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東芝5年ぶり2回目の優勝 2005.3.24

3月24日、JBLはスーパーリーグプレーオフファイナルを代々木第2体育館で行った。 
最終第5戦のこの日は、最後までどちらに転ぶ変わらない展開。アイシンがリードして進んだが、最後に東芝が逆転した。
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JBLスーパーリーグ2004-05アウォード
MVP トム・クラインシュミット(東芝#6)
ルーキーオブザイヤー 柏木真介(日立#3)  
コーチオブザイヤー 鎌田光顕(東芝)
ベスト5 PG:節政貴弘(東芝#8)
  SG:北卓也(東芝#51) 5年ぶり
4回目
  SF:後藤正規(アイシン#6) 5年連続
6回目
  PF:トム・クラインシュミット(東芝#6)
  C:ジェイアール・ヘンダーソン(アイシン#32) 3年連続
3回目
レフリーオブザイヤー 該当者なし  

東芝#5ルイスと
#6クラインシュミット

(東芝3勝2敗)
<スーパーリーグプレーオフファイナル>
3月24日(木) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
73
18
1st
17
75
アイシン
20
2nd
17
東芝
19
3rd
20
16
4th
21


3ポイントシュート6/9の
東芝#6クラインシュミット
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今シーズン最後にして最高の試合を制した東芝が5年ぶりの優勝

スターティングメンバー

アイシン:#2佐古、#6後藤、#7外山、#22ケーペル、#32ヘンダーソン
東芝:#5ルイス、#6クラインシュミット、#8節政、#34伊藤、#51北

互いの「らしさ」をぶつけ合った前半
立ち上がり4-4とどちらがリズムをつかむかわからない展開。アイシンは#32ヘンダーソンにダブルチームに行くのを利用して#7外山が積極的に打っていくがリングに嫌われる。そのうちに東芝は#6クラインシュミットがトップから続けて3ポイントシュートを決め、残り5分12-4でアイシンのタイムアウトとなる。すると#32ヘンダーソンがつなぎ、今度は#22ケーペルが3ポイントシュートを決めて14-13まで追い上げ残り3分東芝のタイムアウトとなる。その後#5ルイスがゴール下のシュートを落とし、残り10秒でアイシン#0小宮に3ポイントシュートを決められるが、その#5ルイスがブザービーターで入れ返し流れを傾かせない。
2Qは東芝がアイシンのインサイドを抑えればアイシンは東芝のミドル・ロングシュートをケアする。その中でもアイシン#32ヘンダーソンがバスケットカウントを決め25-19とするが、東芝も#6クラインシュミットの3ポイントシュート2本で追いつく。さらにアイシン#32ヘンダーソンがダンクを決めれば東芝#51北が
3ポイントシュート・速攻と譲らない。しかし残り1分を切ってからアイシンが試合巧者ぶりを発揮し、#7外山・#2佐古が決めるが、残り3秒のシュート後に#2佐古が左足をいためるアクシデントで前半が終わる。

同点につぐ同点 最後は東芝の“優勝したい”という気持ちが勝る
3Q、アイシンは#2佐古に代わった#5佐藤のアシストから#32ヘンダーソンが決めるが、東芝も#51北・#5ルイスが決めくらいつく。さらにアイシンがフリーストーを落とす間に残り1分30秒2点差まで詰め寄るが、その直後に#5ルイスが4つ目のファールとなり、逆転は出来ずに最後の10分を迎える。
4Q、東芝は#5ルイス交代後からゾーンを続ける。リバウンドから#6クラインシュミットの速攻のバスケットカウント、そしてタイムアウトあけの#8節政のカットインで59-59と同点とするが、その直後に今度は#34伊藤が4つ目のファールとなってしまう。それでも#51北が3ポイントシュートを決めて逆転するが、アイシン#32ヘンダーソンのバスケットカウント・#5佐藤の3ポイントシュートですぐさま5点差に。さらに東芝はミスが出るが、#6クラインシュミットが冷静に1on1を決めつなぐ。そしてインサイドを体を張って守ると、#8節政・#6クラインシュミットの3ポイントシュートで残り30秒70-70と再び同点としアイシンのタイムアウトとなる。
この展開でも落ち着いていたのは東芝#6クラインシュミット。1on1で無理に突っ込まずジャンプシュートを決めると、#8節政とのピック&ロールでチームファールのフリースローをもらい2投きっちり決め4点差をつける。だがアイシンも#6後藤がロングシュートを決め、#7外山がフリースローを得て東芝のタイムアウトとなる。
#7外山は2投目を落とし1点ビハインドで残り1分を切る。東芝は再び#6クラインシュミットと#8節政とのピック&ロールから#51北に託すが落ち、リバウンドをアイシン#32ヘンダーソンがつかむ。残り38秒で24秒クロックをぎりぎりまで使うが#32ヘンダーソンは中に入れず#6後藤にパスアウト。だがシュートの前にブザーがなり、痛恨の24秒オーバーとなる。残り13.8秒、アイシンはスローインの前にファールにいくと、東芝#8節政がこれを2投とも落とし可能性を残す。#32ヘンダーソンがドリブルで運んでいくがシュートを打てず、囲まれてのパスアウトを何とかつかんだ#22ケーペルのシュートもエアー。そのリバウンドを東芝#6クラインシュミットが取って残り2秒でフリースローを得ると、1投目を確実に決め、2投目はわざと外してアイシンにシュートのチャンスを与えず75-73で接戦を制した。
(北村美夏)
アイシン・鈴木ヘッドコーチ
「今日は本当にどっちに転ぶかわからない試合でした。勝負には運も必要で、選手は最後まで頑張ってくれましたが最後の最後で2点差で負けて悔しいです。でも東芝がハングリーにきていたので素直に賛辞を送りたいです 。
(#2佐古の怪我について)信長(#5佐藤)くんはガードとして長い間アイシンでやってきていますし、背は小さいけれど自分の能力を最大限に使って頑張ってくれました。細かい指示は出しましたが、ほとんどは信頼してゲームメイクさせました。よく最後まであきらめないで、観客を楽しませるようなゲームをしてくれたと思います。期待通りの働きをしてくれたと思っています。
(4Qのインサイドについて)インサイドを狙いながらというのがうちのバスケットなのですが、どうしてもハンドチェッキングを嫌がってどんどん外に出て行ってしまいました。残り2分、大きい選手が2人もついていたのにタフショットしたのは1番悪いパターンだなと思います。
(#32ヘンダーソンにパスが集中したのは)点数が取れず、東芝も最後ということですごいプレッシャーだったので外から打たせてもらえなくて、普段なら#2佐古ももっと打ちますが#5佐藤はやはりこれまで長い時間出ていなくてゲーム勘のこともあるので、#6後藤・#7外山に頼らざるを得ない状況になってバランスが崩れました。佐藤が悪いのではなく、今まで佐古で作ってきていたからそのリズム、歯車が若干狂って、“JRお願ーい”のバスケットになってしまいました。」

