<平成17年度関東実業団バスケットボールリーグ戦>

関実リーグ戦1部・第5戦!

4月9日から始まった関東実業団バスケットボールリーグ戦。6月4日からは1部リーグがスタートした。1次リーグでは8チームの総当りで行なわれ、続く2次リーグは1次リーグの上位4チームと下位4チームに分かれそれぞれ総当りで対戦する。最終日は7月18日(祝・月)代々木第二体育館で行なわれる。

6月25日(土)は代々木第二体育館で第5戦、1位−4位・2位−3位・5位−8位・6位−7位の対戦が行なわれた。横河電機本社vs曙ブレーキ工業は最後まで曙ブレーキ工業が横河電機本社を苦しめたが、後一歩でアップセットならず。横河電機本社は全勝を守った。ここまでまだ勝ち星のなかった三井住友銀行は三井住友海上と対戦。三井住友海上のシュートが不調の中、三井住友銀行は着実に加点し、今リーグ戦初勝利となる。その他の試合も全て上位チームが勝利した。


日程・結果は関東実業団バスケットボール連盟(代々木第二体育館・駒澤体育館での有料ゲームの入場割引券あり)


写真:今リーグ戦初勝利の三井住友銀行#8上田

関東実業団1部リーグ・各チームの勝敗(6月25日終了時・順位は昨年のもの)
       
1−横河電機本社
5勝0敗
2−日本無線
4勝1敗
3−東京日産
2勝3敗
4−曙ブレーキ工業
2勝3敗
5−大倉三幸
4勝1敗
6−三井住友銀行
1勝4敗
7−三井住友海上
1勝4敗
8−東京電力
1勝4敗

<ピックアップ・ゲーム・1>
TEAM
 



 
TEAM
71
20
1st
24
67
横河電機本社
18
2nd
7
曙ブレーキ工業
(1位)
20
3rd
17
(4位)
13
4th
19


曙ブレーキ工業が終盤粘りの追い上げを見せるもなんとか逃げ切り 横河電機本社が無敗を守る

スターティングメンバー
横河電機本社:#4佐藤、#10阿部、#11飯島、#15小納、#20田ヶ谷
曙ブレーキ工業:#7石井、#8浅田、#10市元、#12石田、#14平山

 試合開始はどちらもペースがつかめず、なかなか得点が入らない。横河電機本社#20田ヶ谷のフリースローが2本とも外れるもそのリバウンドを横河電機本社#11飯島が取り最初の得点となる。曙ブレーキ工業に#8浅田を中心に速いパス回しからの合わせのプレーを展開され、開始から3分で4−10とリードされる。横河電機本社も#15小納からのトランジションがつながり始め追い上げる。さらに横河電機本社#15小納のパス回しに#10阿部がフリーになっての3ポイントシュートを2本決め逆転する。しかし曙ブレーキ工業のトランジションと3ポイントシュートを止められず、20−24と曙ブレーキ工業に4点リードされ第1ピリオドを終える。

横河電機本社#11飯島と
曙ブレーキ工業#10市元

第2ピリオドは出だしこそ曙ブレーキ工業のペースとなるが、すぐに横河電機本社がトランジションからペースをつかみ追い上げる。横河電機本社の厳しいディフェンスとトランジションに曙ブレーキ工業のオフェンスのリズムが崩れると、横河電機本社は一気に逆転し、38−31と7点リードで前半を終える。

 後半に入っても横河電機本社のペースは変わらず、曙ブレーキ工業を#8浅田の得点のみに抑え、リードをひろげていく。第3ピリオドは58−48と横河電機本社が10点リードとなる。しかし第4ピリオドに入ると曙ブレーキ工業#10市元にゴール下で粘られ、ペースをつくられる。残り3分53秒には曙ブレーキ工業#8浅田に3ポイントシュートを決められ、63−62と1点差とされタイムアウトを取る。そのすぐ後の残り3分32秒に曙ブレーキ工業#10市元を5個目の個人ファールでベンチに下げさせる。しかし曙ブレーキ工業#8浅田と#7石井を止められず、65−67と逆転される。横河電機本社は積極的に攻め込むと、#20田ヶ谷がファールを受けたフリースローを2本とも決め同点に戻すと、残り1分横河電機本社#20田ヶ谷のパスから#11飯島がゴール下シュートを決め逆転する。焦る曙ブレーキ工業から24秒オーバータイムを取り、その後の曙ブレーキ工業の得点を押さえ、71−67と横河電機本社が逃げ切り、全勝を守った。


