<男子日本代表第2次強化合宿>

4月21日、府中のNECニューライフプラザで、男子日本代表第2次強化合宿が行われた。
初日の今日は、参加選手が9名と少なかったが、3ont3でディフェンスのプレッシャー、オフェンスのルールを徹底した。

第2次強化合宿は、25日まで行われる。

1日目参加選手(9名):網野、五十嵐、伊藤、柏木、柏倉、桜井、仲村、古田、渡邊
※竹内公、竹内譲、太田、大宮、西塔は金曜日から合流の予定
※怪我:山田                        
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4/21(水)
第2次合宿は上記の9名で始まった。ストレッチ、ハンドリングをやった後、ウォームアップを兼ねてオールコーでトドリブル鬼ごっこ。どの選手も狙ったチームメートを1on1で追い込んでタッチしていた。続いてポジションごとに組んで、3、2、1本と減らしていく3メン。トラベリングしないことと、強いパスをするよう注意していた。

体が温まったところで、3チームに分かれてオールコートの3on3を行った。チーム分けは、赤:網野・五十嵐・仲村、黒:伊藤・柏倉・桜井、白:柏木・古田・渡邊。ゴール下からスローインし、1往復する。
まず1回り何も言わずにやらせた後、“人、ボールにプレッシャーをかける”“スクリーンを使う”という指示が出た。

<今日の練習メニュー>
15:55 ミーティング
16:00 アップ
16:10 ハンドリング
16:15 オールコートドリブル鬼ごっこ
16:20 3メン
16:25 オールコート3on3

17:00

ハーフコート3on3
17:45 終了〜フリースローシューティング

そして、それが出来ないと何度でも止めて、やり直し。「ディフェンスで相手を1m離しているのはありえない」「何をやれと言った?スクリーンだ」。その代わり、言ったことが出来た時は褒めていた。「ボールチェックを続けることで相手の集中を切らすのが目的。こまめに水分補給の時間をとるから、その区切られた時間を集中すること」。選手らは、交代でコートの外にいる時こそ膝に手をついていたが、コート内では運動量を落とさずパスカットなど粘り強くプレッシャーを与え、これに応えた。

続いて11点先取(どのシュートも1点でカウント、ゴール下チームがゴール下からのスローインで攻撃継続)のハーフコート3on3。ガード3人の3ポイントシュートで最初の2チームを決めた。練習開始前のファーストシュートが気持ちよく入っていた五十嵐(赤チーム)が1本目で抜け。つづいて3本目を柏木(白チーム)が決めて、柏倉の黒チームは順番が休みとなり、逆側のリングでシューティングからスタートとなった。

赤チームは仲村のシュートと網野の積極性で、渡邊の1on1を中心に追い上げた白チームを振り切ったが、次の黒チームに連続得点を許して交代。すると、黒チームはラストの9本目まで8連勝。「またか?!」と古田が冗談を言うほど3人のバランスが良かった。

その後フリースローのシューティングをして、少し早めに1日目を終えた。

<ジェリコHC語録>
(ディフェンスで手を体の横に広げている選手に)「催眠術でもかけようとしているの?それではプレッシャーにならない。ボールにちょっかいを出していきなさい。」


オール3on3:
柏木、五十嵐のガード陣に
スクリーンの指示をするジェリコHC

ハーフ 3on3:
ジャンプシュートを打つ桜井
ディフェンスは仲村

ハーフ 3on3:
ボールを取ろうとする五十嵐・網野と、
離さない柏倉

<インタビュー>
ジェリコ・パブリセビッチHC
「9名しか参加していませんが、それぞれの事情や怪我があるし、全く問題はありません。金曜日からは学生達も参加するのでね。スプリングキャンプから引き上げた柏木・桜井はとても良い練習をしています。けれども続けていかないとまだどうなっていくかわかりません。」

・桜井良太選手
「今日はシュート良かったなって思います。でもやっぱり、周りがボールを回してくれて、打たせてもらっているだけです。初日だからディフェンスもあまりこなかったし。明日からはきつくなると思います・・・(笑)。ディフェンス面では何回も怒られてしまったので、もっと詰めなきゃなって思います。金曜日からは知っている選手が多くなるのでやりやすくなりそうですね。左脚はジャンパーズニ−でちょっと痛くなっちゃって・・・跳び過ぎてる?そんなことはないと思いますよ・・・(笑)

<コラム
〈2〉『笑う代表』

伊藤と柏倉が先頭。柏木は先輩・五十嵐のそば。キャプテンの古田は、新しく入った桜井に話し掛けている。ランニングの風景。今日はコーチが参加していなかったので、ストレッチに入る時皆が古田に視線を向けた。「いや、俺に期待するなよ!」と言って柏倉にどうぞ、と手でジャスチャーをする。真ん中で進行するのは柏倉になった。しかし、淡々と進めすぎて「これ以上長くやったら眠ってしまうよ」とジェリコHCより苦情。

オールコートのドリブル鬼ごっこは、「鬼は桜井から」とジェリコHCが言うやいなや始まった。桜井と五十嵐とが目が合うと、お互いに笑った。後は1on1。桜井はプレー中はポーカーフェイスをめったに崩さないので、A代表に馴染んでいることをうかがわせた。それからも“目が合って笑った選手”が決まってターゲットになっていた。

オールコートの3on3では、オールコートでプレッシャーをかけるルールにもかかわらず、人数が少なくすぐに順番が回ってくるため体力的にきついメニューとなったが、静まるたびに網野、柏倉、古田が声を出して盛り上げていた。

ハーフコートの3on3では、11点先取で点差が詰まってくると、ゴール下の攻防やラインを割ったボールの所有権争いが白熱。ジェリコHCは余程のものでないとファールの笛を吹かず、大の大人がムキになって主張しあっているのを笑顔で見守っている。楠本通訳も、練習中は厳しい顔付きをしているがHCが笑った時は笑っている。中村トレーナーも呆れつつも笑い、貝塚マネジャーは必死にこらえようと口元を押さえている。

「もうほんと酸欠きてた!」とは練習後の柏木の一言。それでも顔は笑っている。それを、まだ本当は力を残している出し惜しみととるか、それとも他の何かのせいか。

断言できるのは、確認のために足を運ぶ価値はある、ということだ。

〈3〉『桜井良太の存在』

「良太のシュートが。」
ハーフコートの3on3で、もう交代?と古田に言われた網野が思わず言った。今日は良かった、と桜井本人が言う通り、1ゲーム中1本以外のミドル・ロングシュートを全て決めたのだ。加えてアウトサイドからゴール下へ飛び込む動きは絶品。強引に1on1に行ったように見えて、センターの伊藤にアシストを出してみせる。

この桜井の活躍ぶりに、良い刺激を受けているのが網野だ。今は雰囲気の作り方やディフェンスで網野に1日の長があるが、シュートを決められて目が笑っていない時がある。高い身体能力とゴールへの気持ち、というセールスポイントは同じ。これから合流する大野も、ポジション的にはライバルになるだろう。桜井が表情を崩さず淡々としているのも、逆に考えたら怖い存在と言えるかもしれない。

桜井のポテンシャルは計り知れないが、それを試合の、厳しい場面でも発揮できるかといったらそれもわからない。しかし、彼の存在はジェリコHCの言う通り、確かに代表に「新しいクオリティを与えて」いる。

<取材・文 北村美夏>
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