見切りと追求 2004.5.28

大会5日目
日本
世界ランク19位
<1勝4敗>
15-25
17-25
25-27
カナダ
世界ランク10位
<4勝1敗>
0-3

緩やかなコートに入れていくサーブ、強烈なスパイク、高いブロック。
カナダの型は機能し、ミスがなかった。

「W杯で日本に負けて、変に作戦を練るよりも高さとパワーでいこう、ということだったんだと思います。それがハマったという風に思います」(田中監督)

高さとパワー。それに対抗するために日本に必要なのはブロック。今日はブロッカーが随分振られてしまった。
速攻を怖がり、センターに2人ブロッカーを残すためにサイドへの対応が遅れる。カナダのサイドアタッカーへのトスはものすごく速いトスだったわけではなかったが日本のブロッカーはほぼ1枚で遅れて跳ぶためにほとんど意味を成していなかった。
2段トスも日本ブロッカーが脅威を与えることができず、打ち切られてしまう。

ひとりひとりが自分の仕事を果たすチームに怖いものはない。
着実に決めてくれるセンター、困ったときに頼れるエース。

「見切り」キャプテン小林は言っていた。
追求するか捨てるか。捨てきれるか。

山本はクロス方向へのスパイクが得意だ。
感覚を取り戻したい。気持ちよく打ちたくて、決めたくてクロスに打ってブロックにつかまる。

確かにクロスのスパイクは彼の持ち味で強みのひとつ。
しかし落とした4試合では沢山ブロックにつかまった。
クロスが決まらなくなったときに何を選ぶか。

なぜ執拗にストレートのブロックアウトを取りに行く、着実に点を取る、勝ち星を得ようとしなかったか。

今日の加藤は腰をかばいながらのプレーだった。コート中央のフェイントにも思い切り跳び込むことはできなかった。けれど体勢やフォームは良くなくてもボールは上がった。スパイクもブロックを見ていた。打てない球を強打にはせずプッシュで外に出した。
そしてチームは1点を手にする。

選手はいい時もあれば悪いときもある。では悪いときに何を第1考えるか。
シドニーから4年待った大会。

泥臭さやいやらしさ、アテネへの執念。
自分を追求するのか捨てきるのか。出場権を逃すまでに山本自身ができることがあったはずだ。

「試合に勝ちたい。目の前の試合に勝ちたいんです」、
「崩したくないものと、崩せないでいるものとあるんですよね」細川は言った。

五輪出場権を逃した日本が、何を手放し、何を手に入れるか。
大会はあと2戦で終わってしまう。


S-move編集部 田中美穂
  東京都出身 21歳。日本大学4年。小中高時代はバレーボール選手として青春を過ごす。 培った大きな声は時に編集部内で鬱陶しがられることがある。 感動を与えてくれる、人・競技・ドラマすべてに感謝の気持ちを込めて書いていきます。

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