<ピックアップ・ゲーム・2>
TEAM
 



 
TEAM
71
22
1st
10
52
日本無線
7
2nd
13
東京日産
(2位)
19
3rd
20
(3位)
23
4th
9


粘る東京日産を第4ピリオドで一気に引き離し 日本無線が勝利

スターティングメンバー
日本無線:#10箱崎、#13小山、#15尾崎、#16樋渡、#18鈴木
東京日産:#8朝永、#9矢治、#10上原、#12樋渡、#14吉武

 序盤日本無線は#15尾崎・#16樋渡で得点を重ねる。東京日産に#10上原の1on1などで得点され、途中ファールが続いた日本無線だったが、東京日産のフリースローが決まらず点差は徐々にひらいていく。オフェンスのペースができた日本無線は速攻やパスアウトからの3ポイントシュートと決めていき、22−10とリードして第2ピリオドに入る。日本無線のインサイドがが#6島田に代わると、東京日産#14吉武や#4早川にゴール下を攻められ追い上げられる。日本無線も#16樋渡や#18鈴木の1on1やドライブインで得点するも、チームオフェンスが組めず得点が伸びない。東京日産に点差を詰められ、29−23と6点リードで前半を終える

日本無線#16樋渡(弟・左)と
東京日産#12樋渡(兄・右)

 第3ピリオドも東京日産のインサイドに得点を重ねられるも、日本無線もよく攻め、48−43と5点リードで第3ピリオドを終える。第4ピリオド日本無線はセンターに#10箱崎を戻すと、東京日産のインサイドを止めペースを握り、開始3分で一気に55−45と引き離す。東京日産の#10上原がコートに戻るも流れは変わらず、日本無線が速攻や1on1で得点する。このピリオドだけで23−9とリードした日本無線は、71−52と点差をつけて東京日産に勝利した。

大倉三幸(5位) 88 − 59 東京電力(8位)

試合序盤から勢いに乗った大倉三幸が 東京電力に圧勝
大倉三幸は先週の横河電機本社との試合で右足の骨折をしたPG#16山本を欠くも、東京電力のPG#8涌井も仕事の都合で出場できず。個人能力とチーム力の差で大倉三幸が圧勝する。


写真:今リーグ戦初出場した大倉三幸プレイングコーチ#17茂木

三井住友銀行(6位) 61 − 40 三井住友海上(7位)

ロースコアの戦いは確実に得点をあげた三井住友銀行が硬いディフェンスで三井住友海上を封じ リーグ戦初勝利
 ここまで勝ち星のなかった三井住友銀行が、ディフェンスの強化と集中力で三井住友海上にペースを作らせなかった。三井住友銀行の厳しいディフェンスにリズムに乗れなかった三井住友海上は放つシュートがことごとくはずれ、ロースコアに終わる。

<<ザ・ゲーム>>〜相性編〜

横河電機本社vs曙ブレーキ工業

 ここまで4戦全勝の横河電機本社と2勝2敗と勝ち星が伸びない曙ブレーキ工業の戦いは、思わぬ、しかし“予想通り”の接戦となった。

試合中サークルを組む横河電機本社

 「今日はどうしても勝ちたかったんですが、残念です。」試合後曙ブレーキ工業白迫監督は悔しそうに言った。ここまで全勝と負けなしの横河電機本社に「勝つつもりで当たった。」だけでなく、「上位チームの中でうちが一番勝てるチームと考えていた。」とも言う。

 チーム同士の相性だと、他のチームのコーチ陣も言う。実際横河電機本社の奥山監督も「曙ブレーキ工業戦が一番気になりますね。」とリーグ序盤に言っていた。

 このゲームだけを見ていると、なぜ曙ブレーキ工業が2勝3敗と勝ち星に恵まれていないのか、不思議に思うことだろう。これまで試合の半分くらいをベンチで過ごす#15小納がこの試合ベンチに下がったのはほんの2〜3分程度。このことが点差やゲーム展開以上にこの試合を物語っているように思う。

