい緊張してしまって自分たちのバスケットができなかったのですが、途中でペースを戻して延長までいって、最後に自分たちの目指すバスケットができたので、本当によかったと思ってます。試合序盤は気負いや緊張で力んでしまってシュートが入らなかったです。でもそこでよく我慢できたなって思います。(第4クォーターで逆転された時は)向こうに押されていましたし、正直言って焦りはありましたが、まだ時間もありましたから、とにかく自分たちのやってきたことをしっかりやろうといって臨みました。延長に入ってからは、もう最後の5分ですから、自分たちのバスケットを思い切ってやるだけでした。自分がコートに入ったときはとにかくゴールに向かって行こうって思っていました。でも最後のシュートははずしてしまって、(#8)近藤がリバウンドを取ってくれたのでよかったです。インカレは個人的には調子が悪かったのですが、チームとしては内容のいい試合もできたし、結果も残せたので最高でした。AJは4年生の最後の試合になりますし、学生チャンピオンとして恥ずかしくない試合をしたいです。」

筑波大・#12中藤選手
「今日は楽しかったです(笑)。前半競ってしまいましたが、それは(筑波の)みんながいつも通りではなかったからで、ちゃんとやれば勝てるってわかっていたので、焦りとかはなかったです。ここ数試合あまり出してもらえていなくてやはり悔しかったですから、今日出た時は楽しみました。延長の時に(第4クォーター終わりのメンバーのまま)スタートで出られたのは、うれしくてしょうがなかったです(笑)。やってやろうっていう気持ちになりました。今日は本当に楽しかったです。出番が少ない分出た時は楽しくて。(日本一の実感は)ないです。今まで県大会でも優勝したことがないので。AJでも今まで通りやっていければいいと思います。」

筑波大・#14櫻田選手
「まだ全国の1番になったという実感がないですね。この第2体育館にこんなに応援の人たちがいっぱい入った中でゲームができるということはすごく光栄なことだと思います。はじめはすごく緊張したのですが、やってるうちに自分たちのバスケットをしようと言って、だんだん緊張もほぐれてきました。今日は外のシュートがちょっと不調だったのですが、自分はいつも打たせてもらっているので、それが入らないのなら他の部分でチームに貢献しなくてはという気持ちはありました。感覚的には(打った瞬間に)入ったか入らなかったか判るのですが、みんながリバウンド頑張って繋いでくれてましたから、自分はディフェンスで頑張ろうって思いました。離された時はちょっと焦りはありましたが、仲間を信じてやってこれたので、それが結果に出たのだと思います。延長に入るときは筑波はファールも少なくてメンバーもいたのに対して、相手はファールが込んでてファールアウトもしていたので、筑波のほうが有利だと思いました。インカレは苦しい試合が多かったのですが、だからこそ筑波のバスケットを見せられるチャンスだと思って自分はやってきました。チームみんなの信頼感も強かったです。AJは自分は初めてなのですが、レベルが高いところとやれるので、思い切ってチャレンジしていきたいです。」

筑波大・#17鈴木選手(優秀選手賞)
「第4クォーターの最後のフリースローの時はリバウンドは絶対取ってやるって思っていました。今日はシュートが全然入らなかったので、せめてリバウンドは取ろうと思って頑張りました。今日は観客も多かったし決勝ということもあってやはりちょっと緊張しました。最初はチームみんなが焦りまくってました。離された時間もありましたが、みんなで「大丈夫」って声掛け合って、流れが変わるときが絶対あるって思ってやっていました。なので離されたことに対する焦りはなくて、入りにちょっとフワフワしていましたから、それをいつも通りのプレーにしていくようにしました。そうすればきっと追いつけると思っていましたが、実際そうなってよかったです。」

