<WJBL2004-05>
 WJBLは、10月15日に、2004−05シーズンの2試合を行った。9日に台風のため順延となった試合が急遽組み込まれたため、平日の夕方5時からと早い試合開始となったが、多くのWJBLファンが駆けつけた。
  開幕戦をここ代々木第2体育館で黒星でスタートしたJOMOは、後半追い上げたものの一歩及ばず、今シーズン優勝候補のシャンソン化粧品に4点差で敗れた。日本航空は最終クォーターは主力を下げる余裕で、デンソーに核の違いを見せつけた。シャンソン化粧品・日本航空ともに開幕から4連勝となった。


<WJBL 第4節>
10 月15日(金) 会場:代々木第2体育館


             
 

58

15
1st
23
62
JOMO

7

2nd
13
シャンソン化粧品
15
3rd
18
21
4th
8

スターティングメンバー
JOMO:#1大神・#8田中・#10矢野・#11川畑・#15諏訪
シャンソン:#0永田・#3三木・#7相澤・#8石川・#33河


第1クォーター、開始直後シャンソン#8石川の3ポイントシュートが決まり、流れはシャンソンに。残り7分4秒にはシャンソン#7相澤が早くも2本目となる3ポイントシュートを3ポイントラインよりかなりはなれたところから決め、12−5とシャンソンがリードする。残り6分36秒には流れを変えようとJOMO#4立川を投入され、ディフェンスを強化されると、ポストでシャンソン#33河がダブルチームにはまり、思うようにボールを動かせなくなる。さらに、JOMOの新人センター#15諏訪に#33河の上を越えるフックシュートを決められ、流れはJOMOに傾く。ここでシャンソン#7相澤の3ポイントシュートが決まるが、またもやシャンソン#33河がポストでダブルチームににかかり、パスミスからのターンオーバーをしてしまう。さらには残り3分11秒、ディフェンスリバウンドからの速攻のシュートをはずしてしまい、そのごターンオーバーとなる。ここでシャンソンはタイムアウトを取るも、その後もどちらも上手くオフェンスが展開できず、苦しいシュートを放つのみで、得点につながらない。残り1分1秒にシャンソン#6渡邉がドライブインからファールをされ、フリースローを得るも、1本しか決められず、さらにそのリバウンドを#33河が取るが、得点できない。残り26.9秒には#33河がオフェンスリバウンドを取りファールを受けるも、このフリースローを2本ともはずしてしまう。そして、最後にJOMO#1大神に3ポイントシュートを決められ、23−15と後半シャンソンが引き離せず、第1クォーターを終える。

第2クォーターに入っても、シャンソン#33河はポストでダブルチームにかかり、シャンソンはインサイドを基点としたオフェンスが組めない。残り8分2秒、シャンソンは#33河に代えて、#12江口を投入する。ここからシャンソンは#3三木が速さを活かした攻撃で連続得点し、リズムを取り戻すかと思われたが、ターンオーバーが多く、さらに残り5分33秒には#8石川がオフェンスファールを取られ、なかなか波に乗れない。しかしJOMOもシュートが決まらず、点差は縮まらない。残り3分をきって、シャンソンは#7相澤の3ポイントシュート、#0永田の1on1で得点するも、残り1分1秒には24秒オーバータイムを取られてしまう。それでも、このクォーターはJOMOのシュートが入らなかったことに救われ、36−22とリードをひろげて、前半を終える。

第3クォーターも、シャンソン#8石川の3ポイントシュートから始まり、シャンソンが波に乗るかと思われたが、JOMO#1大神の3ポイントシュートで流れが傾く。しかし、残り6分4秒にはJOMO#15諏訪にオフェンスファールをさせ、残り5分22秒から、シャンソン#0永田がカットインからのバスケットカウント・1スローを、さらにドライブイン・シュートを決め、48−27とリードが20点を超える。しかしそこから、JOMOに速い攻撃をされ、#7紺野の3ポイントシュートが決まり、流れがJOMOに傾く。残り1分49秒にはJOMO#8田中に速攻をドライブで運ばれ、ファールで止める。そのフリースローを2本とも決められ、48−36と点差を詰められる。しかしここからシャンソンも粘り、#33河や#0永田のゴール下で得点し、リードを守る。最後は残り0.2秒で、スローインをゴール下で受けた#33河がファールをされ、そのフリースローを2本とも決めて、54−37となんとかリードをひろげて、第3クォーターを終える。

