<第1回スタンコビッチカップ>

11月24日スタンコビッチカップ第4日目、日本は予選ラウンドの2戦目となるカタールとの試合を行った。、アグレッシブなディフェンスで終始ペースをつかみ、第3クォーターで引き離すとそのまま逃げ切り、今大会初勝利を飾った。明日25日の第3戦は上位リーグ進出を賭けフィリピンと戦う。

写真:ハイタッチしながらベンチに戻る日本選手たち

<第1回スタンコビッチカップ 予選リーグ>
11月24日(日) 会場:台北市立体育学院体育館

TEAM
 



 
TEAM
70
19
1st
18
65
 
日本
15
2nd
18
カタール
(1勝1敗)
23
3rd
14
(2勝1敗)
13
4th
15
 


スターティングメンバー
日本:#6桜井・#7五十嵐・#11網野・#13古田・#15竹内譲
カタール:#6ALI・#8ABDI・#9ALI・#10MUSA・#12ABDULLA

第1クォーター開始早々日本#15竹内譲がトップから3ポイントシュートを決める。しかし、その後カタールに連続得点され、3−6とされる。日本は攻守ともに粘りを発揮すると、リバウンドからのトランジションの速い展開で#7五十嵐が速攻を決め逆転する。ここからシーソーゲームとなるが、残り3分をきってカタール#10のローポストからの攻撃を軸に連続得点され、12−16と離されかける。しかし、ここで日本#11網野が3ポイントシュートを決めつなぐと、最後は#6桜井のドライブイン・シュートが決まり、19−18とわずかに日本がリードして第1クォーターを終える。

第2クォーター開始1分で日本#5西塔の3ポイントシュートが決まり流れをつかみかけるが、その後得点が止まってしまう。カタール#7にゴール下で粘られ、22−21と1点差とされてしまうが、ここで日本#6桜井の3ポイントシュートが決まり、流れを切る。しかし、流れに乗り切れない日本は苛立ちもあり、ベンチがテクニカルファールを取られてしまう。このクォーター終盤も日本のプレーがあわずターンオーバーが増える。結局このクォーターで逆転され、34−36で前半を終える。

第3クォーター、ディフェンスをきっちり締めてきた日本はカタールの1on1を確実に止めていくようになる。さらにオフェンスでも24秒オーバータイムギリギリでのシュートが決まるなどし、流れは日本に傾く。カタールのボールの回りが悪くなり、1人の選手が長く持つことが多くなると、積極的にスチールを狙い、相手のペースを崩していく。残り5分19秒には苛立ちのでたカタール選手がテクニカルファールを犯し、そのフリースローもきっちりと決めると50−40と10点のリードとする。その後も#10竹内公・#15竹内譲・#5西塔とアグレッシブな攻めで流れを渡さず、残り2分11秒には#15竹内譲がスチールから速攻を決め、45−57とリードしたところでカタールにタイムアウトを取らせる。しかし、そこからカタールに#9の1on1で連続得点され、残り32秒に57−50とされるが、その後どちらも攻めきれず、そのまま日本が7点リードして第3クオーターを終える。

第4クオーター開始も日本は#8柏木が速さを活かしたドライブインと速攻で連続得点し、61−50とリードをひろげる。さらに日本#11網野の3ポイントシュートが決まり、得点を重ね、残り5分には68−54とする。しかし、カタールにゾーンディフェンスをしかれると、日本の得点が止まってしまう。動きが鈍くなった日本はカタールに積極的に1on1を仕掛けられ、追い上げられる。ファールで止めにいくことが増えた日本は残り2分には#11網野が5ファールとなる。相手に勢いをもっていかれているものの、日本も浮き足立つことなく落ち着いててプレーし続け、残り24秒からはボールをキープし続けると、70−65と5点差で日本が今大会初勝利をあげ、上位進出に望みをつなげた