大人科大・#4石川選手(敢闘賞)
「優勝できたと思っているので、最後の表彰式とか見ていてとても悔しかったです。筑波の高さに対しては、インサイドにボールが入ったら早く寄って中では攻めさせないようにしようと言ってました。でも最後はリバウンドでやられてしまいました。延長はもう行くしかないって感じでした。インカレにあたってはもちろん優勝を目標にはしていましたが、リーグ戦からずっとチームの調子が悪かったので、正直どこまで勝てるかがわからない状態でした。インカレに入って、やはりみんなこれ(インカレ)のためにやってきてたので、自然にチームがまとまることができました。AJまでももう少しリバウンドを強化したいです。」

大人科大・#5田代選手
「勝てた試合だったので本当に悔しいです。最後のリバウンドを何回も取られてしまったことが勝敗を分けました。それはやはり自分たちの気持ちが負けていたのだと思います。自分自身の調子はいい方でした。延長はただ勝ちたいという気持ちで臨みました。
決勝で負けたのは残念ですが、インカレ前までのチーム状況を考えると、準優勝という結果はよかったと思います。リーグでもチーム状態が悪くて、本当にここまで来れたことが不思議なくらいですから。でも、インカレに入ってからチームの状態もよくなっていって、対戦相手的にもラッキーな面もありました。試合毎にチームがまとまっていくのが自分たちでもわかりました。AJにもこの気持ちが落ちないように、モチベーションをあげたままで臨みたいです。」

大人科大・#6稲本選手(ディフェンス賞)
「出だし自分たちのペースでできてすごくいい感じだったのですが、やはり高さで負けていて中にボールを入られてしまったらファールすることしかできなかったし、そのファールが最後に響いたのですごく悔しいです。いつもすぐに手を出してしまうのですが、もっと考えてファールしていかないといけないと思いました。むこうはずっとジャパンとかでやってこられた方ばかりだったので絶対勝ちたかったのです。試合前は「当って砕けろ」ではなく「絶対勝つ!」って、みんなで気持ちを固めてやっていました。なので競った展開になることは予想していたのですが、最後の所でやられてしまいました。優勝したかったのですが、2位(準優勝)という結果は満足できるものだったと…これから気持ちを整理していきたいです。リーグの時はチームがバラバラで、自分も全然本来の力が出せていなくて、インカレに来る前までずっとチーム状態はよくなかったのですが、インカレに入って日女戦(3回戦の日本女子体育大戦)を勝ったあたりから武庫川戦(準々決勝)、白鴎戦(準決勝)とチームがまとまってきて、みんなの気持ちも「絶対優勝する!」っていうものに変わってきました。自分が上に立っててもやりやすくなりました。やっててすごく楽しかったです。AJまでに少しでもディフェンスを強化して、リバウンドもとれるようにしていきたいです。厳しいディフェンスからリバウンドをとって速攻というのが自分たちのバスケットなので、それがしっかりだせるように、インサイドをもっと強くして、自分たち(アウトサイドの選手)はもっと走れるバスケットをしたいです。」


<男子第56回女子第51回全日本学生バスケットボール選手権大会 3位決定戦>
12月5日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
78
18
1st
27
81
拓殖大
24
2nd
25
日本大

21

3rd
14
15
4th
15

スターティングメンバー
拓殖大:#5伊藤、#6熊谷、#8加々美、#9小島、#10長谷川
日本大:#4日下、#5太田、#9呉屋、#11城間、#12菊地

 第1クォーター、日大は#12菊地が先制、その後も中で外でと加点する。対する拓殖大は#5伊藤の速攻・#8加々美のカットインで応戦して互角の展開となる。だが16-13と拓殖大リードの残り4分から#5伊藤・#6熊谷が個人ファール2つでベンチに退かざるを得なくなって得点が止まり、日大にフリースローや#12菊池・#7蒲谷の3ポイントシュートを決められ18-27と差を付けられる。

