<第45回関東大学バスケットボール新人戦>

第45回関東大学バスケットボール新人戦は17日、代々木第2体育館で準々決勝を行なった(全ての結果は→関東学連公式サイト)。
ベスト4に進んだのは専修、青学、法政、東海。明治、日大、早稲田、筑波は順位決定戦に回る。


青学大#5荒尾
高さを生かす

<第45回関東大学バスケットボール新人戦>
6月17日(金) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
70
15
1st
16
84
 
早稲田大
19
2nd
17
青学大
 
23
3rd
30
 
13
4th
21

スターティングメンバー

早稲田大:#4菅川、#5近森、#6前川、#7木下、#9加藤
青学大:#4広瀬、#5荒尾、#7熊谷、#8竹松、#9梅田

『本当はもう1つ上でやりたかった』早稲田大
 早稲田には2人のリーダーがいる。1人は#4をつけた菅川浩樹キャプテン。時には声が裏返ってしまうくらい、いつも仲間を鼓舞する。

 青学戦を振り返ってもらった。
「準々決勝は重要な試合だとみんな思っていて、最低ベスト4って目標があったので1人1人強い気持ちを持ってやっていこうと試合に臨みました。接戦になることはわかっていたし、前半は早稲田のペースで持っていけたかなと思います」

 1点リードで折り返し、勝負は後半へ。
「3Qの頭にどれだけ走れるか、向こうは高さ勝負ですがうちはスピード勝負でした。でも向こうがちゃんとオフェンスリバウンドに入ってきて速攻が数えるほどしかなかった。基本的に速攻の先頭を走るのは自分なんですよ。なのにあまりできなくて、もう少しできてればな…って思います」

 むしろ青学に走られ、3Q残り6分には立て続けに3つ、うち2つは速い展開からバス

#4菅川
ケットカウントを奪われ一気に41-51と10点ビハインドに。3P、#5近森のリバウンドシュートで追い上げるが、青学#4広瀬がハーフラインの後ろから投げたボールがブザービーターとなり、4Qは6点差を追う展開となった。

#6前川・#7木下がミスマッチの青学#7熊谷に対し良いディフェンスを見せるなど粘るが、肝心のシュート率が良くなかった。

松野監督と。「指導者が代わって悪くなった
って言われないように、2年生が中心になって
信頼して臨もうって話しました」
「離れた時に中の点がほしいところでしたが、相手が大きくて外回りのシュートばかりになってしまいました。それでも入ればいいですけど入らなくてリバウンドも取れず、向こうのペースになってしまいました」

 “悔しい”と腹の底からしぼり出した。「緊張していましたね。勝てば4つって。気負いがありました」
 それはチームを愛するが故の気持ちだった。
「2年生が1人1人自覚してまとまろうとしてくれているので、キャプテンとして助かっています。皆素直だし、盛り上がる時は盛り上がってほんといいチームですね。それぞれの持ち味がすごく出ているでしょう。それがかみ合っている時間帯も結構ありましたし…だから、本当はもう1つ上でやりたかったです」
 そのいいチームが、強いチームになるには何が足りなかったのだろうか。
「ベスト4になかなか入っていなくて、ベスト8もここ最近はない。逆に相手は4、8は当たり前で、そういうチーム全体としての経験の差もあると思います。試合数をこなして、その中でできないことは練習で、補っていきたいですね。
後2試合ももちろん、自分達のスタイルのディフェンスを頑張ってリバウンドから走る“トランジション”バスケをしたいです。1人1人がいい経験になるように、そしてもちろん勝ちますよ!見ていて下さい」。

 もう1人は、#5の近森裕佳。ゴール下で体を張る姿は191cmという身長を感じさせず、プレーでチームを引っ張っていく。
「青学にはサイズで負けているのがわかっていたので、不利なのはリバウンドだからそこを徹底して頑張ろうということと、それからこっちはスピードのミスマッチをついて速攻を出していこうと思っていました」