チームハイの17得点を挙げた#15竹内譲

ディフェンスが冴えた#6桜井

アグレッシブなプレーで流れをよんだ#5西塔

日本 パブリセビッチヘッドコーチ
「まずは選手たちに“おめでとう”と言いたいです。今日は特に5人の若い選手たちがほとんど出ていました。今日はリバウンドでも有利に立てていたし、いいプレーができていたと思います。今日この若いメンバーを多く使ったのは彼らがいいプレーをしたからです。私たちのチームは12人誰が出てもいいプレーができるようになっています。その日の調子がいいことでプレータイムが長くなることもあります。若い選手たちはミスもありました。しかし、それがチームに悪い影響をを与えなければそれは許します。今日のプレータイムに1分も“プレゼント”はありません。」

日本 #15竹内譲選手
「今日は1本目から思い切りよくシュートを打っていこうと思っていました。その結果としてシュートがよく決まったことが、いい流れにもっていけた1つの要素だと思います。なによりみんなで一生懸命戦えたことがよかったです。序盤でファールが込んでしまったのですが、他にも出れる人はたくさんいるので、(ファールアウトを)あまり意識しませんでした。ファールが込んでもHCがつかってくれるのは調子がいいからだと思っていたので、プレーには影響はなかったです。」

日本 #10竹内公選手
「1試合目は自分たちのバスケットが全然できていませんでした。でも今日は、ミスはありましたが、自分たちらしいバスケットができていたと思います。チームの状態もよくなってきているので、これからの試合を全部勝っていきたいです。」

日本 #7五十嵐選手
「1試合目はチーム全員が集中力に欠けていて、自分たちのバスケットができませんでした。今日はチームがまとまって、気持ちの面でもカタールを上回れていたのではないかと思います。まだ試合は続きますので、明日からも頑張っていきたいです。」

カタール STIEBINGヘッドコーチ
「今日の日本チームはとてもすばらしいゲームをしました。にほんはとてもハードにアグレッシブにプレーして、我々はリバウンドが取れず、ミスも多くなってしまいました。そういうバスケットでは勝てません。日本のオフェンスもすばらしかったですが、ディフェンスもフィジカルに場面に則していて、とてもいいディフェンスでした。特にスクリーンやスイッチの場面でしっかり我々のオフェンスのついてきていて、我々は自分たちの形でオフェンスが組めませんでした。今日は素直に日本の勝利に“おめでとう”と贈りたいです。」

<Pick up!> 日本・#5西塔佳郎選手

スタンコビッチカップ第2戦、この日ゲームの3/4近いプレータイムを得た。
「今日はもう最初から「やってやろう!」という気持ちでいきました。先日のシリア戦は本当にみんな元気がなかったので、そういう意味でもチームに元気を与えられるようにしたかったです。今日はスチールも積極的に狙いました。スチール好きなんですよ(笑)。こんなに長いプレータイム(約29分)は代表に入って初めてです。今日はミスもありましたが、消極的なミスではなく、積極的に攻めていってのミスだったので、HCも使い続けてくれたのだと思います。」

「代表ではずっとゲームに出ていなくて、もちろんベンチでも十分学ぶものはあったのですが、やはりずっとベンチは嫌でした。なので夏の代表活動が終わってからもずっと気持ちを維持して練習を取り組んできました。そういう努力が結果として出てうれしかったです。一生懸命やっていれば何かいいことがあると改めて思いました。」

代表メンバーに抜擢されてから、バスケットに対する考え方や取り組み方が変わった。
「元々あまり練習するタイプではなく、能力だけでこなすといった感じでずっとやってきていたのですが、代表に入ってそういうものは通用しないことがよくわかりました。体調管理とか、メンタル面とかの重要性も痛感しましたね。
夏の代表活動終了後大学のチームに戻ったのですが、リーグではなかなか勝てなくて…ここで本当にチームワークの大切さを感じました。後半からチームがまとまってようやく勝てるようになりましたね。」

