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初戦は延長のすえ東芝 2005.3.19

3月19日、JBLはスーパーリーグプレーオフファイナルを代々木第2体育館で行った。 

東芝が速い展開でペースをつかむが、アイシンが粘って延長にもつれ込むファイナルにふさわしい接戦となった。
延長でも落ち着いて攻めた東芝が1戦目を制した。 



<スーパーリーグプレーオフファイナル>
3月19日(土) 会場:代々木第2体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
80
11
1st
19
92
 
23
2nd
17
アイシン
16
3rd
18
東芝
 
18
4th
20
 
6
OT
18


東芝の気迫のオフェンスがアイシンの追い上げを上回る


スターティングメンバー

アイシン:#2佐古、#6後藤、#7外山、#22ケーペル、#32ヘンダーソン
東芝:#5ルイス、#6クラインシュミット、#8節政、#34伊藤、#51北

"何をするか"が明確だった東芝が先行も、ミスからアイシンが詰める
 1Q、東芝は#5ルイスの1on1、#8節政の速攻を中心にゴールに向かう気持ちを見せる。またディフェンスでもアイシン#32ヘンダーソンにボールが入るとヘルプが寄り、オフボールでもペイント内で楽にポジションを取らせない。
 対してアイシンはディフェンスが後手になってファールがかさみ、#6後藤・#2佐古がつなぐも攻めきれず残り3分30秒9-17でタイムアウトをとる。するとその後東芝のパスミスやイージーシュートミスを見逃さず、#22ケーペルの速攻につなげて2点差まで詰める。
  2Qも東芝がリードして進むが、残り1分をきってからアイシンが集中力を発揮。24秒クロックをじっくり使って#2佐古が3ポイントシュートを決め逆転、さらに残り1.2秒で#32ヘンダーソンがジャンプシュートを沈めて4点リードで折り返す。

東芝#6クラインシュミット
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東芝#6クラインシュミットからの展開で押し切る
  3Q立ち上がりはレベルの高い入れ合いが続いた後、アイシン#6後藤が難しいジャンプシュートを決めていく。しかし東芝が#34伊藤のオフェンスリバウンド、#6クラインシュミット〜#5ルイスの絶妙な合わせでじりじりと追い上げる。4Qは#6クラインシュミットが3ポイントシュート含め次々と決めて20点中実に15点を稼ぐ活躍で残り2分45秒70-62とリード。
  だが1・2Qのように、ここからアイシンが意地を見せる。#6後藤、#2佐古がスクリーンを使ってロングシュートを決め3点差。さらに東芝がイージーシュートを落とす間に#32ヘンダーソンが1on1を決め残り33秒ワンゴール差に持ち込む。時間を使う東芝#8節政にプレッシャーをかけたアイシン#22ケーペルが残り19秒でファールアウトとなるとファールゲームに持ち込む。東芝#5ルイスはそのフリースローの2投目を決め3点差とした後、残り11秒#32ヘンダーソンをファールで止めに行ってこちらもファールアウト。東芝のタイムアウト明け、アイシン#32ヘンダーソンは2投目を外しに行くが強く跳ね返ったボールは東芝#6クラインシュミットの所に飛んだため、アイシン#7外山がすかさずファール。残り10.2秒のこのフリースローの1投目を#6クラインシュミットが落とし3点差とワンゴール差が保たれると、アイシン#32ヘンダーソンが自ら運び、ピボットで東芝#6クラインシュミット をかわしての3ポイントシュートがリングに吸い込まれ土壇場で延長となった。
  だが延長でも東芝#6クラインシュミットの勢いは止まらず、アシスト・3ポイントシュート・フリースローで残り2分30秒83-76とリードすると・フリースローを確実に決めてそのまま逃げ切った。

両外国人選手の働きがポイントに

  東芝は#5ルイスに入ると周りがやや止まって見てしまったが、この1on1を確実に決める。外からは#6クラインシュミットがタッチ良く決め、#34伊藤らにアシストも供給した。一方のアイシンは#22ケーペルがインサイドでの体のぶつかりにフラストレーションをためてしまい、#32ヘンダーソンも囲まれながらシュートを決めていったがいつもの破壊力はなかった。
 またアイシン#7外山がファールトラブルで#55マッカーサープレータイムが少なくなった分、なかなか東芝のディフェンスを外に広げる事ができなかった。#22ケーペル・#7外山がファールアウトと大事な時間帯にスタートの5人で臨めなかったこともある。
  この日は「出だし」「走る」ことに“みんなが(記者会見で多く出た言葉)”集中していた東芝が競り勝った。だがどちらにも弱点もあり、そこを突けるか、またそこをどう突かれないようにするかの駆け引きが続く。
(北村美夏)
東芝・鎌田ヘッドコーチ
「非常に厳しいゲームで、先に勝つことができてほっとしています。どうしても勝ちたかったので。
ゲームの方は予定した通りの展開でした。ディフェンスではインサイドでダブルチームをしかけたりしましたが、前半はそのローテーションが乱れてノーマークのシュートを打たれてしまいました。でも後半は徐々に機能しましたし、走れたのでずっとうちの展開でした。最後にJR(アイシン#32ヘンダーソン)の素晴らしいシュートで追い付かれましたが、(#5ルイスがファールアウトした)オーバータイムはレギュラーシーズンも外国人選手が1人いない中でやってきて、苦しい中で戦えると確認できていました。」

