<平成16年度男子日本代表> 

4月15日、東京の国立スポーツ科学センターで、平成16年度男子日本代表の始動記者会見が行われた。45分ほどの活発な記者会見を終えた後、17時から19時まで公開練習を行った。
「2年目となる今年のメインは、新しいチーム作りの続き、2006年世界選手権のベースとなる選手達のコミュニケーションを深めることです。今年は大きな大会はありませんので、強化のためのプログラムになります。キリンカップでいい姿を見せることを最大の目的とし、それ以外は個人技と、チームの戦術を上げることに時間を使います。世界と比べて負けているところは追いつかないといけません。特に注意しているのは、選手の精神的成長です。時間がかかりますが、日本代表と言う責任を持ち試合をやり続けていく気持ちを持ってもらいたいのです。また、後数人の選手を見たいと思っています」(ジェリコ・パブリセビッチHC) 。

メンバーとスケジュールは以下の通り。

<今後のスケジュール>
2004/04/15-04/18  第1次強化合宿  国立スポーツ科学センター(東京都北区)
2004/04/21-04/25  第2次強化合宿  NECニューライフプラザ(東京都府中市)

2004/04/28-05/02  第3次強化合宿  国内合宿
2004/05/05-05/09  第4次強化合宿  国内合宿
2004/05/12-05/16  第5次強化合宿  国内合宿
2004/05/19-07/06  第6次強化合宿  海外遠征
2004/07/12-07/16  第7次強化合宿  国内合宿
2004/07/19-07/23  第8次強化合宿  国内合宿
2004/07/下旬      国際強化試合  日本各地
2004/08/04-08/06  第9次強化合宿  国内合宿
2004/08/09-08/13  第10次強化合宿  国内合宿
2004/08/18-08/22  第11次強化合宿  国内合宿
2004/08/23-09/07  第12次強化合宿  海外遠征
ジェリコ・パブリセビッチHC:「スケジュールは3つに分けて考えています。まず、5月27日までは日本で、学生のために水〜日曜日で強化します。その間に、もう少し見たい選手や、スタッフなどの調整(もう一人のアシスタントコーチ決定)を終えます。次に、海外遠征では15日間クロアチアで合宿をします。去年と同じようにザグレブ体育大の協力を得て体力等を見ます。その後、ロードで5〜7試合行いたいと思っています。そして、6月の終わりからキリンカップの準備をします。スペイン遠征の可能性もあります。終わりは、8月の最後か9月の1週目を考えています。」

<代表選手>(4月15日現在)

 

氏名
所属
スーパーバイザー
杉浦 良昭
日本バスケットボール協会男子強化部長
ヘッドコーチ
ジェリコ・パブリセビッチ
日本バスケットボール協会
アシスタントコーチ
加賀谷 寿
アイシン精機
トレーナー
中村 由多香
日本バスケットボール協会
マネジャー
吉田 長寿
バスケットボール日本リーグ機構
サブマネジャー
貝塚 宗義
日本バスケットボール協会
通訳
楠本 賢
日本バスケットボール協会

氏名

ポジ
ション
身長
(cm)
体重
(kg)
年齢
所属
五十嵐圭
PG
180
67
23
日立
柏倉秀徳
PG
173
64
23
三菱電機
渡邉拓馬
SG
188
83
25
トヨタ自動車
大野篤史
SG
197
90
26
三菱電機
仲村直人
SG
192
83
27
松下電器
網野友雄
SG
196
88
23
トヨタ自動車
高橋マイケル
F
198
92
29
新潟アルビレックス
竹内譲次
F
203
93
19
東海大学
山田大治
PF

200

97
22
トヨタ自動車
竹内公輔
PF
203
90
19
慶應義塾大学
古田悟
PF
199
95
32
三菱電機
佐藤浩貴
PF
203
100
22
松下電器
青野文彦
C
210
118
25
松下電器
太田敦也
C
206
92
19
日本大学
伊藤俊亮
C
202
98
24
東芝
柏木真介
G
183
78
22
日立
桜井良太
F
194
75
21
愛知学泉大学
大宮宏正
F
198
80
20
専修大学
菅谷徹
C
215
98
19
京都産業大学
平均
  
