勝負の3セット目 2004.5.9

大会2日目
タイ
(世界ランク16位)
<2敗>
10-25
14 -25
20-25
日本
(世界ランク7位)
<2勝>
0-3

「昨日より緊張しました。昨日の勝ちを価値あるものにしていくために今日どう戦うかだったんです。選手に伝えたところ、うまくやってくれました」(柳本監督)

柳本監督が現れる前に話をした成田はこう言っていた。
「昨日の1勝はいい意味で忘れようと思っていました。今日が勝負だと。今日の1・2セットはコンビも良かったし、レシーブも返っていてよかったです。3セット目は吉原選手が抜けたんですけど、チャンスボールが短くなったりコンビが合わなかったり、ずれたプレーがありました。反省して詰め直していきたいです」
高橋も「リズムが崩れたのは反省するところです」と語った。

1・2セットは日本の一方的な内容だった。日本の早いコンビバレーにタイのブロックはついて行けなかった。 しかし3セット目には2点ほどの差でついて来て点の取り合いになった。

これが日本の勝負だった。大会前、「勝っていくためのポイントは敵よりもチーム内にある」と語っていた柳本監督は支柱であるキャプテン吉原に変え、杉山を投入する。
「杉山は中国遠征でも使っていたし、力のある選手です。杉山を試したということもそうですが、竹下・高橋・成田を試したんです。吉原に依存せずにチームを引っ張るということをですね。今後を考えるとうまくいくことばかり考えてちゃいかんと。このチームには精神的な厚みが必要なんですね。タイは競っても負けることはないと自信はありましたし試しておく必要がありました」

終盤まで競られたものの、最後は地力に勝る日本が25-20でタイを突き放した。

「今日まではセンター線も機能しているし、サーブレシーブの安定なんかもある程度予想通りきています。(今怖いことは?と尋ねられて)“気の緩み”とか“安心感”ですね。決して我々は切符を取ったわけじゃないですから。本戦でのメダル獲得を目標にしていますからまだまだ道のりは長いです」

手応えはある。最終予選の先に続く夢に向けて柳本監督の与える“勝負”はこれからも散りばめられていく。

 

S-move編集部 田中美穂
  東京都出身 21歳。日本大学4年。小中高時代はバレーボール選手として青春を過ごす。 培った大きな声は時に編集部内で鬱陶しがられることがある。 感動を与えてくれる、人・競技・ドラマすべてに感謝の気持ちを込めて書いていきます。

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