韓国戦と日本バレーのこれから 2004.5.30

大会7日目
韓国
世界ランク7位
<1勝6敗>
20-25
21-25
23-27
日本
世界ランク19位
<2勝5敗>
0-3

ここまで、高さとパワーのチームを前にフルセットでやられてきた日本。
10連敗中、4年9ヵ月ぶりの勝利とはいえ、今日の韓国は怖い相手ではなかった。
大会での韓国の不振もある。W杯後に招集されたベテランと若手は噛み合っていなかった。
伝統のレシーブ、つなぎなど連携にミスが出て、アタッカーはそれをカバーし切れなかった。

それに対し、日本はこの大会を通して、強豪と対戦してもレシーブはセッターがトスを上げられる位置に上がっていた。
問題だったのはサーブとスパイク。

サーブが保てない。サービスエースの後は大抵サーブミス。タイムアウトの後もサーブミス。今日の韓国を見て分かるように、サーブミスをもらえば相手は楽に試合を運ぶことができる。そこからすべての組み立てが始まる。

今日の日本はサーブミスが少なかった。
また 宇佐美がいつもの縦回転の重いジャンプサーブの他、左に抜けていく横回転のサーブを使い分けるなど相手を翻弄するプレーを見せた。
韓国・チャ監督は「日本のサーブに対応できなかった」と言い、
セッターのチェ・テウンも「昨年よりも非常に良くなっている」と日本のサーブの進化を認めている。

そしてスパイク。
今日の日本のスパイクは面白いように決まった。サイドがしっかりと機能した。そのサイドアタッカーに対する韓国のマークは2枚もしくは1枚。3枚ブロックを敷いてくることはなかった。
日本選手は比較的自由に打ち込むことができた。サイドが生きてくればバックアタック、時間差を混ぜる余裕が出てくる。今日の日本の攻撃はバランスが良かった。

こういうチームに勝つことはできる。しかし、サイドアタッカーの身長が2メートルあるようなチームに3枚ブロックにつかれたらどうだっただろうか。

中に中に打って、その分のフォローができなかった試合はこの大会沢山あった。

今後の日本は何を追求していくのか。
今大会、アテネ行きの切符を手にしたのはフランスとオーストラリア。どちらも高さとパワーのチームだ。
またイランなどもチーム作りにそういった傾向が見られる。

チャ監督は言う。
「アジアのバレーがパワーバレーに向かっている。ヨーロッパ型の高さとパワーのチームがふえて、アジアのバレーがどんどん弱くなっていくと危惧している。コンビバレーは消えていくのではないか」

日本選手もだんだんと大型化してきている。しかし、大きい選手がただ大きいだけでは世界で勝てない。
世界のトップレベルでは、2メートルを超える選手がきちんとレシーブをするし、色々な種類のトスを打つ。

まだ日本は世界と比べて大きいチームとはいえない。しかしこの大会では、小さい選手が苦戦しながらもコンビで相手を翻弄することができた。

日本でしかできないバレー。全日本はその模索から始めなくてはいけない。


S-move編集部 田中美穂
  東京都出身 21歳。日本大学4年。小中高時代はバレーボール選手として青春を過ごす。 培った大きな声は時に編集部内で鬱陶しがられることがある。 感動を与えてくれる、人・競技・ドラマすべてに感謝の気持ちを込めて書いていきます。

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