 しかし実際は、
「外のシュートばかりでリバウンドが取れず、速攻も少なく逆に出された。自分達のやろうとしたバスケットが出来なかったのが敗因ですね」

 さらに毎年、新人戦の前に“負けられない”早慶戦がある。


#5近森
「このチームでの練習は1日しかできなかったんですね。それでああいう離された時ハーフコートのオフェンスで何したらいいかってなってしまった。結局自分の1on1からさばいて外のシュートしかなくなってしまいました。そういうところのパターンがなかったです。
外からは結構フリーで打てていたので、決めるかリバウンドが取れていれば違いましたね」

 そのリバウンドに“もうちょっと絡みたかった”と言うが、リバウンドタップを何度も押し込み流れをつないでいた。最高点に達するまでとボールの巻き込みが速い。
「松野さん(監督)の方針として“最低3人はリバウンドに絡め”って言われるんです。今まで、高校の時とかもリバウンドに行く機会はなかったんですけど、去年より意識が強くなりましたね。
理想は自分が押し出して他の4人が取る形。でもやっぱり相手に合わせて跳んじゃいました。そうすると、高さのハンデででかいチームにはかなわないですよね」

  さらに、チームに対して責任を持ってプレーしているからこその反省の言葉が続く。
「最後は3Pを外してしまったし、自分が中をやらないといけなかったのに軽い気持ちで外に出て打ったりして…悔いが残りますね」

 その後、“でも、”と言った。
「今日は負けたけど、1回10点離れたところで気持ちが切れてもおかしくなかったのに声を出して立て直そうと出来ました。そういうところは大事だと思うので、明日につながると思います。チーム練習ができなかった分、逆にディフェンスとか声出すとか、今日は出来なかったんですけど走るとか、基本的な部分は皆結構意識しているし出来ていると思います。みんなでやろう!って気持ちで」

 皆でという気持ちがあったから、ビハインドでもベンチからコートのチームメートには明るい声が飛んだ。「一体感がありますね。まとまりのあるチームでした。コーチ含めて何でも言って、何でも言ってもらってわかり合おうって皆で言ってて。ホントだから勝てれば申し分なかったんですけど…」と苦笑いする。
 最後に、どうしていつも最後まであきらめずにプレーできるのかを聞いてみた。
「秘訣?!うーん…何が起こるかわからないから、集中すれば絶対取り返せるっていうのが何回も試合をやっていてわかっているんです。皆の表情が“ダメなんじゃないか”ってなった時に、そこで誰かが“切らすな”って声をかけないとチームってまとまらない。そういう苦しい時間帯は上位にいくほど試合中何回も訪れる。常に声を掛けられる選手になりたいと思っています」

 菅川がいて、近森がいた。2年生、1年生、指導陣、スタッフ陣もいた。これに上級生を加えた“チーム”で、秋は本当に上で戦ってほしい。

ベンチから声が飛ぶ


<第45回関東大学バスケットボール新人戦>

6月17日(金) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
83
25
1st
16
86
 
日本大
22
2nd
26
法政大
 
19
3rd
22
 
17
4th
22

スターティングメンバー

日大:#4齋藤、#5松本、#6木村、#7播本、#20篠原
法政大:#4深尾、#5山田、#7福田、#16佐々木、#17梅津

法政大#8長谷川
笑顔でプレー

日大#4齋藤
強いリーダーシップを発揮

日大#22永田
臆せず体を張った

日大#5松本
インサイドの1on1が魅力

日大#18近
短いプレータイムに集中

 
残り1秒20秒3点差のエンドスローイン、#5山田をおとりに
走り込んだ#17梅津へボールが出るが痛恨のファンブル。
しかし集中を切らさなかった
『学習能力』法政大
 佐藤崇行コーチはスタンドに行くと握手攻めにあっていた。拝まれてもいた。「39分55秒、負けていた試合だったからね」

 接戦になることは予想していたという。
「接戦でしか勝てないと思っていました。最初はちょっと後手に回りすぎたかなと思いますが、ディフェンスで相手のやってくるプレーを1つずつ学習させていきました。この大会は学習だよと選手にも言っているのですが、同じ学習するなら勝った方がいい」

  1つを理解したら次のレベルへ進んでと対応していく法政メンバーのプレーは確かに“学習”だ。
「やっていたことが読まれて通用しなくなったら次はここを狙って、と足し算ですね。ディフェンスも悪いように見えても、やられるパターンはこれだなと絞られていっていま
した。そうなると向こうは原点のインサイドとか1on1に絞られてきます」

