<JBLスーパーリーグプレーオフ> 特集ページはこちら|2戦目はこちら|3戦目はこちら
東芝、トヨタ先勝 2005.3.12

3月12日、JBLはスーパーリーグプレーオフセミファイナルを川越運動公園総合体育館で行った。

三菱電機-東芝は1クォーター目からペースをつかんだ東芝が快勝。トヨタ自動車-アイシンは接戦の末、残り2秒で#12渡邉が放った3ポイントシュートが決まりトヨタが勝ちをつかんだ。 


<スーパーリーグプレーオフセミファイナル>
3月12日(土) 会場:川越運動公園総合体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
55
11
1st
26
86
 
三菱電機
15
2nd
20
東芝
 
20
3rd
27
9
4th
13


好守から速攻を量産した
東芝#8節政
その他の写真を表示

東芝、1Qの好守で勝負決める 三菱はインサイド生かせず自滅


スターティングメンバー

三菱電機:#1沖田、#6松島、#10大野、#21ラング、#22へール
東芝:#5ルイス、#6クラインシュミット、#8節政、#34伊藤、#51北

 立ち上がり、東芝は堅守で三菱のターンオーバー・無理なシュートを誘う。そこから#8節政が速攻を次々と決めていく。三菱は#45古田投入、残り4分5‐1 4でタイムアウト、さらにガードを#12柏倉に交代と試みるが立て直せない。ディフェンスも後手にまわり、フリースローを多く与える。#22ヘールが粘って何とか11‐26と得点を2桁に乗せる。
 第2クォーター、その#22ヘールがポジション取り時の接触で8分を残して負傷退場となる。さらに頼みの#21ラングもファールをアピールするあまり冷静にプレーできず、逆にオフェンスファールを取られてしまいベンチへ。一方の東芝もインサイドでファールがかさむが、#33宋・#34篠原とつなぐ。攻めては#51北・#11折腹・#5ルイスと自在に決める。残り5秒では#6クラインシュミットの前が花道のようにあいてレイアップを決め、46‐26と前半で20点差とする。

  しかし後半、三菱#9梶山・#10大野のシュートが決まると勢いがつき、インサイドのダブルチームからスティール、その速攻を#1沖田がバスケットカウント
で決める。東芝のタイムアウト後も#6松島が好守で活躍し52‐42と一気に10点差とする。だが、この流れを断ち切ってしまったのがエンドスローミス。前半に続き、ここでも完璧に読まれて東芝#51北にカットされ速攻につなげられる。すると東芝#6クラインシュミット・#8節政が勝負所を逃さずたたみ掛け、残り2分にはあっという間に65‐42と点差を戻す。

27点差がついた第4クォーター、三菱はじめから#21ラングをベンチで休ませる。その分#6松島が奮闘するが、東芝も#11折腹を中心にスタート以外のメンバーがつなぎ、残り3分でも80‐53と点差は変わらない。その後東芝は#2中元のブロック、#9山中のスティールからの速攻が飛び出すなどのびのびとプレーし、最後は30点差をつけて快勝した。
(北村美夏)
東芝・鎌田ヘッドコーチ
「入り方ですね。全員が集中してやるべきことをしっかりできたことが前半の点差につながりました。
(後半開始時に追い上げられたが)ハーフタイムで、うちはいつも3Qが悪いので集中して入ろうと、#6クラインシュミットからも話があったのですが、オフェンスのリズムが悪くミスが続いたのでタイムアウトを取りました。そこでは原点に戻ってディフェンスからやろうと言いました。それでリズムが戻りましたね。」

東芝・#8節政選手
「去年1戦目で三菱に負けていたのでその教訓を生かして入り方をすごく大事にしていて、特に#5ルイスや#6クラインシュミットから檄が飛んでいました。皆で盛り上げていくという意味でいい入り方ができて、こういう結果になって良かったです。
(対三菱については。レギュラーシーズンは3勝1敗だったが)だからといって今回うまく行くわけではなく、チームの中にもそういうことを言う人はいませんでした。皆この試合はこの試合と臨み、三菱はインサイドが強いので常にカバーディフェンスを心掛けてやりました。練習でも鎌田HCから言われていましたし、2週間しっかりやってきた結果です。
(レギュラーシーズンから2週間あいた事は)今回は特に#5ルイスが怪我をしていたので、日本人のセンターに経験を積ませることで言えば大きい2週間でした。今日、(日本人のセンターが)皆出てうまくつないでくれましたよね。」

