<キリンカップ2004>
8月1日、東京・代々木第2体育館で、キリンカップ2004第3戦目が行われ、男女とも勝利し、3連勝で終えた。

女子代表は14日からのアテネ五輪に、男子代表は7・8・10・11の国際交流試合にそれぞれ臨む。

MVP:日本#7五十嵐圭
MIP:イングランド#11マイケル・マーティン

写真:国家斉唱時に張られた日の丸

<キリンカップ2004 第3戦>
8月1日(日) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
68
16
1st
20
78
イングランド

17

2nd
17
日本
20
3rd
25
15
4th
16

スターティングメンバー
日本:#4柏倉、#9仲村、#10竹内公、#11網野、#13古田
イングランド:#8、#10、#11、#14、#15

第1クォーター、日本はティップオフから#11網野が迷わず3ポイントシュートを狙うなど積極的に攻める。ディフェンスでファールかかさみ、リバウンドシュートなどねじこまれてしまうが、#9仲村の3ポイントシュート、#11網野のバスケットカウントとなるリバウンドシュートで残り5分30秒10-10とついていく。その後#10竹内公が裏を取られてダンクを許し12-14となると、すぐさま#15竹内譲と交代になる。するとその#15竹内譲のパスカットから#13古田が2人に抑えられながらも速攻を決め、バスケットカウントで同点。さらに#12渡邉、#9仲村がカットインからフリースローを得て、これをきっちり決めて20-16で終える。

しかし第2クォーター立ち上がりは得点が止まり、イングランド#14の3ポイントシュートで20-21となる。だが#13古田がすぐにリバウンドシュートを決め返し譲らない。そのあと3つ続けてパスカットされるが、ルーズボールから#6桜井が速攻のレイアップを決め、残り5分45秒26-25。イングランドの1on1のシュートが落ちたことに助けられ、チームファールによるフリースローで残り3分30-25とじりじりと差を付ける。だがその後逆にフリースローを与えてしまい、32-31まで詰められるが、#12渡邉の45度からのドライブで追いつかせない。ルーズボールに全員が飛び込んでいってボールをキープし、それを#15竹内譲がまぶたを切られながらもミドルシュートにつなげる。最後にイングランド#11にブザービーターのロングシュートを決められるも37-33とリードをキープして後半へ。

第3クォーター、#14伊藤がスクリーンで、#8柏木が運びのディフェンスでと立て続けにファールを取られるが、#8柏木が3ポイントシュートを決めて流れが移るのを食い止める。だがイングランド#14の1on1からのバスケットカウントなどゴール下でのファールが込み、イングランド#7のフリースローで残り7分40-41と逆転される。この後#11網野がコーナーからフリーで3ポイントシュートを決めるが、イングランド#7にパスカットからダンクされ、残り5分40秒43-43と振り出しに戻る。すると再び#11網野がスクリーンを使って3ポイントシュート、さらには速攻でバスケットカウントを決め、残り5分49-43と突き放す。さらにイングランドの1on1を守って、速い展開から#9仲村が3ポイントシュートを決めると、続けて同じ形で逆サイドのコーナーからも決め、残り3分55-46と一気に差を開く。この後イングランドにバスケットカウントなどを許し、55-51とじわじわと詰め寄られるが、#7五十嵐のジャンプシュート、タップシュートで残り1分25秒59-51。さらに残り1分を切ってから、コーナーでフリーになった#9仲村がこのクォーター3本目の3ポイントシュートを決め、62-51とリードを広げて最終クォーターへ。

第4クォーター、#7五十嵐がスピードに乗って速攻を決め、残り7分65-53としてイングランドにタイムアウトを取らせる。あけた後は#14伊藤がゴール下で体を張り、残り5分でも69-59と10点差をキープ。#11網野のドライブ、#9仲村の3ポイントシュートでさらに差を広げる。途中イングランド#11にダンクされるが、その直後の速攻で#15竹内譲がダンクし返す。イングランドは1on1が中心となるがそのシュートが落ち、#14伊藤のリバウンドからのバスケットカウントも決まり、残り3分76-61となる。その後残り1分を切って76-68まで詰められるが、最後は#15竹内譲がミドルシュートを決め、78-68でキリンカップで初めて3連勝した。


何度もカットインを見せた渡邉

3Qに3本の3Pを沈めた仲村

当たり負けしていなかった伊藤
<インタビュー>

柏倉選手(写真下左)
出場時間は平均5分程度と長くはなかったが、この日もルーズボールを追って看板に突っ込むなどチームを勢い付けた。
「あの(1Qの)ルーズボールは取れそうだなと思っただけで…(笑)。出場時間は少なかったけれど、チームの流れを変えられて貢献できたと思います。初めの5分は特に意識してやらなければいけないと思ったし、後はやってくれるひとがチームにいますから。時間よりどれだけ貢献できるかが大事だと再確認しました。今後はもっと積極性を出して生きたいです。」