  確かに4Q、日大は#5松元の1on1ばかりになっていた。
「ディフェンスでパターンをせばめていきました。日大#5松本くんの1on1にはちょっとやられましたけどね。孤立させろとは言いましたが。でもタイムアウトで“攻め始めたらダブルチームに行け”と言ったらその後はなくなりましたね。そうしたら3Pだなと」
 1つずつ選手がきちんと聞いていくれたのが大きいという。

 そして#5山田のシュートで同点、残り5秒ハーフライン近くからのサイドスローインを得て時計が止まる。
「最後は負けはなかったので。健太しかいないと思っていました。あのタイムアウトで3つ優先順位をつけたのですが、その1番で展開できましたね。日大は大東を破ってきているし、そつなく、爆発力はないけれど安定している。崩れた時の損害を最低限のところでキープしている。シュートが決まったのはラッキーでしたが、その日大が打つべきやつに打たせてくれた。マークがきついのは当たり前で、それをかいくぐってスクリーンをかけるとかして打たせるようにする。リーグではお互いどんなプレーをするかわかっていて、その中で勝負できないといけませんから」
 と山田に打たせたチームの働きを評価した。

 さらに、“39分55秒負けている”状態でも、選手の集中力は切れなかった。
「途中悪い展開にもなりました。そこで崩れたら終わる。でもこちらがタイムアウトを取らなくても、自分達で“崩れない”と確認してやっていましたね。それがベースになっています。いい時頑張るのは誰でもできる。今日は悪い時にもまとまり直して今何が大事かをとらえてゲームしていました」
 それでも崩れそうな時は、ベンチから的確な指示が出る。
「40分自分達のペースではいきません。そのうえ新人だから20点リードされても相手が崩れたらまだわ
 
#5山田の、厳しいマークをかいくぐって決めた
3Pシュートで劇的勝利
からないでしょう。
40分でつないでいく。私はそのつなぎ方を言います。こっちが悪いということは相手がいいということだから、相手の良いところ、うちにしたらどこがやられているのかを理解して我慢する。
単に我慢するのではつらいですが、タイムアウトの時にこうしようというアイディアが選手達からもいっぱい出てきます」

  それは3・4年生とまさに同じだという。
「もちろんディフェンスのタイミングなどちょっとしたところはまだまだ違いますが(笑)。これが実績になるでしょう。気持ちが大事で、例えば全体のチームで(エースの#4)山田謙治と代えるとき納得いかないで代わったら何もならないけれど、#5山田が今身に付けて
いるような実績があれば“よし、つないでくれ”と流れができる。それは新人戦の収穫ですよね」

  この1試合だけでも、悪い状況を乗り越え、きついマークをかいくぐるスクリーンとシュートを決め、接戦での勝利という“経験”を手にした。
「後2試合、学習を続けます。何だか昨日の試合(国士舘戦)からストーリーができている感じですね。今日の足し算は明日も通用するとは限らないので、原点に返って何がプラスになるかというのを理解させながらやっていきます」

『ゴール、勝利への執念ですね』#5山田健太

 残り5秒のタイムアウト、#5山田は“打たせて下さい”と言ったそうだ。
「1本入ってこれはいけると思って、2本目の後は次ボールを持ったら絶対打とうと思い、3本目はタイムアウトで…」
 フェイダウェイぎみの3ポイントシュートはその気持ちに運ばれリングに吸い込まれた。

「1年の時とは違って、最後の新人戦ですし、最上級生という自覚から負けられないプレッシャーはすごくあります。でも、それ以上に今まで練習でやってきたことが自信となって、強気でプレーできました」
難しい体勢からのシュートを次々と決めて見せる事が出来たのは、「気持ちですかね。ゴール、勝利への執念ですね」と照れ笑いする。

 このように、ビッグ・シュートを決めたにもかかわらず山田が離す言葉はとても謙虚だった。
「昨日43点取って日大がプレッシャーをかけてくることはわかっていました。でもうちは#16佐々木にしても他の選手も高校でエースを張ってきたやつばかりで他にも点を取れるプレイヤーがいっぱいいるので、自分はとりあえずターンオーバーしないように、またスクリーンとかで他の人が点を取れるように意識しました。自分が攻める時は攻めて、スペースをとったりしながら少ないチャンスを待って」