 『チーム同士の相性』はメンバーの入れ替えがそう多くない実業団チームには重要なファクターとなってくる。

<<ザ・チーム>>〜紹介編・4〜

『厳しさを乗り越える』三井住友海上 

昨年の成績:リーグ戦7位・東京都選手権6位・関東選手権ベスト8

創部50年以上の歴史のあるチームだが、社名変更や合併でチーム名は変遷している。「よきプレーヤーである前に、よき社員であれ!」という言葉がチームにはあり、なによりもまず仕事ができることが第一とされる。その上メンバーは関東近県(現在#20辻内のみ研修のため現在大阪勤務)に散らばっているため練習は週末のみだが、3時間弱の練習のほとんどを全員で走り込む。

 今シーズンからチームに復帰した中山コーチはまず徹底して「走る」ことから始めた。「第4 ピリオド入るときに20点離されていても追い上げられるチームにしたい」という気持ちはメン バーにも伝わり、徐々に粘りのあるチームへと変貌している。

 また昨年関東リーグ戦・インカレと大学界の大会を制覇した慶應義塾大から辻内(#20)が加入したことが、選手一人ひとりの、ひいてはチーム全体の意識にも影響してきている。

 スタートメンバーは実直なプレーの#7柏木、ゲームをコントロールする#10村井、成長著しいインサイド#11田邊、落ち着いたプレーで3ポイントシュートを決める#12玉井、パス・ドライブ・シュートと多彩なオフェンス能力を持つ#20辻内の5人だが、相手チームやその日の状況によって、#12玉井の代わりに切れのあるドライブが魅力の#13東浦、#10村井の代わりに強気のオフェンスを展開する#14陸歎が入ることもある。

 ベンチメンバーは流れを変えチームをまとめるキャプテン#4無着、チームを鼓舞するベテラン#5金崎、状況に応じたプレーができる#15平山など。

  普段顔を合わせることがない分、コミュニケーションには気を配る。今年キャプテンとなって5年目の#4無着は社内メールを使って、時にはメンバー全員に、時には個人個人に、呼びかけや確認などをこまめに行なう。「もっと若い人たちからも積極的にコミュニケーションをとってきてもらいたい。」厳しい練習を、そして試合を乗り越えるために個々がチームとしての意識をしっかりと持つことが重要となる。

 今シーズンの最終目標である「全日本実業団選手権決勝リーグ進出」に向け、チームが1つになっていく。

チームキャプテンが語る『実業団バスケの魅力』

“自己表現”三井住友海上#4無着 剛

「自己表現ができる場ですね。自分のやりたいことができます。仕事との両立というのもおおきいですね。仕事ができるって人はいっぱいいると思いますが、その上バスケットもできるって人はそう多くはないでしょう。あとはこの年でシュートが決まったとか勝ったとかでこんなにも喜んだりできることはなかなかないでしょうから、そういうところも魅力ですよね。」

<<ザ・プレーヤー>>〜中堅編・2〜

『黙々と』−箱崎雅俊・日本無線#10・大東文化大出身・C・7年目

 日本無線というチームは飛びぬけてすごいオフェンス力を感じさせない。圧倒的なディフェンスという感じもそれほどない。なのにいつも相手のペースを乱し、自分たちのペースでゲームを進めていく。そんなチームのゴール下を守り、攻めるこの人はいつも黙々と仕事をしていた。

 試合前に見ていると、それほど饒舌に話をしている様子はない。ゲーム中もそれほど声を出してプレーするタイプでもない。しかしベンチにいるときは、いつも誰よりも声を出している。

  当りの強いインサイドで、一歩もひかずプレーする姿とは裏腹に、「接触プレーは苦手なんですよ。」と苦笑いを浮かべていった。

 高校から本格的にバスケットを始めたという彼は、今実業団を代表するプレーヤーとなっている。黙々とプレーするその中にどんな思いがあるのかを知りたくなった。


箱崎雅俊選手のインタビュー:coming soon 

<取材・文 渡辺美香>

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