第4クォーターは開始からJOMOの速い攻撃に連続得点され、流れはJOMOへ。さらにオフェンスのリズムが悪くなり、残り7分12秒にはパスミスからスチールを許してしまう。ここでシャンノンはタイムアウトを取ると、その後#0永田がオフェンスを引っ張り、連続得点し、残り5分1秒には62−49とリードを守る。しかし、そこからJOMOにパスを使ってディフェンスを崩され得点され、追い上げられる。残り3分9秒にはJOMO#8田中に1on1からミドルシュートを決められ、62−56とされると、さらに残り2分22秒にはJOMO#1大神にドライブイン・シュートを決められ、62−58と4点差にまで迫られる。ここからシャンソンはターンオーバーでオフェンスがなかなか組めないが、JOMOのシュートが決まらず、点差は変わらない。残り27.8秒、シャンソン#3三木がJOMO#4立川にスチールされ、ファールをしてしまうが、そのフリースローをJOMO#4立川が2本ともはずし救われる。残り17.6秒にはJOMO#1大神が5ファールでベンチに下がり、そのままどちらも攻めきれず。62−58とシャンソンがなんとかリードを保ち、開幕から無傷の4連勝を守った。

3ポイントシュートで流れを作った
シャンソン#7相澤

シャンソン#8石川とJOMO#4立川

積極的なリードでチームを引っ張ったシャンソン#3三木

シャンソン化粧品 李ヘッドコーチ
「勝つためには普段どおりのことをしていくしかないと言っていました。点差がひらいて、油断してわけではないでしょうが、いきなりふわっと入ってしまって、相手のプレスディフェンスにエラーが多くなってしまいました。まだ、リーグは始まったばかりなので、ここでチームの悪いところが出たのは、ある意味よかったです。今日は特にリバウンドが上手く行かなくて、それで速攻が出せなかったですね。ディフェンスが受身になってしまっていました。JOMOはポストが弱くはなっていますが、川畑や諏訪がそこで頑張っているので、弱くなったとかいうようなイメージはないですね。外角のシュートがよく効いているので、やはり強いです。今日の課題はエラーでした。JOMOのプレスディフェンスからピンチが来ることは予測して練習もしていましたが、なかなかゲームでは上手くいかなかったです。それと河のインサイドに積極的にダブルチームをしてくることもわかっていましたし、これからどこのチームもそうやってやってくるでしょうから、そういう意味では今日はいい勉強になりましたね。彼女も前半はずっとローポストに張り付いていたので、相手が守りやすかったと思います。なので後半からはもっとハイポストに上がってのプレーを指示しましたが、なかなか続かなかったです。あとは、シュート力ですね。フリースローもよく落としていましたし。シャンソンはいいチームですよ。私は前からよく知っていましたし、何の違和感もなくチームに入ることができました。しかし、まだ時間的にチームを作っていくには足りていないですね。リーグが始まってから1週目、2週目、3週目と段々よくはなっています。」

シャンソン化粧品 #7 相澤優子選手
「今日は“絶対勝つ!”とは言えないけど、“負けたくない!”という思いは本当に強かったです。まだまだチームとしては十分ではなく、徐々にチームとしてのものをつくりはじめているという段階です。今日の序盤は気持ちいいくらい3ポイントシュートが決まりましたが、これは自分が一番ほっとしましたね。そういう意味でつかみはとてもよかったのですが。第4クォーターは受けにまわってしまいました。そうなるといいことがないですね。プレスにももっとドリブルだけでなく、パスも使っていくとか、工夫が必要だったと思います。このチームは層が厚いので、誰が出てもいいし、面白いことになると思います。富士通の時との違いは、富士通では点を取りにいくのが仕事だったので、積極的に攻めていましたが、シャンソンでは無理に自分がシュートをしなくても、次にチャンスはできるので、どこからでも攻められますから。その分シュートの本数が減って、“試しうち”がなくなりましたが(笑)。今はシュートの精度をもっとあげて、確実に決めていきたいですね。年齢的に疲れが取れにくくなっているので、身体のケアは常に気をつけています。」