 第2クォーター、開始早々から拓殖大は#8加々美の得点で追い上げるが、日大#7蒲谷の3ポイントシュートで25-34と押し戻される。だが#8加々美がさらにパスフェイクからのカットイン、3ポイントシュートを決めて残り5分40秒34-38として日大にタイムアウトを取らせる。だが日大#12菊池のミスを得点につなげられず、その#12菊地の3ポイントシュート、#11城間のフリースローでじりじりと離される。残り2分に日大#9呉屋がパスカットから両手ダンクを決めると完全に日大ペースとなり、残り1分を切ってから#4日下、#7蒲谷もシュートを決めて42-52と日大リードで折り返す。
最初から最後までルーズボールを
体を張って追いかけた拓大#6熊谷
 第3クォーターは拓殖大#5伊藤のダブルチームからの速攻で始まるが、日大#4日下が確率の高いシュートでつなぎ残り7分46-56と点差は変わらない。さらに#12菊池・#11城間のシュートで差が開くが、拓殖大#6熊谷がパスカットからの速攻を2つ続けて決め55-63と差を1桁に戻す。その後どちらも点が止まり、残り2分40秒タイムアウトとなる。あけた後は日大#9呉屋が決めて流れを引き寄せるかに見えたが、拓殖大#11宇田が#10長谷川に合わせてシュートを決めるとディフェンスが良くなり、日大が5秒以内にスローインできず拓殖大の選手に何とか当てて出す場面も見られるようになる。日大#9呉屋、#12菊池のカットインも体を張って守り、それを速攻につなげて残り54.2秒61-66と詰め寄る。その後拓殖大#10長谷川がゴール下を決め、さらに残り5秒でレイアップのチャンスを得るがこれを落としてしまい、63-66で終える。

  第4クォーター、日大がリズムを取り戻せないうちに拓殖大#6熊谷がフリーで3ポイントシュートを決めて同点、さらに速攻で#8加々美が決めて残り7分55秒68-66と逆転に成功する。拓殖大がパスカットからの速攻をもう1つ決めて70-66となったところでタイムアウトとなる。だが拓殖大#6熊谷が自らカットイン、またリバウンドのルーズでファールをもらうなどつけいる隙を与えず、残り5分30秒72-68で日大は再びタイムアウトを取る。日大#7蒲谷、拓殖大#8加々美が決め譲らない。だが残り4分、日大#5太田がリバウンドでファールを得てフリースローを1投決め、さらに#7蒲谷が3ポイントシュートを決めて72-72と振り出しに戻す。しかし拓殖大は#9小島へのロングパスですぐに決め返し、さらに#5伊藤のスティールから#10長谷川が速攻を決めて残り2分40秒76-72と再び4点差をつける。だが日大も2本続けて決め残り1分45秒76-76と再び同点。ここで日大#7蒲谷がこの日5本目の3ポイントシュートを決めるが、拓殖大#4清水が返し、日大#12菊池がオフェンスファールとなって残り1分5秒拓殖大はタイムアウトを取る。拓殖大はあけた後のオフェンスを得点につなげられないが、日大#5太田へのパスをカットして速攻に持ち込む。日大#4日下が拓殖大#5伊藤のドリブルを何とかファールで止めて残り16.7秒再びタイムアウトとなる。拓殖大は#6熊谷をコートに戻し、スローインで#8加々美に託すが、コーナーで痛恨のドリブルミスをしてしまう。残り12.1秒、タイムアウトあけの日大のスローインではゴール下の#12菊地まで一気にロングパスが通るがシュートを打たず、拓殖大#6熊谷が何とかファールにいく。#12菊地はこのフリースローを2投とも決めて78-81と3点差になる。残り5.1秒での拓殖大#6熊谷のドリブルを日大#4日下がうまくファールで止め、さらに拓殖大#8加々美へのスローインも日大#12菊地がカットする。残り4.3秒でのスローインでは拓殖大#5伊藤に渡り、フェイクでディフェンスを飛ばせて3ポイントシュートを放つがこれがエアーボールとなり、日大#12菊地と拓大#9小島がその落ちてきたボールを互いにつかんだままタイムアップのブザーが響いた。
(北村美夏)