アイシン・#43高辻選手
「自分達1人1人が頑張った結果として最後負けてしまいました。でも自分達全員がチームメートを信じてやった結果なのでしょうがないかなと思います。この悔しさを維持して来年にぶつけたいです。」

アイシン・#6後藤選手
「まずは優勝された東芝さんに素直におめでとうという気持ちです。それから最後までいい試合をお客さんに見せる事ができたのでそういう意味で満足もしています。負けたことは悔しいですが精一杯やったので、心残りと言えば#2佐古が怪我をしたのが残念でしたが彼は強い選手ですし早い回復を願ってしめくくりたいです。」

アイシン・#7外山選手
「出だし2連敗から始まりましたがどうにか2連勝して、今日もいい調子でうちらしいバスケットをして前半終わりましたが、残念なことに#2佐古の怪我がありました。でもその代わり#5佐藤がその分すごくいい動きをしてくれていい試合ができました。結果的に負けてしまって悔しいけれど、本当にいい試合ができたと思います。」

アイシン・#5佐藤選手
「最初負けが続きましたが、自分達のバスケットができるようになってここまで来られました。今日#2佐古の怪我と
いうトラブルがありましたが、僕としてはずっと、出場時間が少なかったけれど同じガードとしてこの5戦戦ってきました。今日勝利に導けなかったのはガードとしてまだちょっと力不足かなと感じました。これを機にバスケットの怖さも楽しさも知ったので、それをチームに役立てられるように頑張っていきたいです。」

アイシン・#2佐古選手(代読)
「めちゃくちゃ悔しいです。応援してくれた方々に胸を張れる試合でした。来年もう1度この場所に帰ってきてファイナルを戦いたいです。」
東芝・鎌田ヘッドコーチ
「まず今日は、うちの選手全員で練習から頑張ってきた結果が出ました。レギュラーシーズンでは苦しい時もあったなかで、1歩ずつ成長してファイナルに来られました。1・2戦目はいい形で連勝できましたが、3・4戦目は逆にアイシンのチャンピオンチームとしての意地でアイシンらしいゲームになってしまいました。昨日負けた後、もう1回東芝らしいバスケットをしようと確認して臨みました。今日はアイシンらしいチームプレーと東芝らしいチームプレーの戦いでしたが、うちの勝利に対する執念とディフェンスの意地がすこし上回ったのかなと思います。」
東芝・#11折腹選手
「本当に長いファイナルで苦しかったけれど、優勝できてすごく嬉しいです。選手皆が1人1人しっかりやった結果です来年も1つ1つ上にあがれるよう頑張ります。
(前回優勝から5年の間に1番大事にしたこと、また今年はどこが良くて優勝できたか)5年間色々ありましたが、1番重要視したのはディフェンス、次にリバウンドです。あとチームワークと、ヘッドコーチと選手のコミュニケーションがより良くなったのでこういう結果になりました。」