 その判断が難しいのでは?と尋ねると、身近なお手本の名が挙がった。
「全体のチームでも4年生の山田(謙治)さんが点を取るしマークされるので。それを見て自分もそこで何をすべきかとかいい所を見習ってやっています。チームが勝てるようにって意識していますね」

 そのチーム、“とても一体感がある”そうだ。
「みんな明るくて仲が良いのでよくコミュニケーションが取れています。集中が切れる時間もあるけれど、ヘッドコーチが全体の時以上にどんどん言ってくれるのでそれを聞きつつ、皆でコミュニケーションを取って自分達やベンチの感じたことも合わせてタイムアウトごとに修正できました」

 トーナメントの再現まで、後2戦。ピンチを迎えるとしたら、「ディフェンスでリズムが取れない時と、オフェンスが悪くなった時」を挙げた。「悪い時いかに守れるか。1Qは中も外もディフェンスを受けてやってしまったのですが、昨日の3Qみたいに自分達から“行くぞ!”ってディフェンスなら大丈夫です。ディフェンスからですね。オフェンスは乗るとしてもやっぱり1人だけど、ディフェンスは5人で守って走ればうちのペースになる。新人戦のチームに変わって未完成ですが、ガード3人はいつでもアグレッシブなディフェンスができる準備ができています。ミスマッチでも守れるし。中のディフェンスがポイントですね。それができれば、見えてくると思います」
  山田の目は、既にはっきりとそれをとらえているかもしれない。

ハーフタイムに相談する法政メンバー


<第45回関東大学バスケットボール新人戦>

6月17日(金) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
53
16
1st
16
69
 
明治大
9
2nd
15
東海大
 
13
3rd
24
 
15
4th
14

スターティングメンバー

明治大:#5岡田、#6北向、#10古橋、#13根岸、#14鈴木
東海大:#4小林、#5石谷、#13西村、#15中濱、#16小倉

明治大#9北向
持ち味の3Pが2/17とチーム
を勢いづけることはできず

東海大#16小倉
物怖じせぬプレーが持ち味

明治大#10古橋
さらにプレーの幅を広げる

明治大#5岡田
力強いインサイド

東海大#18安部
集中してディフェンス

ONE for ALL』東海大
 陸川章監督は、1年生が多いチームでの準決勝進出に「やりました。皆よく頑張った」と笑顔を見せた。

「(明治#6)北向くんに#13西村をつけたのは、もう1人の( 明治#13)根岸君がフィジカルがあってリバウンドに絡んでくるからです。北向くんがシューターとわかっていてすごい間合いでついていましたね。
それから#5石谷がリバウンドを2本、すごい飛んでいましたね(笑)。皆を勇気付けるプレーでした。そして、2Qにバックアップのメンバーが練習したゾーンをしっかりやってくれた。相手のリズムを崩せたし、スタートの疲れも軽く出来ました。

一体感溢れる東海ベンチ

ムードメーカーの#17長野
みんなでつないで勝ちゲームに出来ましたね」と1人1人の健闘を讃えた。

 1年生が多いインサイドについては、
「#15中濱をペリメーターで、まずリバウンドをしっかりやってもらおうと。彼は細くても必ずリバウンドにいってくれます。それで今日1on1を少し教えたら、きっちり試合でやってくれたんです。頭の良さ、それからやろうとする気持ちがあるので、伸びますよ。それから#17長野勇気!背は低いけれど体を張ってくれて助かっています」
  と思い切りのよさを強調する。

 そして、耐えなければならない場面では「3・4年生を見ているし一緒にやってもいる」2年生が声を掛けて乗り切った。昨年の悔しさを味わったメンバー達でもある。

  その筆頭が#4小林慎太郎。今年はキャプテンとしてチームをまとめる。試合終了のブザーがなった時、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべたのが印象的だった。
「そうでしたか?去年東海は注目されてそれでも2位。周りには“今年はどう?”って見られている。決勝に行きたいけれどとりあえずベスト4に入れて、皆よくやった!っていう嬉しさがつい顔に出たのかなって思います」