日本大・#5太田選手
「めっちゃ嬉しいです。(チームとしては)気持ちの面ですごく良かったですね。コンディションは疲れとかもあってあまりという感じでしたが、気持ちでカバーしてやれました。(準決勝からの切り替えの面では)やるからには勝ちたいし、4年生をその時取れる最高の順位で送りたかったので、切り替えないと勝てませんから。(リーグと比べては)全然良かったですね。気持ちの面がリーグはよくなくて1回負けたらずるずる行ってしまいましたが、インカレでは切り替えてやれたのが勝因ですね。
(自分のプレーは)今日はあんまり納得いっていないです。1on1もあまり行けず、リバウンドを取るわけでもなく…でも一応ディフェンスは頑張りました。もっとオフェンス面で関われたら良かったですね。
(この1年は)すごく自分のプレーを伸ばせた、うまくできた年でした。去年は試合にも出られなかったけれど、今年はスタメンで1on1もまだだけれどできてきたし、ディフェンスも良くなってはきているので、自分にとって大事な年でした。(プレーが伸びたきっかけは)先輩の城間さんが熱心に、練習の後とかも教えてくれたからだと思います。あとは自分でゴール下のドリルを決めてやっていました。川島監督にやれって言われたので、メニューは自分でやって。やった分だけ成果が出ましたね。」
日本大・#7蒲谷選手(写真)
「今日はまあ勝てたのでよかったです。今日はちょっとシュートも決まりましたが、自分の調子はまだまだです。大会としてはやはり慶應戦が悔しかったですね。勝てていた試合だと思います。最後にリバウンドが取れなくなって、自分たちのバスケットができなくなってしまいました。大会当初は自分の調子もすごく悪かったのですが、大会が進むにつれて少しずつよくはなってきましたね。AJまでにもう少しチームとしての練習をやって、AJでは日大のバスケットをしっかりお見せしたいです。」

日本大・#9呉屋選手
(接戦でしたね)どきどきしましたね。(自分のプレーは)後半、足がつってしまって全然できなかったです。もうちょいやれましたね。(勝因は)勝負所でミスが続いたけれど、ディフェンスで粘れたところが良かったですね。(自分のプレーは)調子が悪かったです。もうちょいできたなと思うので次の課題にします。
(この1年は)まぁまぁできたかなと思います。満足?全然です。来年は1番上なので精神的にもプレー的にも引っ張っていけるよう頑張ります。」

日本大・#12菊地選手
(この試合は)結構、ミスしていたので自分では微妙ですね。でも勝てたので良かったです。(ベンチにいる時はどんな気持ちでいましたか?)まずはいい流れになって欲しいと。あとは自分が出たときに何をすべきかですね。するべきことは、前半は結構よかったけれど後半はミスが出てしまいました。突っ込みすぎで、それがプレースタイルと言ったらそうですけどカバーが来ていたのにさばけなかったです。(大会全体では)足の怪我から治って、この1週間は調子も良くて頑張れました。リーグ戦が良くなかったこともあってみんなインカレにかけていたので、3位になれてよかったです。
(来年に向けて)2年生になって、攻められるようになったので次の2年間は周りを生かすプレイを覚えたいですね。いい1年間でした。」


<男子第56回女子第51回全日本学生バスケットボール選手権大会 女子3位決定戦>
12月5日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
94
31
1st
25
68
 
鹿屋体育大
22
2nd
17
白鴎大
22
3rd
19
19
4th
7

スターティングメンバー
鹿屋体育大:#4西里、#7永石、#8平田、#9長谷川、#10内田
白鴎大:#5平間、#6花田裕美、#8花田裕香、#15鎌田、#17鈴木
(渡辺美香)
PICTURE
COMING SOON

