<JBL第13節レビュー>

2月22日現在、19勝5敗と1位でプレイオフ進出を決めているアイシン精機以外の全7チームにプレイオフ進出の可能性が残っていたJBL。2月27〜29日に行われた第13節は、プレイオフ進出をかけた大事な戦いとなった。
2位三菱電機(14勝10敗)は、5位トヨタ自動車(11勝13敗)との1戦目を延長の末制して進出決定。3位東芝(13勝10敗)も、1位アイシン精機に2連勝して進出が決定した。
最下位の新潟(8勝16敗)は全勝が必須条件だったが、松下電器との1戦目を落とし5位以下が確定。7位日立(10勝14敗)も、6位オーエスジー(10勝14敗)に2連敗を喫して可能性が消えた。

プレイオフへの最後の切符は、松下電器、トヨタ自動車、オーエスジーの3チームで争われることになった。

*順位、かっこ内の勝敗は2月22日(第12節終了)時のもの



<スーパーリーグ第13節 アイシン精機vs東芝>
2月27日(金) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
66
20
1st
21
73
 
アイシン精機
14
2nd
18
東芝
(19勝6敗)
22
3rd
21
(14勝11敗)
10
4th
13

第1クォーター序盤、東芝はアイシンにインサイドを攻められるが、#34伊藤の積極的なオフェンス、リバウンドで踏ん張る。守ってもチーム全体でプレッシャーをかけ、アイシンの得点源#6後藤らに楽なシュートを打たせない。東芝は#8節政、#51北らがスリーポイントシュートにカットインと緩急をつけて接戦ながらゲームを終始コントロールし、14勝目をあげてプレイオフ進出に王手をかけた。


本当のセンター

「ファールしてでも止めろ。」「おまえは本当にセンターか。」
東芝#34伊藤俊亮は、日本代表招集時、少しでも弱気なプレーを見せるとすかさずジェリコ・パブリセビッチ監督に怒鳴られたそうだ。

もともと202cm、97kgと日本人としては恵まれた体格ながら、それを生かしきれずにいた。シュート時の接触に体勢を崩し、バスケットカウントを奪いきれない。せっかくリバウンドを取っても、シュートを狙わずガードに返してしまう。同じく2mセンターの東芝#33宋の「貸せ!」とボールを呼び、囲まれてもゴールに向かう姿と比べると存在感に欠けた。1月のオールジャパンでも、1、2点を争う大事な場面では宋がコートに立っていた。

しかし、今日の伊藤は序盤から速攻に走り、面を取ってシュートをねじ込んだ。リバウンド争いでも、外国人選手と体をぶつけながらもボールに手を出し、ルーズボールに持ち込む。それに引っ張られるように、東芝の選手の足が動いた。点差のほとんどつかない息詰まる試合となったが、伊藤はほぼ全ての時間コートに立っていた。

この日の勝利で、東芝がプレーオフ進出に大きく近づいたのと同時に、伊藤は「本当のセンター」へと一歩近づいた。



<スーパーリーグ第13節 トヨタ自動車vs三菱電機>
2月28日 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
94
24
1st
23
102
 
トヨタ自動車
23
2nd
24
三菱電機
(11勝14敗)
22
3rd
26
(15勝10敗)
18
4th
14
 
7
OT
15
 

前半、三菱電機はトヨタ自動車#9折茂に連続シュートを決められるが、外・中とバランスよく得点し譲らない。第3クォーター、トヨタ自動車の213cmセンター#15リンドマンがファールトラブルでベンチに下がると、インサイド戦でリードを奪う。しかし第4クォーター、トヨタ自動車#12渡辺らのシュートで激しく追い上げられる。ルーキーの#12柏倉の得点でつなぎ、何とか延長に持ち込む。延長では#20岡村を中心にトヨタ自動車#9折茂を抑え、リズムよく攻め勝った。

三菱電機はこの勝利で、2チーム目となるプレイオフ進出を決めた。


立ち上がらない男

第4クォーターに入っても勝負の行方が定まらず、固唾を飲んで見守る三菱ベンチ。その中で一人だけ、いてもたってもいられなくなったように#1沖田眞が立ち上がった。口を開きかけるが、結局何も言わずに再びベンチに座り直した。

沖田は“日本最速ガード”とも呼ばれる名ポイントガードで、今まで勝負の行方を占う場面では必ずコートの中にいた。しかし今、コートの中でチームをコントロールしているのは今年入団した#12柏倉だ。普段は出場時間を5分ほどで分けているが、1、2点を争う接戦の場合、少しのきっかけで一気に流れが変わることもあるのでメンバーは余程のことがない限り変えないのがセオリーだ。