三菱電機・福島ヘッドコーチ
「前半でゲームが決まった感じです。オフェンスのリズムが取れずズルズル行ってしまいました。出だしの入り方が全てでしたね。やってきたオフェンスを機能させられずフラストレーションがたまって、見るべきところを見なかったりやらなくていい1on1を始めたりとオフェンスで自滅して、ディンフェスでも集中力を欠いてこういう結果になりました。(東芝のディフェンスが良かったのか?)それももちろんあるが、うちのオフェンスが少しエントリーを迷ったのと、スクリーンなどのタイミングが合わなかったです。パッサーに裏があいている、2箇所見よう、と指示を出したのですが、受けに来る方ばかり見てしまってボールの動きが止まり、じれて1on1が始まり…という感じでした。
  後半は少し落ち着かせようと、ローポスト・ハイポストを起点にするプレーに限定しました。それで建て直しがきいたかな?と思いましたが、10点差まで詰めた時にうちの選手
の甘さが出ました。今シーズンはターンオーバーは多かったのですが、今日も大事なところで2つのターンオーバーが出てゲームを壊してしまった。あの辺の意識を徹底できないとプレーオフでは勝てないということだと思います。
  ですが、その後半立ち上がりのリズムが明日取れれば、#22ヘールがいなくても戦えるかなと思います。敗因をあげるなら、後半10点差でターンオーバーが2つ出たこと、ということです。」

三菱電機・#1沖田選手
「今日の試合は、プレーオフ前から準備してきたこと、皆でやろうとしていたことをまったくと言っていいほどできなかったです。」


<スーパーリーグプレーオフセミファイナル>
3月12日(土) 会場:川越運動公園総合体育館

TEAM
 



 
TEAM
 
81
21
1st
26
83
 
アイシン
21
2nd
12
トヨタ自動車
 
20
3rd
20
 
19
4th
25


決勝シュートを決めた
トヨタ#12渡邉
その他の写真を表示

トヨタ、最後まで集中を切らさず勝利をつかむ


スターティングメンバー

アイシン:#2佐古、#6後藤、#7外山、#22ケーペル、#32ヘンダーソン
トヨタ自動車:#1棟方、#9折茂、#13オバノン、#21マーシュ、#34高橋

  第1クォーターは互いに速攻やインサイドが決まり残り5分13‐12と互角の展開になる。だがトヨタ#9折茂がアイシン#32ヘンダーソンのドリブルをスティール、速攻をバスケットカウントで決めると、そこから連続でシュートを決め21‐13とリードしアイシンにタイムアウトを取らせる。この後アイシンは#22ケーペルが続けてゴール下を、さらに#7外山がブザービーターでリバウンドシュートを決め26‐21と詰める。
 第2クォーターはどちらもインサイドで攻める。特にアイシンは3ポイントシュートと日本人選手以外のシュートはいずれも0本という徹底ぶり。まず#32ヘンダーソンの連続得点で28‐27まで詰めるが、トヨタ#21マーシュが返す。さらに#32ヘンダーソンがダブルチームを当てられるもうまく間を抜けてダンクを決めれば、トヨタ#13オバノンがアリウープダンクと譲らず、残り2分でも38‐35とトヨタのリードが続く。だがこの後トヨタが外のシュートが来ず、24秒オーバーなど足踏みする間にアイシン#32ヘンダーソンがチームファールによるフリースローを決めて逆転、残り5秒で#22ケーペルも決め38-42で折り返す。
 第3クォーター、トヨタは#9折茂がスティールから3ポイントのファールをもらい、その3投目を外すが#21マーシュがリバウンドシュートを押し込む。その後インサイドのぶつかり合いが激しくなり、トヨタ#21マーシュとアイシン#32ヘンダーソンがダブルファールとなる。その状況をうまく生かしてトヨタ#1棟方が3ポイントシュートを決め49-48と再びリード。アイシンは#22ケーペル・#32ヘンダーソンがインサイドのマークが厳しく決めきれないが、リバウンドを粘って押し込み再逆転。さらに残り2分には#32ヘンダーソンが3ポイントシュートを決め58-52と差を開く。だがトヨタは#12渡邉・#9折茂がつなぎ、4ファールの#21マーシュに変わったルーキー#8山田も果敢に攻めて残り5秒でバスケットカウントを決める。しかしその1スローのリバウンドからアイシン#22ケーペルに速攻を決められ、58-62と逆転はさせてもらえない。