「代表では自分はまだまだ下のほうで、自分自身余裕がないです。今日の試合でも自分が決めるとベンチから笑いが出てたりして…まだ“マスコット”から脱却しきれていないですね。でも今日は少しですがようやくチームの一員になれたように思いました。
やはり全ては『経験』だと思います。そういう意味でもこの大会に参加できたことはよかったですね。残り3連勝することがまずは今の目標です。」

 

<Pick up!> 日本・#6桜井良太選手

今年の春からの流れの中で環境の変化に戸惑いはある。
「夏の代表活動終了後大学のチームに戻ったのですが、その時は全然ダメでした。代表とチームとでは全然やるプレーが違いましたから。そういう状態が結構長く続きましたね。終盤になってようやく合うようになってきました。今回は帰ってすぐにインカレですが、代表合宿前に監督がちゃんとチームの決め事などをやってくれたので大丈夫です。」

代表としてはじめての公式国際大会となった本大会。1戦目は緊張があったという。そして負けられない大切な2戦目はスターティングメンバーとして臨んだ。
「シリア戦はA代表に入ってはじめての公式戦だったのでやはり「勝たなくては!」という硬さが自分にはあったと思います。でもあの敗戦で吹っ切れましたね。
今日のスタートは練習後のミーティングで言われました。最初はびっくりしましたが、やってやろうという気持ちがありました。元々ずっとスタートでやってきているので、代表に入ってゲーム途中から入るということを経験しています。慣れなくて難しいですね。ゲームの途中から入るのは、そのとき出ている選手が調子がよくないとか、チームの流れが悪いとかいう時なので、ミスも許されないですし緊張します。本当に気持ちが強くないとできないと思いますね。でも今日はスタートだったので、そういう面では気持ちが楽でした。カタールはキリンカップで対戦したイングランドと似ているので、あの試合の経験が上手く活かされたと思います。カタールに勝ったことでアジアの強いチームに勝ったという自信につながりました。」

レベルの高い中でも“自分らしさ”を模索し、さらに日本人プレーヤーとして外国の選手たちと戦うために何が必要かを考える。
「これまでの代表チームのようなレベルが高いところでは個人プレーではダメなので、そうならないようにしながら、でも自分らしさを出すということが難しくて、なかなか上手くできませんでした。この大会に入ってようやく少し自分らしさが出せるようになってるかなと思います。
この大会で改めて日本の“速さ”を感じました。(五十嵐)圭さんとか柏木さんとかを見ているとどこにも負けない速さですよね。それはやはり日本人の武器だと思いますから、自分も速さを無くさないようにしながら、当りに負けない身体をつくっていきたいです。」


 日本は序盤ファールが込んでしまったが、それで気持ちが引くことなくアグレッシブにプレーができていた。第2クオーターから#5西塔・#6桜井・#10竹内公・#15竹内譲に#8柏木が入るというアンダー23状態で臨んだが、ある意味“後がある”意識がファールやミスへの恐怖心をなくしていたように思える。後半に入ってからは相手が個人技中心になったところでの1on1のディフェンスを厳しくし、守りからのリズムが作れていた。終盤カタールにゾーンディフェンスをされた攻めに積極性を欠いてしまっていたが、追い上げられても焦らずプレーができていたことがよかった。ベンチからの“先輩”たちの声援が若い彼らを落ち着いたプレーへと導いていたようにも思えた。
(渡辺美香)

<第1回スタンコビッチカップ 予選リーグ>
11月24日(日) 会場:台北市立体育学院体育館

TEAM
 



 
TEAM
-
-
1st
-
-
フィリピン
-
2nd
-
シリア
(勝敗)
-
3rd
-
(勝敗)
-
4th
-




<第1回スタンコビッチカップ 予選リーグ>
11月24日(日) 会場:台北市立体育学院体育館

TEAM
 



 
TEAM
-
-
1st
-
-
インド
-
2nd
-
韓国
(勝敗)
-
3rd
-
(勝敗)
-
4th
-



<取材・文 渡辺美香>

S-moveメインへ