ゲームの行方はいつもポイントガードの手の中にある。しかし、今は外で見守るしかない。柏倉の動きは良かった。難しいシュートを決め、ディフェンスに走り回っていた。

三菱ベンチが安心して立ち上がり声援を送れるようになった頃、沖田は一人、ベンチに腰を落ち着けていた。



<スーパーリーグ第13節 日立vsオーエスジー>
2月28日(土) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
91
20
1st
32
100
 
日立
29
2nd
16
オーエスジー
(10勝15敗)
20
3rd
21
(11勝14敗)
22
4th
31

第1クォーター序盤、日立はシュートが落ち、リバウンドからオーエスジー得意のトランジッションの速いバスケットに持ち込まれてしまう。しかし第2クォーター、#24佐久本のシュート、#7五十嵐のカットインであっと言う間に差を詰める。後半、#1ベンワーのファールがかさむも耐え、第4クォーターに再投入して流れを掴みかけるが、#1ベンワーがプレーとは関係のないところでテクニカルファールを取られ退場。その後はオーエスジー#25栗野にリバウンドを支配され、#2ローズのシュートで離される。#34エヴァンスの連続スリーポイントシュートで追いすがるが、確実なフリースローでとどめをさされた。


助っ人の明暗

日立#1ベンワーがゴールしたボールを持ったままDFに戻ろうとしていた。4ファールとなってベンチに下がっていたが、他の選手が耐え、第4クォーターに満を持して再びコートへ。「オーエスジー得意の速いバスケットはさせない」という気持ちだったのだろう。しかしルールでは、ゴールしたボールを故意に触ってはいけないことになっている。

オーエスジーベンチの猛アピールに、審判がテクニカルファールを宣告。5つ目のファールで退場となった。日立ベンチは猛抗議をするが、裁定は覆らない。
「タイムアウト!タ、イ、ム、ア、ウ、ト!」
日立の倉石ヘッドコーチが声を張り上げ、何とか流れを引きとめようとする。

それを阻んだのは、オーエスジー#2ローズだ。本来はインサイドポジションながら、まだ動揺している日立ディフェンスの綻びを突いてスリーポイントシュートを続けて決めて、一気に点差を広げた。その差を守りきり、オーエスジーはプレイオフ争いに向け大きな白星を上げた。



<スーパーリーグ第13節 松下電器vs新潟>
2月28日(土) 会場:松下電器体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
104
26
1st
25
89
 
松下電器
24
2nd
22
新潟
(12勝13敗)
19
3rd
22
(8勝17敗)
35
4th
20

新潟は第4クォーターに力尽き、5位以下が確定。プレイオフ進出はならなかった。



<スーパーリーグ第13節 アイシン精機vs東芝>
2月29日(日) 会場:増田町総合体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
72
17
1st
19
79
 
アイシン精機
23
2nd
22
東芝
(19勝7敗)
15
3rd
21
(15勝11敗)
17
4th
17

東芝が28日と同じくロースコアのゲームに持ち込み、首位のアイシン精機に2連勝して3枚目のプレイオフへの切符を手にした。



<スーパーリーグ第13節 トヨタ自動車vs三菱電機>
2月29日(日) 会場:岐阜アリーナ

TEAM
 



 
TEAM
 
87
23
1st
18
81
 
トヨタ自動車
24
2nd
22
三菱電機
(12勝14敗)
16
3rd
26
(15勝11敗)
24
4th
15

トヨタ自動車は第3クォーターに逆転されるも、最終クォーターに再逆転して貴重な12勝目をあげた。



<スーパーリーグ第13節 日立vsオーエスジー>
2月29日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
102
39
1st
29
110
 
日立
19
2nd
28
オーエスジー
(10勝16敗)
13
3rd
23
(12勝14敗)
31
4th
30

日立は中盤かみ合わず、このカード2連敗で5位以下が確定した。



<スーパーリーグ第13節 松下電器vs新潟>
2月29日(日) 会場:松下電器体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
104
25
1st
23
89
 
松下電器
19
2nd
18
新潟
(13勝13敗)
24
3rd
24
(8勝18敗)
20
4th
11

松下電器は前日に続き第4クォーターで突き放し、13勝目をあげて単独4位となった。

<取材・文 北村美夏>
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