東芝・#8節政選手
「ファイナルでアイシンに当たると決まってから、“常に走る”と皆で声を掛け合いながら練習してたのが試合の始めに出ました。去年の反省から入り方をしっかりやろう、とみんな
気持ちが入っていました。でもこれは始まりと思っているのでまた気を引き締めていきたいです。」

東芝・#6クラインシュミット選手
「本当にチャンピオンシップらしいゲームでした。お互い最後まで戦って、接戦でしたが勝つ事ができました。
(ディフェンスについて)ローテーションが最初は良かったのですが2番目があまり良くなくて、でも何とか調整して、いいオフェンスのチームであるアイシンに対して最後まであきらめずに頑張りました。
それから、日本に来てからこんなプレーオフの試合をやるのは初めてでした。最後のフリースローを外し、またその後(アイシン#32)ヘンダーソン選手にファールすればよかったのにしなかったのは自分のミスでしたが勝って良かったです。
(3Pが5本)シュートタッチはすごく良かったです。この1週間で4試合目なのでやっぱり足が疲れてしまい、ちょっと体が動かず前半は良くありませんでしたが、後半いくつかのシュートを何とか決めることができました。」

東芝・#34伊藤選手
「去年と同じカードということで“1戦目を取ろう”と皆でやってきたので、競ったしんどい試合だったけれど勝ててよかったです。
(試合で心掛けていることは)アイシン戦では、自分のマークにリバウンドを取られないこととオフェンスリバウンドを拾ってチャンスを増やすことです。」

アイシン・鈴木ヘッドコーチ
「出だしは東芝のペース、第2クォーターはうちのペースという感じでどっちに転ぶかわからないゲーム展開でした。ですがやっぱりうちのオフェンスで、最初はしょうがないにしても途中でいつも打つはずではない選手が打ってみたりゴール下でファールを主張しながら無理なシュートを打ったりという事があって、そこから自滅していきディフェンスで休んでしまうという現象がおきました。最後は3ポイントで追い付くのが精一杯という状況でしたね。延長ではやっぱりばててしまってディフェンスをきちっとしていなかったし、オフェンスもみんな足が止まってしまって無理なシュートになっていたので、そこをきちっと修正して頑張りたいです。
(無理なシュートになった要因は)どうしても(実際は違うチームなのに)前回のトヨタ戦のディンフェスのイメージでバスケットをしてしまいました。東芝はゴール下でうまくフィジカルなディフェンスをするのですがそれにはまってしまいました。
(今年から5戦3先勝だが、その1つ目を落としたというのはどうか)チャンピオンチームが最
初負けた方がおもしろいんじゃないですか?4戦やるか5戦やるかわかりませんが、最後は力のあるほうが勝つ、3つ勝った方が本当に強いチームだと思います。もちろん負けた瞬間楽しい人はいませんが、そこで火がついて頑張れると思います。セミファイナルも1戦目を最後2秒で逆転されて負けましたが2・3戦目勝てたので、そういう意味でプラスに考えています。
(東芝#6クラインシュミットに対して)やられていいことと悪いことがあるんですが、延長など大事な時間帯のディフェンスが同じ感じ離しすぎだったので、もうちょっとプレッシャーをかけてドリブルをつかせるとかしないと38点は計算外ですね。」

アイシン・#2佐古選手
「東芝とはいつ我慢比べというか、イニシアチブを取れた時にミスが続いて、走られたりして、こっち側の我慢が焦りになったような気がしました。でも今日こういう経験ができたので、うちは初優勝を狙うチームというわけではないですし明日また修正してつなげられると自分では思っています。
あとはゲームの中でほしいところでファールをもらえず、いたいところでファールをとられたという裏表のことが厳しかったかな。まぁそんなことを言ってもお互い同じ土俵でゲームしていますから、明日は自分達に長い時間いい流れが来るよう我慢してやりたいです。」

アイシン・#6後藤選手
「若干ゲーム運び失敗したかなという感じです。相手も初戦を落としたくないわけですからいいスタートをきらせてしまいました。途中落ち着いたかなと思いましたが流れがこなくて結局うちの自滅でした。でも明日勝てば問題ないので、明日勝てるよう全力で反省して気持ちを切り替えて臨みたいです。
東芝#6クラインシュミットに対して)もともとオフェンス能力のある選手ですが、流れの中でやられていいところと悪いところがあって、やられてはいけないところで必ず得点されました。東芝のオフェンスがクラインシュミットに偏っていたのに対応できなかった。でもそれを修正すれば良いのでそんなに悲観的には考えていません。」

<取材・文 北村美夏/写真 渡辺美香>
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