陸川HCにも“試合巧者”と言わしめる#13西村。
「噂の北向くんだったのでディフェンスに専念し
ました。オフェンスではもう少し周りをいかす事を
心掛けたい。最後?はフリースローが得意なの
でファールをもらうようにしたくらい。3・4年に比べ
てまだ未熟ですよ。目標は点の取れるガード。
まずは40分やれる体力をつけないと」
  昨日の3回戦では3部Aの白鴎大学に苦戦したが、「接戦を乗り越えて勝てたのが皆自信になりました」という。
「自分としても昨日のプレーではだめなので全て変えて今日に臨みました。昨日は昨日、今日には関係ないって考えて、原点にかえってプレーしました」

 全体のチームではどちらかというとディフェンシブな選手だが、今大会は要所で得点も取りに行っている。
「周りによって必要なプレーを切り替えていっています。色々な組み合わせにアジャストできるから自分は使われているんだと思うし、それが持ち味でもあります。別に普段攻められないわけではないけれど、上級生には他に能力があって点を取れる選手がたくさんいる。新人チームではオフェンスでもディフェンスでもそれよりいっぱいのことをやらないといけないので、昨日は体力的にきつかったです。でも今日はよくもちました」
 “今日はよくもった”のは、メンバー1人1人がチームのために力をだしたからだ。
「経験もそうですが、周りは能力のある選手がたくさんいるなかで、うちは1人1人、1on1が強いわけでもディフェンスでしっかり守れるというわけでもない中でも、チームとして戦えている。最初見た時は他は“いけるんじゃない”って感じでもうちは“東海危ない?!”って皆思ったと思います、そこは力がない。でもうちは総合力で来ています」

 昨年のチームと比べられたら、1人1人の力は確かに劣る。しかし、チーム力は勝るとも劣らないところまできた。

試合終了後には笑顔がはじけた
「それを引っ張るのは自分の仕事。キャプテンの仕事だと意識しています。キャプはミニバス以来かな…あ、中学校でもやりました。高校(県立小林)では周平(吉田・現筑波)がいたので副キャプテン。
でもキャプテンでも副キャプテンでも、選手でも基本的に自分の思うことを言って話し合えばいいと思うんです。それは高校の頃から言われているので体に染み込んでいますね。
それに基本的に言うのは得意なんで(笑)。自分が“行くぞ!”とかいう性格だから。それに対して周りもしっかり反応してくれます。1人じゃ何もできないけれど、“キャプテン”って後ろからついてきてくれるから気負いもないし“やるぞ!”“やろう!”って周りの協力があってすごくやりやすいです」
  小林があえてまとめようとしなくても、その気持ちをくんでついてきてくれるチームメート。
「コミュニケーションは本当によく取れています。特に応援する気持ちがすごい。出られない選手が“なんで出られないのか”っていうのがなくて心から応援して盛り上げようとしてくれているのを感じます。出ている僕らはその責任もあるしそういう気持ちを大事にしています。コーチもチームも一丸で、5人じゃなく6人じゃなく全員で行くぞ!って」
 
  このチームを見ていると、チームスローガンの“ONE for ALL,ALL for ONE”が思い出される。
  明日の相手、法政は対照的に1人1人の能力が高いチーム。「高校はそれで負けているので、勝ちたいですね」
  このチームが、昨年のチームでもかなわなかった場所へたどり着くのを見たい気持ちになった。

 もう1人のスタートを務める2年生、#5石谷優二も小林と同じ言葉を口にした。
「今年のチームは今の3年生と比べるとレベルは下がるけれど、団結力がすごい高いんです。個人の能力は他に比べてそこまであるわけじゃないということを1人1人がしっかりわかっているので、よりチーム力を意識して戦っていこうとそれぞれが考えています」

 昨日の苦戦も、話し合いで今日に引きずらなかった。
「新人チームは練習も少ない時間なので、試合を通して成長して行こうっていうのがありました。昨日はあまりいい状態ではなかったので、切り替えていこうって話し合いをして、今こういういい状態でできています」