198.4
88.3
23.3
  

ジェリコ・パブリセビッチHC:「スプリングキャンプから抜擢した4人(表赤字の選手)は、いい練習成果を見せた“ご褒美”と言えます。みな優れた点を持ち、代表に新しいクオリティを与えられる選手です。ただし、菅谷は特別扱いで、別メニューなどで“投資”をするために呼びました。
一方、残念だったのは事情で来られなかった選手がいたことです。永山はもう少し見たかったのですが、事情があって辞退しました。加藤もです。また、青野、佐藤、高橋の怪我の選手も参加できません。さらに、ユニバーシアードのことを考えてそちらにも選ばれている選手はそちらに参加し、李相佰杯に出場してもらいます。すると、大きい選手とフォワードの選手が少なくなるので、桜井、大宮、さらに後から西塔を加えます。そして新しく見ようと思っている選手が2人います。一人は三苫(トヨタ自動車)です。見てみたい最後の背の高い選手です。もう一人は松島ウォルター(横浜ギガキャッツ)です。日本の国籍は持っていませんが、帰化の申請しているそうなので、“代表”としてではなくテスト生として、ヨーロッパ遠征の前まで参加してもらうつもりです。
それから、大野は結婚するそうなので遅れて参加します。竹内公輔と譲次、太田はユニバではなくAを優先しますが、学業との兼ね合いで金曜日から参加します。」

<質疑応答>
・スプリンクキャンプから抜擢した4選手(柏木、桜井、大宮、菅谷)について
「柏木は、日本のバスケットから見て非常に面白い特徴を持っていて、非常に良いパッサーです。しかし、それでも全力で練習を進めなければなりません。もし失敗してしまっても、澤岻、宮永、中川など次に見たい選手がいます。 桜井、そして大宮は、フィジカル的なポテンシャルがとても高いです。しかしまだこれから見せないといけないものがあります。 菅谷は、215cmという身長です。彼には別メニューで色々試す必要があります。 」(ジェリコHC)

・松島ウォルター選手について
「潜在的な能力はあると思うので、入ってやった時どのくらいそれを発揮できるかを見る、ということです。といっても国籍取得に向けて色々な人が努力されているので何とも言えませんが、ここ1、2週間のうちに合流してもらう予定です。」 (杉浦強化部長)
「評価しているのは、ある程度の身長、ポテンシャル、そしてバスケットへの取り組み方です。ただ、2試合しか彼を見ていないので、杉浦さんと相談してもっと見ようということになりました。」 (ジェリコHC)

・去年伸びたところについて
「選手では、まず伊藤をほめたいです。自分のチームでいい役目を果たしてチームに貢献し、4・5番ポジション(インサイド)は外国人選手がやる、というのは正しくないと示しました。そして、五十嵐、柏倉はルーキーとして自分を前に出し、チームに貢献しました。そして渡邊は、去年の中で一番頑張ってくれた選手です。大野、仲村、網野、古田は、コンスタントにリーグでプレーしました。これらの成果は、各チームのおかげももちろんあり、感謝しています。しかし5ヶ月やり続けたのだからある程度の結果が出ないといけません。」(ジェリコHC)

・年長選手について
「まず、去年のファイナルのアイシン精機ー東芝はとても良い試合でした。そして、佐古(アイシン精機)は、日本で一番良いPGです。さらに後藤はMVPでした。彼らは今までも、これからも価値のある選手です。しかし、私達は新しいチームを作らなければなりません。若い選手のクオリティを上げる必要があります。もし、2006年の世界選手権のとき、ベテラン選手が必要で、求めるクオリティを持っている選手がいるなら1、2人呼ぶかもしれません。しかし逆をやったらベテランと若手の差が開いていくだけです。」 (ジェリコHC)

・目指すチームの形について
「去年よく聞かれた質問で“どんなチームを目指しているか”というのがありましたが、まず世界のスタンダードまでいかないとそこから前には出られません。また、身長の高い選手を中心にセレクションしているのかとも言われましたが、ガード5人のチームが世界のどこにありますか。代表に入れるのは、世界の基準を持った選手達なのです。」 (ジェリコHC)

・海外にいる選手について
「今のところ、田臥以外に代表の力になりそうな選手はいません。JBLもいいリーグなので選手はその中でも成長できます。もちろん海外に選べる選手がいるなら嬉しいですが。今後おもしろそうだなと思っている選手は2人います。」 (ジェリコHC)
(記事中敬称略)


ジェリコHCの手元にはびっしり書き込まれたノート


杉浦強化部長:「目標は高く、計画は緻密に行く。」

<取材・文 北村美夏>
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