鹿屋体育大・清水信行部長・監督
「今回の3位という結果は、昨年を上回るという意味で最低限の目標が達成できたというところです。この大会前は決していい状態ではなかったのですが、早稲田戦、桜花(学園大)戦とよくなっていって、準決勝前にはみんなの気持ちは優勝に向かってました。結果としてうちは筑波大に(準決勝で)負けただけなので、もしこれが昨年のようなリーグ戦だったら…とは思いますね。せめて2位にはなれていたかもと思うと悔しいです。筑波戦もうちは悪くはなかったのですが、向こうのディフェンスにガードとフォワードの流れを切られてしまって、それでオフェンスのリズムが悪くなってしまいました。うちは身長は低いのですが、その分やるべきことをきちんと理解して、自分たちでやろう!やっていこう!という気持ちを強く持っています。チーム全員でまとまって、全国のベスト4に入れたということは、普段からやっていることの結果だと思い、自信にもつながります。キャプテンの#4西里はこのチームのただ1人の4年生で、1年生の時に右ひざの前十字靭帯を切ってしまって手術をしたらまた再断裂となって、今は前十字靭帯が切れたままでプレーしています。バランスを上手く取る身体の使い方を覚えることで今のようなプレーが可能になりました。今年はキャプテンとしてだけでなく、プレーヤーとしても復帰してくれてよくやってくれました。」
鹿屋体育大・#4西里選手(リバウンド王)
「昨年が4位だったので、今年の3位は満足してはいます。膝は先生がしっかり身体のバランスのとり方や使い方を教えてくれたので、今は不安はありません。でも、怪我をする前に比べたら外からのドライブはしなくなりましたね。やはりストップには無理がありそうで…その分インサイドでリバウンドなどを頑張ってやるようにしました。今年は4年生が自分ひとりでキャプテンになりましたが、それまで(怪我のため)ほとんどプレータイムがなかったし、みんながついてきてくれるか心配な面もありました。でも先生のバックアップもあって、みんな信頼してついてきてくれました。準決勝では#7永石がマークされたことはいつも通りだったのですが、まわりも上手く動けなくてパスがまわらなくなりましたね。それでイライラしてきて、リズムが作れませんでした。敗戦後はやはり切り替えが難しい面もありましたが、このままズルズルと負けてしまってはいけないと思って、昨年より上の3位を目指してこのゲームがとても大切だということを改めて確認しました。
今日は相手が乗せてしまうと怖いチームでしたからそうならないようにまずはディフェンスをしっかりやって、特に相手の#6(花田裕美)・#8(花田裕香)・#10(小川)には楽に攻めさせないようにしました。24秒オーバータイムがとれたりしましたし、ディフェンスはよかったと思います。オフェンスも後半からはうちのペースでやることができました。「やってやる!」という強い気持ちが出せていたと思います。AJまでに今回の大会ででた課題を少しでもクリアして臨みたいです。」

白鴎大・佐藤智信監督
「やはり最後は経験が出ましたね。鹿屋体育大は連続してベスト4に入ってます。そうやってみんな強くなっていくのですよね。うちはまだまだ発展途上のチームですから、どんなゲームでも得るものがあります。これを次に行かしていきたいです。」

白鴎大・#5平間選手
「入れ替え戦を怪我で出れなくて自分的にはかなり悔しかったです。でも、後輩たちが頑張ってくれて自分はベンチで安心して見ていられました。この大会でもプレータイムは少なかったのですが、その限りある時間の中で少しでもチームに貢献できるプレーをしようと思っていました。後輩たちが本当に頑張ってくれていたと思います。うちは4年生が自分とキャプテン(#4)だけなのですが、後輩たちが支えてくれていたのでやってこられました。今日はとにかく思い切ってやることだけを考えていました。実際にはあまり思い切ったプレーができなかったのですが、最後にプレーができてよかったです。このインカレで4強に入れたことはすごいと思うし、みんなで頑張ってきたことがこういう結果につながって、本当にうれしいです。AJはスタッフとして参加します。次につながるゲームができたらいいと思います。」

<取材・文 北村美夏、渡辺美香>

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