 自身の持ち味はシュート。「出たからには自分の仕事をしっかりしようって気持ちが強いです」。だが、「今大会入って最初からシュートが入らない」そうだ。しかし、そこでの考え方が東海らしい。
「でも周りにうまい人がいっぱいいるので、入らないなら自分はリバウンドやディフェンスで頑張ろうと思いました」
  それがチームを勢い付かせるダイナミックなリバウンドシュートを生み、要所で合わせからのシュートという本来の力を発揮することにつながった。

#5石谷
リバウンド、外のシュートと活躍
 あと2試合は、「自分達はディフェンスのチームだからみんなで守ってっていうのが鍵になります」。
「1年生が試合に出ているのが多い分引っ張って行くって2年生が意識しています。チームはディフェンスからリズム作ってロースコアで勝っていきたい。個人としては、シュートは入ったり入らなかったりがあるけれどそれを気にせず1on1
で守る。リバウンドで貢献することを特に意識していきます」
  トーナメントでもプレータイムをもらった成長株。あと2試合でどれだけ成長するか、期待したい。


専修大#14堤に抱きつく
メンバー

<第45回関東大学バスケットボール新人戦>

6月17日(金) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
66
23
1st
10
70
 
筑波大
20
2nd
14
専修大
 
18
3rd
19
 
5
4th
27

スターティングメンバー

専修大:#4横村、#6浅野、#8飯田、#9喜多川、#14堤
筑波大:#4吉田、#6山城、#14富田、#15梁川、#16中務

専修大#10後藤
ベンチでも指示を出していた

筑波大#14富田
ランニングプレイが光る

前半、盛り上がる筑波大ベンチ

『エンターテイナー』専修大
 4Q、筑波大がリードにほんの少し力を緩めたところを見逃さなかった。残り5分50秒には18点あった差を半減。残り4分には#14堤の連続得点で64-60。そして残り3分10秒、#14堤のアシストを受けた#6浅野が決めて振り出しに戻す。さらにオフェンスリバウンドからチャンスを作り、残り57秒#6浅野のバスケットカウントで66-70とする。そのあとの筑波大のパスが迷ったのをすかさず#14堤がカット、キープ。

  専修らしいと言えば専修らしい勝ち方だった。立役者の1人、#6浅野崇史も
「昨日まではベンチも声が出ていないし、格下にも競ってしまったりして雰囲気が悪かったけれど、相手が格上って言ったらおかしいけれどやらなきゃやられるってなったら一丸になってベンチも声を出してくれました」と苦笑いする。

 逆転劇のきっかけはインサイドが機能し始めたことだ。
「最初の方はディフェンスのプレッシャーがきつかったんですけど、相手がゾーンになって少し楽になりました。きっかけはそこで走って点取ろうと思ったあたりですね。インサイ

#6浅野
ドライブも幅が増えた
ドを使おうとして、最初から中中中ってなっちゃって、動きがないしボールが回らなかったのですが、速いパス回しからインサイドの#8飯田の1on1ができはじめて流れが変わりました。


流れを読み見事に勝負所をものにした#14堤
インサイドは弱くなったって言われるんですけど、190cm近くがごろごろいて相手がミスマッチだったらセンタープレーができる。#4横村だったら外があるし、中も出来るのでバランスよく相手に応じて展開しています。そういう強みを活かしたポストプレーを中心にやれればと思います。今#8飯田が活躍してくれているし1年生が頑張るとこっち(2年生)もやんなきゃとなるし。自分の役割を皆できていますね。」

  その“役割”。トーナメント時、試合後に中原雄監督に真剣な顔でアドバイスをもらっていたのが印象的だったが、あの時何を聞いていたのかと尋ねると、まさにそれだったという。
「僕の役割はリバウンドを集中してとることですが、取れないときどうしたらいいのか、何をしたらいいのかというのがわからなくなってしまって」

  そこで悩みながらも自分で考えたことは、今にしっかりいきている。
「今3番なんですけどドライブからの1on1をやることと、リバウンドだけは絶対取る。明日はカットインからのダンクを決めたいですね」
 今日も行けたのではないかと言うと、「行けましたよね。でも確実に行こうって迷って落としちゃいました」と種明かし。
  でも1日ごとに成長しているから、明日は成功させてしまいそうだ。

<取材・文 北村美夏>

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