JOMO 内海ヘッドコーチ
「今日はイージーミスが多かったですね。ノーマークも落としてしまっていました。今日は前半で点差がはなれてしまって、そうなると、『点を取らなきゃ!』という焦りが出てきてしまいます。キャプテンの矢野はよくやってくれています。しかし、ゲームの中で『自分がやらなくては!』という意識が強くて、それが時々から回りして、ボールが止まってしまうことがあります。もっとチームとしての意識を高めていくことが必要でしょう。チームキャプテンは矢野ですが、チームは矢野と大野とシン(大神雄子・JOMO)がまとめていってくれています。」

<PICK UP!>
JOMO#15 諏訪裕美選手(桜花学園高出身)

浜口が引退し、インサイドが弱化したといわれるJOMO。今年高校を卒業したばかりの諏訪選手は、昨年のチャンピオンチームのセンターを任された。今日のゲームでは高校の先輩でもある河選手とマッチアップ。まだまだ通用しない部分も多いが、浜口張りの河選手越えフックシュートを見せるなど、これからに期待できる逸材だ。
「スタートになってあまり日にちはたっていないのですが、やはり緊張します。マックさん(浜口・元J-エナ)の跡継ぎということを言われますが、自分はマックさんのようにはなれていないし、追いつくこともまだまだできません。だから今は自分のプレーをするだけです。今日のマッチアップの河選手は高校の先輩なので、練習で一緒にやったことはありますが、試合でマッチアップするのははじめてです。普段なら打てるシュートもなかなか打たしてもらえないし、ディフェンスの仕方も違うので、体力的に疲れます。今日は河選手の上を越えるフックシュートも決まりました。あれは高校の時はまったくやったことがなくて、JOMOにはいってからはじめたものです。今日はたまたま入りました(笑)。」

高校を卒業してまだ6ヵ月半しかたっていない。
「まだ1年目なので、今は自分のプレーを必死でやっています。キャプテンの矢野さんからは『周りに合わせようとすると、自分のプレーができなくなるので、自由に動いていいから。周りがあわせていくから』といわれています。なので、今年はとにかく自分のできる仕事をしていくだけです。スタートにはいたいですが、相手チームの状況によっても変わってくると思います。出れるときは精一杯自分のプレーをします。」

インサイドの核となるべきセンターが活きてこそ、アウトサイドのプレーが効果的になる。これからJOMOがこのリーグを勝ち抜くためには、彼女の成長が必要不可欠だ。

  シャンソンは出だしJOMOのディフェンスがインサイドに寄ったことからアウトサイドのシュートがよく決まり、リードをひろげる。しかし、そのインサイドがトラップにはまるようになると、オフェンスの足が止まり、流れが悪くなった。その後、JOMOのシュート率の悪さにも助けられ、なんとかリードが維持できた。#7相澤の加入で個人でオフェンスが展開できる選手が多いことが、逆にいざというとき“誰が”“どうやってという”ポイントが絞れなくなっているように思えた。また#33河にボールが入ったとき、トラップに来ることが判っていながらなかなか動きがだせなかったことも、問題だった。反省点の多いゲームだっただけに、今後のチームの出来上がり具合に興味がつのる。
  JOMOはインサイドの核を今シーズン失っていることで、中−外のつながりができず、オフェンスの幅が広がらない。無理なシュートも多く、オフェンスの終わり方がよくないため、次のディフェンスの入りがよくない、というパターンの繰り返しが多かった。インサイドは今年高校を卒業したばかりの#15諏訪がスタートで、まだまだ弱さがある。しかし、ここが育たないことには今後につながらないので、根気よく使っていくことも必要に思われる。今は“我慢”の時だろう。
(渡辺美香)

<WJBL 第4節>
10月15日(金) 会場:代々木第2体育館

             
 
52
15
1st
18
81
デンソー
11
2nd
25
日本航空
3
3rd
10
23
4th
18

スターティングメンバー
デンソー:#22半田・#32山内・#35小畑・#53山本・#55平手
日本航空:#6堀部・#7薮内夏(夏)・#10柳本・#11矢代・#13根岸