網野選手(写真下中)
MVPの五十嵐選手と並ぶ働きをした。
「3試合を通して、自分の持っているものをほとんど出せたと思います。1試合目で調子が良くて、試合中、2、3戦目とマークはきつくなっていきましたね。でも自分の中で、“戦う気持ちを持ってやろう”ということをテーマにしていたので、うまく出来たと思います。シュートも、HCには“外してもいいから自分のタイミングで打て”と言われていたので思い切って打ちました。
逆にもう少しだったところはディフェンスです。ファールが込んでしまったので。当たりには慣れてきたので、もっときっちり出来るようにしたいです。
イングランドに関しては、身体能力も高く、一度勢いに乗せたら一気にいかれてしまったかもしれなかったですが、1本のシュート、ディフェンスで相手の流れを切れたと思います。
接戦を制せたのは、欧州遠征でそういう試合を経験したこと、それから日本で大勢のお客さんが入ってくれていたからだと思います。気持ちの面が大きいですね。競って負けるというのが今までの日本のパターンでしたが、今年は我慢して出来るようになりました。チームが成長したからだと思いますね。皆ここでバスケットがしたくてしている人ばかりだから、同じ方向を向いていてチームらしくなりました。去年は新しいことばかりで戸惑いもありましたが、今年は去年のメンバーが中心で出来て、自信になりました。今、いい流れで来ていると思うので、8月の国際試合もいい試合をしたいと思います。」

ジェリコ・パブリセビッチヘッドコーチ
「まず選手にお礼を言いたい。この試合は世界選手権ではなかったが、生きるか死ぬかの気持ちで臨みました。イングランドはリバウンド、フィジカルが手強く、また今日はダーティなプレイもしてきましたが、日本チームは大きいハートと冷静な頭で対処しました。古田が引っ張り、若手が良いプレーを見せた結果、キリンカップで優勝できました。去年のポルトガル戦3戦目から数えれば、4戦続けてヨーロッパのチームから勝てたのは今の段階では大きな成功でしょう。
3戦を通してディフェンスのリズムがとても良かったです。相手を70点前後におさえられたので、今日の仲村のようにオフェンスの調子が良いとプレーが楽になります。そういう意味でチーム全体をほめないといけません。この3試合全てでプレーしたのは、西塔をのぞく11人です。それも控えという感じではなく1人1人の役割を果たしました。MVPはこの3試合中1番良かった五十嵐になりましたが、それもゴール下での戦い、ディフェンスなしでは何も出来ませんでした。
それから若い選手にとても満足しています。初めてのたくさんの観客の中での試合でしたが、ポテンシャルの高さを示しました。こういった選手にはやくチャンスを与えるのは今後の日本のために良かったと思います。
この結果の後ろには、4月半ばからの1日4時間の練習がありました。なのでスタッフにもこの場でお礼を言いたいと思います。」

古田キャプテン
「欧州遠征から続けてきてディフェンスのチームになってきたと思います。粘り強く出来て、いい展開で勝てたのは、若い選手にとっていい経験になったと思うし、チームとしても大きなものを得たというのが正直な気持ちです。このチームは06年まで続きますが、精一杯やりたいし、若手にも頑張っていって欲しいです。頑張ってくれれば、自分達も頑張らなければとなるので、それがあるから今とてもいいチームになっていると思います。バスケットは、5人でやるものではなく、このチームも12人全員で戦うチームなので、互いに負けないようにやっていきたいです。」

仲村選手
「1試合目はあまり自分の出来がよくなかったので、2戦目以降は“シュートを決めよう”と思ってコートに入っていました。今日は連続で決めることも出来、いいプレーが出来たと思います。自分の仕事は3ポイントシュートを打つことで、コーチからもそう言われていたので常に狙っていました。
若手の選手は、“絶対負けない”という気持ちになるし、いい刺激になっています。彼らのプレーには自分も期待しています。 」

中村トレーナー
会見で、ジェリコHCに“スタッフの中でも特に中村TRはいい仕事をしてくれた”と言わしめた。
「そんなこと言っていたの(笑)?(以前嬉しいのは代表が勝った時と言っていたが)でも頑張っているだけで十分ですよ。皆が頑張ったからこういう結果になった。頑張ってくれるだけで、手伝いがいがあります。」

柏倉

網野

食い入るようにコートを見つめる桜井
ワンマン速攻でダンクに行かなかった
のは、“代わったばっかりで足が
もつれてしまった”からだそう
<キリンジュニアクリニック>

試合に先立ち、キリンジュニアクリニックが行われた。

コーチとして、折茂武彦(トヨタ自動車アルバルク)・長谷川誠(新潟アルビレックス)選手が参加。
約240名の応募者から選出された男女各20名の中学生がクリニックを受けた。

アップ、基本姿勢の確認をした後、パス、ドリブル、シュートと行い、最後は折茂選手をまじえた3ポイント競争(女子選手が優勝)、長谷川選手を相手にサークル内でのボールキープゲームを行った。

パスのアドバイスをする折茂

目隠しでボールキープする長谷川

<取材・文 北村美夏>
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