  第4クォーターはトヨタ#13オバノンの3連続得点から始まる。だがアイシン#2後藤がすかさず返す。トヨタはその#13オバノンも4ファールとなりベンチに退かざるを得なくなるが、#12渡邉がゴール下にうまく入って得点する。だが残り6分、今度は司令塔の#1棟方が4ファールで交代となる。このフリースローをアイシン#2佐古は2投とも落とすが、タイムアウトの後のチームファールによるフリースローはきっちり決め72-70とまさに一進一退となる。
  残り5分、トヨタはここで4ファールの3人をコートに戻すとこれが奏功する。まず#21マーシュがフリースローをもらって同点。さらにアイシン#6後藤の3ポイントシュートを#34高橋がブロックし、#13オバノンの速攻アリウープダンクにつなげる。守ってもアイシンのインサイドを抑え、#9折茂の3ポイントシュートにつなげ残り3分30秒77-72と5点差をつけアイシンのタイムアウトとなる。
  トヨタはここで続けてタイムアウトを取って落ち着かせる。アイシン#32ヘンダーソンに#21マーシュがバスケットカウントを取られてしまうが、ポジション取りで逆に#32ヘンダーソンから ファールを取り得点させない。アイシンはチームファールによるフリースローも2投そろえられず、80-76で残り1分を切る。
  だがアイシン#2佐古がここでトヨタ#1棟方にプレッシャーをかけパスミスを誘うと、#32ヘンダーソンのゴール下につなげ1ゴール差とする。残り38秒、再びパスミスを誘うとじっくりボールを回し、ローテーションの遅れをついて#2佐古が3ポイントシュートを放つが外れる。だが#32ヘンダーソンがリバウンドを取ると、45度で待っていた#6後藤へ。この3ポイントシュートが吸い込まれ、残り9秒で81-80とアイシンが逆転する。
  トヨタはすかさずタイムアウトを取り、#12渡邉を投入する。するとスピードで運んだ#1棟方からコーナーのその#12渡邉にパスがつながり、冷静に3ポイントシュートを決め返す。残り2秒でアイシン#32ヘンダーソンがゴール下の#22ケーペルやロングスローインをするが、キャッチしきれない。最後はトヨタ#9折茂がコーナーでキープし、逆転につぐ逆転のゲームを制した。
(北村美夏)
トヨタ自動車・小野ヘッドコーチ
「入り方としては非常に良い形で入れました。1Qは特にディンフェスでインサイドを抑えられました。でも2Qはそこを強烈に決められ、失点のほとんどがペイント内でした。そうやって我々が悪い時そうなのですが、逆に点を取らないと、と急ぎ始めていいシュートがなく12点に抑えられてしまったのは大きな課題です。ハーフタイムは後半に向けて全員でのモーションオフェンスを思い出すようにしたら、3・4Qはそれができて得点が伸び、やられても点を取るゲームになりました。プレイヤーが非常に辛抱して40分やってくれましたね。
(この2週間は)レギュラーシーズンの最後の方、年が明けてからオフェンス・ディフェンスとも良くなってきていたのでその流れを断ち切らないように心掛けました。今日も色々なところから点を取る事ができました。そうやってチームで戦う意識とリバウンドを強調してやってきました。
(残り9秒での指示は)フォーメーションは指示していません。ただ#1棟方か#12渡邉がボールを持っていくことは言いました。ああいう状況だと9秒時間があってもパニックになって
無理なシュートを打ってしまうものですが、#1棟方がしっかり運んでパスをした。9秒の長さを実感してくれましたね。3秒あればシュートにはいけますから9秒というのは結構長いんですよね。そこをうまく合わせてやってくれました。」