東芝・#8節政選手

「この東芝のチームにかかわった全ての人に感謝したいです。今日は追いかける展開で苦しかったけれど、ベンチの皆や#5ルイスやトム(#6クラインシュミット)さんが檄を飛ばしてくれて力になりました。ベンチプレイヤーも一緒になって得た勝利です。ありがとうございます。
(後半アイシン#2佐古から#5佐藤に代わったが)3Qに入る前に、やっぱりトムさんから今まで以上にアグレッシブに行けと言われました。ですが佐藤さんも経験がありますし、去年負けた時すごいシュートを2本決められたのがあったので、オフェンスでもディフェンスでも油断せずにプレーしようと
思いました。その中でもトムさんが「行け」と声を掛けれくれたこともあり、最後にトムさんとのピック&ロールでうまくシュートにつなげられて良かったです。
(前回優勝から5年の間に1番大事にしたこと、また今年はどこが良くて優勝できたか)やっぱり5人でやるスポーツなので、うちが他とは違うのは#5ルイスと#6トムさんが日本人選手のことをしっかり認めてくれて、しっかりとしたバスケットをやってくれるところです。5年勝てなかったけれど、うちの外国人選手はいつもそう接してくれて、勝手にシュートしたりしなかったのがうちの強みだったと思います。
(#6クラインシュミットの存在は)まずは頼りになるっていうのが1番です。得点、リバウンド、アシストなど色々なプレーができるので、自分としてもそんなにかき回すことなくできます。#51北・#11折原がいて、中には#34伊藤・#5ルイスがいるというのですごくバランスが取れていると思います。1人1人自分の仕事をやる中で1番チームを引っ張る存在です。」

東芝・#51北選手
「アイシンという素晴らしいチームとで5戦までもつれ本当に苦しかったけれど、今日勝って優勝できて本当に嬉しいです。このチームメート、スタッフで優勝できた事が最高です。
(前回優勝から5年の間に1番大事にしたこと、また今年はどこが良くて優勝できたか)優勝した翌年主力が変わるなど5年の間にやめていく選手がいる一方で、うちは移籍はないので入る選手はルーキーなので今は優勝したことのないメンバーが半分くらいになります。そういうプレイヤーが5年間でプレイオフや去年はファイナルで経験できたことがあって今日また優勝できたのかなと思います。」

東芝・#34伊藤選手
「優勝できてすごく嬉しいです。人生で初めてなのでいい経験をさせてもらいました。日頃からスタッフ、職場の人や家族に支えてもらってここまで来ることができました。今日は本当にベテランというか、ここ(記者会見場)にいる選手が頑張って、ベンチもすごく声を掛け合っていいムードで試合ができました。
(#6クラインシュミットの存在は)やっぱりすごく頼りになります。しんどい時にむずかしいシュートを決めるのもあるし、周りの選手をうまく生かしてくれます。自分が最初東芝に入ったときも、周りから“トムはわがままで大変なんじゃない?”みたいなことを言われたんですけど、そんなことないのになとずっと思っていました。最高の選手なのにずっと優勝できなかったけれど、ここで優勝できて嬉しく思います。」

東芝・#5ルイス選手
「去年は悔しい思いをしました。この同じ場所で記者会見をしている時は泣きそうで、泣かないようにしていました。その後もずっと悔しくて、ずっとそのことが忘れられなかったです。2000年に初めて優勝したときは、次もすぐ優勝できるだろうと思っていましたが、そんなに簡単に優勝できないと思い知らされました。トムという親友と一緒に優勝できて嬉しいです。日本人選手も今までやった中で1番長く一緒にやっていて、スタートからベンチまでみんなのことを愛しています。お互い信頼しているし、いつも一生懸命頑張ったから優勝できたと思います。」

東芝・#6クラインシュミット選手
「素晴らしい気分です。良く説明できないくらいと言いますが、本当に言葉にできないくらい最高です。違うチームにいた昔から東芝は素晴らしいチームだと思っていました。才能だけではなく、皆のファイトがすごいと。それから自分にとって運命の出会いだったのは、22歳のときCBA(アメリカの独立リーグ)でフレッド(#5ルイス)とプレーしたことです。自分はその時まだ頑固で未熟したが、彼には本当にお世話になりました。東芝で言えば#51北やオリ(#11折腹)が#34伊藤や#7板倉にするようによくしてくれました。そして、北・折腹・節政をはじめこんなに素晴らしい選手たちとプレーできて嬉しいです。チームメートのことを愛しています。
(残り2分で2度のアイシンの攻撃を守れたのは)鎌田さん(ヘッドコーチ)がゾーンディフェンスをやることにしたのですが、素晴らしい判断でした。それが効いて(アイシン#32ヘンダーソン)に動くスペースをなくして無理なシュートを打つしかないようにできました。彼はそれでも時々決めますが、その残り2分からの時はうまく調整して無理なシュートで外させて、そのリバウンドを取る事ができました。試合開始時にゾーンをやった時は取れなかったのですが、残り2分の大事な場面で取れたことが大きかったです。
(5戦を通してプレータイムが長かったが疲れは)まぁ疲れているけれど、この2日間はおいしいお酒を飲むつもりで、家に帰るつもりはないので大丈夫です!」

<取材 北村美夏、渡辺美香/文 北村美夏>
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