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スポーツジャーナリストで成功する法 著者・小林信也インタビュー vol.1



スポーツジャーナリストで成功する法
著者:小林信也
出版社: 草思社
ISBN: 4794213077

 私は「スポーツジャーナリストで成功する法」の校正などのお手伝いをさせていただきました。原稿を執筆している小林さんを間近で見ていて、ずっと気になっていたことがありました。「どんな気持ちでこれを書いているのだろう」ということです。今回のインタビューで伺いました。


―“ 失敗から学ぶ成功の秘訣 ” という感じで、自分をおとしめるような話を書かれています。失敗談を書いているときはどんな気持ちなのですか。

 「気持ち」って、そう言われるとあんまりないなぁ。ただ、文章を書く時の状態って「個人」ではない、それは確かですね。

― 個人ではない、というのは?

  物を書く人ですね。小林信也という作家。

― 作家と個人は違うんですか。

 同じだけど、良い意味で緊張している状態です。電池があって、エンジンが回っている。ボケーッとして何となく「このテレビ面白いね」なんて言っている時と、物書いているときはちょっと回転数が違うでしょう? 回転数が高い状態の時は個人は存在していないと思う。自分であって自分でない。

― 自分を客観視している・・・

 客観視と言われると違うかなぁ。客観的に見ているわけじゃなくて、小林信也というのはみんなのものなわけです。小林信也はこの本の主人公で、主人公は僕個人じゃない。もうそれは公共のもの、私物じゃない。
よく「自分のこと書くって大変ですよね」とか、「小林さんのこと知っているから面白いのかな」なんて言われるけど、そうではない。だって「僕」という体験は僕にとって取材みたいなものだから。
取材した物を書いているという意味では、自分のことを書いていても他人の取材をして書いても、僕の中では変わりがないんです。 「失敗談なんか書いていいかな」っていうのは少しあります。だけど実際には、あえて失敗談だけ選んで書いた訳でもありません。

― 読むとまるで半生記のようですが、これまでの自伝を書くという気持ちはあったんですか。

 それは全くありませんでした。だけど考えてみれば半生記に近いものですよね。意図せずに書いたら、結果そうなった。
それだけに「これはやっぱり読んでもらいたいな」って、出来上がってからすごく思うようになりました。

― 書いていて楽しいなどの感情はありましたか。

  書いている時は興奮しています。あるテンションに入っている。喜怒哀楽が豊かな状態。気持ちに崩れがない。舞台に上がっている、舞台で演じている状態に近いのかなぁ。演じているのは生身の人間。そんな状態に入っているから楽しいんです。 志望者が考えているスポーツライターの日常と僕らがやっている現実が違うことを、まず分かってもらえればいい。スポーツを書くのは幻想とかなり違いますよって。
「それでも書きますか、それでもこれを仕事にしたいですか」

― 問いかけもあるんですか。

 それもありますね。みんなが描いているのはスポーツ新聞とか、スポーツ番組を作っている放送メディアに就職している人たちじゃないかなと思う。僕らのようなフリーランスは、似ているけれど全然違うスタンス。 あえてこの本を書いているのはこの仕事が面白いからなんだよね。みんなあまり知らないけれど、こういう場所、こういう方向性があることを伝えたいし、一緒に志していく仲間を求めたい気持ちがあるんです。



文・構成 スポーツライター実践塾 後藤美和子