トヨタ自動車・#1棟方選手
「うちが勝つには必ず競った試合になると予想して入ったので、ああいう状況のなかでも慌てることなくやりたかったのですが、ガードとしては最悪のことをやってしまったなと思います。ただそのミスを、チームの皆がカバーしてくれたのは嬉しかったし、チームとして上達していると実感しました。
(連続でタイムアウトを取った時の指示は)あの時はテンションがあがっていて、悪くはないのですがうちはファールが多いので、冷静に点と時間を考えてプレーしようという確認をしました。
(残り9秒でのプレーは)本当はスローインの時、#12渡邉にスクリーンして持たせれば、(アイシン)#7外山がついていたので運ぶ時何かしらトラブルがあるだろうと思ったのですが、すり抜けられたので自分がもらいました。その前のミスは、ドリブルチェンジしたりごちゃごちゃしながらのミスだったので、スピードで運んで攻めよう、自分で点を取ろうと思っていました。そうしたらうまく抜けて、#7外山がヘルプに来たのが見え、#12渡邉が外で待っていたのでパスしました。あの時に強気で攻められたのが良かったです。」

トヨタ自動車・#12渡邉選手
「今日は色々な流れがありましたが、1試合通じて試合に出ている5人と、ベンチにいる全員がすごく集中して臨めたのであの結果になったと思います。またこの流れを持続して明日もやりたいです。
(最後のシュートが決まった時の心境は)まだ時間が2秒あったので、ディンフェスに戻ることを考えていました。入れた瞬間ですか?は特に何も考えていないです(笑)。」

アイシン・鈴木ヘッドコーチ
「今日は全体的に見ると、ディフェンスが大事なところでイージーにやられるケースがありました。前にも言いましたが、ディフェンスをきっちりやらないとトヨタにはこういうゲームになってしまう。勝つチャンスはありましたが、83失点はディンフェスが悪かったです。前半の終わり方はすごく良かったのですがね。

(どこが狙い通りにいかなかったか)前半ちょっとファールトラブルになって、#32ヘンダーソンに頼ったオフェンスをしてしまい、自分達のリズムが悪くなりました。たしかに彼は困った時頼りになりますが、#2佐古、#6後藤、#7外山にしても他の日本人があまりボールにさわっていない。#0小宮くんは結構打っていましたが、どうしてもJR(#32ヘンダーソン)、JRとなっていつもよりインサイドに頼りすぎ、偏ってしまいました。ディンフェスでは、頑張りましたが裏を突かれたりなどちょっとしたところを1on1の部分でやられ、特に勝負所で(トヨタ#9)折茂くんなどにやられました。勝負所でばしゃっと行くのがうちなのに、オフェン
スもディフェンスもいつもと違うと選手が思ってしまいました。

(明日に向けては)
今日オフェンスが慎重になりすぎました。途中スティールなどいいディフェンスから走る展開があったのに、インサイド、インサイドになってしまったのが反省です。またトヨタが激しく当たってきたのに対抗して体力を消耗して、ディフェンスで休む部分が見られたのでもっと軽く攻められればと思います。うちらしいバスケットができるよう、ディフェンスからオフェンスにつなげることを確認して頑張りたいです。」

アイシン・#2佐古選手
「コーチの言ったとおり、大事なところでディフェンスでイニシアチブを取れず、イージーシュートを決められてつながれたのがこういう試合になったと原因だと思います。ファールも良く考えたら2つ使っても良かったですし。明日はこの反省を生かしてまた違ったゲームをしたいです。
(明日はどこを修正して臨むか)オフェンス的には結果的に80点とうちにしては良い展開、でもインサイドに球を突っ込むオフェンスだったので、ハリバック(ディフェンスに速く戻ること)という部分で遅れて、いい所でアウトナンバー(オフェンスの人数の方が多い)にしてしまったりしました。こっちにいい流れが来たと思ったら逆、の繰り返しでゲームが進んでしまいましたね。やはりシュートは落ちますから。いくらゴールに近くてもディフェンスがいるし、確率は良くても落ちる時はあるので。なのに、その(オフェンスの)ゴール下から(ディフェンスの)ゴール下に帰るところでイージーな部分が出てしまいました。修正するところを言えば、戦術的にはコーチに言われたとおり明日やるつもりですし、気持ち的にはもう少し僕らがカバーできる部分があるなどまだまだあるので明日から仕切りなおしで頑張りたいです。」

アイシン・#32ヘンダーソン選手
「トヨタのFG率は64%です。これだけ許してしまってはどういうチームに対しても勝てません。今日はディフェンスがだめでした。」

<取材・文 北村美夏>
塾生コラムメインへ