2001年の全日本クラブ選手権で優勝した大和高田クラブと対戦したこの試合、前日は1安打と沈黙していた京都フルカウンツの打線は11安打を放ちヒットが出る度ベンチでは歓声が鳴り響いていた。中でも監督自身が「彼に注目して」と話していた高校2年生の5番打者・山根が4打数3安打と大活躍。小柄でがっちりとした体から強い当たりを見せる。
先発ピッチャーの北野は5回まで大和高田クラブ打線を無失点に抑え、前日の対日本新薬戦でホームランを含む3打数3安打の4番・常板を1安打に抑える。6回に2点を取られるが安定したピッチングを見せていた。
2対1で迎えた9回裏、ノーアウト二塁から前日先発した鹿取が登板。ツーアウトから1番・逢坂にレフト前ヒットを打たれ同点となり試合は延長に入る。延長に入ってからは大和高田の3番手・サウスポーの山下の前にフルカウンツ打線は手が出ず逆転のチャンスが作れずにいた。
投げる鹿取の方も球数が多くなるも何とか切り抜き、チェンジの度に「よしっ!」と気合の入った声で叫びながらベンチへ戻っていく。
延長13回裏、四球、エラー、四球でノーアウト満塁。打席には9回に同点打を放った逢坂が入る。球数が多くなり、ボール先行の苦しいピッチングを続ける鹿取。0−2からの逢坂への3球目はフワッとした打球となりライト前に落ちた。延長13回まで続いた試合は4対3で大和高田クラブがサヨナラ勝ちした。
「延長に入ってから『誰か打ってくれ』と思っていたんやけどね。でもクラブチーム日本一になったチームにここまでやるとは実は予想してなかった。本当はこの試合でいろいろ選手を試したかった。今日の試合を最後に(就職のため)京都をしばらく離れる選手もいますから」
有坂監督は表情を緩め今日の試合を振り返る。
「3月の春季大会が終わって次は4月の高砂大会。5月の大会(全国クラブ選手権予選、都市対抗予選)にはベストの状態に持っていきたいね」
4月の高砂大会、フルカウンツはまた一段と成長した姿を見せるのだろうか。
