全力の戦い 〜オーストラリア戦〜 2004.5.25

大会3日目
日本
(世界ランク19位)
<1勝2敗>
25-21
17-25
14-25
25-19
13-15
オーストラリア
(世界ランク21位)
<2勝1敗>
2-3

1セット目だけでサーブミスが10本あった。このセットでオーストラリアがサーブレシーブをしたのはわずかに8本。

「なんでセットを取れたのか不思議な感じです」
試合後田中監督が語った。キャプテン小林もそう言っていた。

オーストラリアには硬さが見えた。彼らのサーブミスもこのセットで4本。少ないとは言い難い。
しかし日本は相手が立て直してくる前に完全に叩くことができなかった。

「うちはサーブが特徴のチームですけど、今日はサーブを入れていかなければいけないサーバーがミスを出していました」(田中監督)

宇佐美、山本は攻めるサーブを持っている。この2人には多少のミスは目をつぶって攻めるように指示が出ている。それ以外のサーバーのミスが痛かった。日本が出したサーブミスは試合全体で20本にも及んだ。

セットを重ね、少しずつ乗ってきたオーストラリア。
日本選手のプレーは後手後手に回ってしまった。
コートの空気が、選手の顔に中国戦のような前に出ていく勢いがない。

加藤が今大会初めてコートに立ち、ラリー中も積極的に指示の声を出すが、流れが出来たところでまたサーブミスが出てしまった。

流れが行ってしまう。選手たちのプレーはどこかぎこちない。
崩れたところから2段トスを上げに行った細川がボールの下で1歩余計に踏む。足がもつれたような状態で安定感のないトスになる。アタッカーは高いブロックの前にそれを決めきれない。

「僕がポジション、役割をちゃんと果たせたら今日はフルセットやらずに勝てたと思います」
山本はうつむき加減に話した。頼りどころのエースがなかなか決められない。

「僕が決まらないから大輔(セッター宇佐美)を悩ませてしまった。最後まで修正しきれませんでした」

疲れはあったのか、という問いには
「7連戦だということは分かっていましたし、言い訳したくはないんですけど、疲れは多少・・・ありました」

精彩を欠く山本。他のアタッカーへの負担は大きくなる。センター線がブロックに捕まりだすと、サイドアタッカーに頼らざるを得なくなり、更に的を絞った高いブロックが待っている。

そのブロックの脇を、間を縫うようにスパイクを打ち込んでいたマルコスも試合の終盤には目に見えて勢いが無くなった。レシーブに飛び込んだ後なかなか起きあがれない。スパイクも着地が乱れて手をつくこともあった。


日本は苦しんだが、それでもオーストラリアには試合終盤まで、
イージーなブロックのリバウンドボールの処理ミス、勝敗を分けるような1点を争うシーンでのパッシング(後衛の選手がバックアタックを打つ際アタックラインを踏み越える)など付け入る隙はあった。


予選突破には重い2敗目となった。

しかし、 「結果を気にせず1戦1戦やっていくだけです」

加藤が言った。彼のほか、多くの選手が言うように、 日本の全力の戦いはまだ続く。

 

S-move編集部 田中美穂
  東京都出身 21歳。日本大学4年。小中高時代はバレーボール選手として青春を過ごす。 培った大きな声は時に編集部内で鬱陶しがられることがある。 感動を与えてくれる、人・競技・ドラマすべてに感謝の気持ちを込めて書いていきます。

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