第1クォーター序盤は競った展開となる。日本航空#10柳本の1on1から始まると、デンソー#53山本の3ポイントシュートが決まり、すると日本航空#11矢代がミドルシュートを決める。どちらもトランジションの速い攻撃で点を取り合い、シーソーゲームになる。しかし、残り3分をきってから、日本航空が#25加藤がドライブインを、さらに#3薮内敏がシュートを決め、リードをひろげようとする。残り55秒にデンソー#22半田が1on1を決め、その後どちらも決め手を欠き、18−15で日本航空が3点リードし第1クォーターを終える。

第2クォーター、日本航空はデンソーのプレスディフェンスに手間取り、なかなかリズムがつかめない。しかし、#10柳本がデンソーのディフェンスの隙をつく3ポイントシュートを決めると、流れは日本航空に傾く。#7薮内・#8岩村の3ポイントシュートが続けざまに決まり、残り6分半で29−17と一気に引き離す。デンソー#22半田にゴール下で連続得点されるも、流れは変わらない。日本航空#8岩村がドライブインに3ポイントシュートと得点し、さらに#13畑岸が終了間際にミドルシュートを決め、43−26と日本航空がデンソーを大きく引き離し、前半を終える。

第3クォーターも流れは日本航空のままでゲームは進む。#6堀部が3ポイントシュートにゴール下へのカットインと活躍し、残り4分には58−28と30点差とする。そのままデンソーにリズムを作らせず、63−29とさらにリードをひろげ第3クォーターを終える。

第4クォーター、日本航空は序盤こそ主力をコートに残していたが、後半からはスタートはほとんどベンチに戻し、控えの選手たちでゲームを行った。そのため得点は伸びなくなったが、デンソーのオフェンスをある程度止められており、さらに#3薮内敏・#6堀部が要所で得点し、リードを守り、81−52と大差をつけて、日本航空がデンソーに勝利し、開幕から4連勝を飾った。

3Pシュートにドライブインと活躍した
日本航空#6堀部

強気のオフェンスで切り込むデンソー#35小畑

安定したゲームコントロールを見せる日本航空#10柳本

日本航空 林ヘッドコーチ
「チーム状態は悪くはないです。でも、プレーはまだまだよくはないですね。うちはピック&ロールを多用していますが、これはバスケットの基本だからです。今日は上手くいっているところもありましたが、思ったようにはいかないところもありましたね。いくらコーチがいろいろ指示しても、結局選手個々の技術と判断力の問題ですから。だから自分はそういう個々の選手が自分で上達していき、判断力を身につけていくことが、チームの将来のためにも必要だと考えています。そして、個々がゲームの状況をわかりあいながらゲームを進めていくことが、このチームの目標です。しかしまだ、自分の目標とするところには半分くらいしか到達していないですね。このリーグ終盤までになんとか80%くらいはいきたいと思っています。」


 日本航空は第1クォーターこそ競ったものの、その後はウィングを使ったピック&ロールを多用しながら、基本的にはトランジットのゲーム運びで、デンソーにディフェンスをさせなかった。後半は#6堀部が好調で、3ポイントシュートがよく決まり、そのためディフェンスが出てくるところをすかさずドライブと多様な攻撃ができ、一気に引き離すことに成功した。大差がついて、主力を下げてもプレーのレベルをある程度落とさずゲームができていたことが、印象的だった。
  デンソーはディフェンスを崩され、ほとんど自分たちのリズムでプレーができなかった。そのためオフェンスでもチームプレーはあまり見られず、個人技中心になってしまった。レベルの差があるからこそ、チームプレーが必要に思う。
(渡辺美香)

<WJBL 第4節>
10月15〜17日(金〜日) 会場:代々木第2体育館


<Wリーグ>
             
 
64
14
1st
16
67
 
富士通
18
2nd
17
トヨタ
14
3rd
21
18
4th
13

             
 
86
18
1st
11
65
 
日本航空
18
2nd
15
三菱電機
24
3rd
23
26
4th
16

             
 
78
28
1st
13
54
 
日立ハイテク
24
2nd
11
デンソー
19
3rd
11
7
4th
19

<取材・文 渡辺美香>
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